2018年3月19日月曜日

町長の公約「人づくり」って?現場主義を徹底し、職員の人材育成と適正な評価を!

3月議会の全日程が終了しました!
先般の一般質問「人づくり」についての読み原稿を公開します。

今回からは議場で撮影する写真の提供を受けられることになりましたので早速貼ってみますね。
ではどうぞ。

再質問に臨む武藤議員の晴れ姿?

「人づくり」についての一般質問読み原稿


議席番号3番、武藤拓也です。
発言通告書にそって1件8項目にわたって質問をします。

質問の前にその趣旨の前提について少しお話させていただきます。
今、私たちは世界の多極化、技術革命、情報革命、人口爆発に気候変動と人類史に残るような大きな変化にさらされています。

人口爆発で言えば、例えば現在一層の存在感を示している中国もすでに成熟期を迎え、インドが存在感を増してきます。
2030年、世界人口は増加し続けて83億人に達しますが、このうちインドが15億人と世界最大となり、GDPも日本を抜き世界3位になります。
人口増はインドだけではなく、世界中でより深刻な水と食糧の不足が想定されています。

さらには気候も変動期です。
世界規模の気候変動がはじまっており、今後100年で地球の気温は最も高い予測では5度程度、少なくとも1度はあがり、北極海の氷は消失する可能性も指摘されています。
日本は世界よりも気温上昇スピードがやや速いそうです。
先日も大きな被害があった大雨ですが、今後も日本全国で大雨の日が増える予測です。
こうした変化が基幹産業である農林水産業に与える影響は大きく、日高でもすでに魚種や漁獲量に影響が出ています。
九州では藻類の大規模な衰退事例が報告されています。

これらは一例ですが、このように想定されている未来に対して、どう浦河が取り組んでいくのか。
大きな変化の時代にこれから浦河がどのような役割を日本に、世界に果たしていけるでしょうか。
役割を果たすということは、価値があるということであり、価値があるということはお金になり、お金になるということは産業になるということであります。

誰も体験したことのない変化に対する対処方法を誰かが考えてくれるわけではありません。
その時代を生きる世代が全員で力を合わせて考えていかなければならない。

「生き残るのはもっとも強いものでも、賢いものでもない。もっとも変化に対応できるものだ。」
進化論のダーウィンが言ったとされるそんな言葉もあります。

来るべき状況に備えて、しっかりと変化に対応できる人づくりをしていかなければ、浦河のような小さな町は生き残っていけないのではないか。
そうならないよう、まずは行政の職員が前向きな危機感をもって率先して実行する。
それができる職員を育てていくべきだ。「人づくり」をすべきだ。
こうした認識を前提に質問を致します。

町長の公約「人づくり」 


項目1として、池田町長は今期の公約のひとつである「人づくり」についてお訊ねします。
執行方針の中でも浦河の宝として「人」を挙げていらっしゃいました。
まさしく「人」が大事だという点で考えを同じくすると共感する次第です。

ただその人づくりの具体的なところが、なかなかわかりにくい部分です。
まずはあらためてその方針と具体策をお聞かせ下さい。

私からは「人づくり」の上で私なりに大切だと考える3つの観点をお示しをし、見解をお聞きします。
3つの観点とは、①現場主義の徹底、②職員の能力開発と評価制度、③教育行政との連携です。

現場主義の徹底


日々の業務に携わるための基本的かつ重要な姿勢として、現場主義があろうかと思います。
国が示す対策事業や予算をみてから動くのではなく、現場の職員自ら変化を敏感に察知し、必要な策をあたため、チャンスを的確に捉え、先手を打つ。
こうした現場主義の姿勢が大切だと考えております。

と言っても、お願いされたことを安請け合いすることとはまったく違います。
現場にかかわる多様な利害関係者の声を聞いた上で、そもそも何が本質的な問題なのかを捉え、取り組む姿勢が私の考える現場主義です。
そのためにはまず何よりも現場を知ることが大切です。 

そこで項目2の質問です。
新入職員に対する浦河町内の現場視察研修を導入してはいかがでしょうか。
浦河出身者であれば、小中学校はもちろん高校でも総合学習があり、様々な地域学習が行われます。
産業や歴史文化、地形などの調べ学習や体験授業があり、普段の生活でも町が管理する施設を利用しています。
浦河で生まれ育つ中で意識しないままに学んでいることも多いわけです。

しかし町外出身者はそうではありません。
最近では、浦河町役場も町外出身の職員が増えております。
また、ずっと住んでいてもなかなか馴染みのない施設などもあるようです。
であれば、まずは浦河を知るところからはじめることが肝要です。
ぜひとも浦河についての基礎的知識を習得する体系的な現場視察研修を行っていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

項目3に移ります。
次に、職員を農林水産業の現場や民間企業への派遣を検討できないでしょうか。
職員にも現場と共通の知識や経験がなければ働いている方との信頼関係もなかなか構築できず、きちんと活用してもらえる政策や予算はつくれないのではないでしょうか。

特にこれだけ一次産業従事者が減っている現状では、町の出身者であってもほとんど生産現場と関わる機会のないまま職員になっている場合もあるでしょう。

まずは昆布のおかまわりや厩舎の寝藁作業のお手伝いから始めてもかまわないと思います。
道庁への派遣はすでに実施していると承知していますが、同様に町内のあらゆる現場にも職員を派遣してはいかがでしょうか。

項目4です。 こうした考えを進めれば、さらには専門的職員の養成の必要性も自然と浮かびあがってきます。
そして目指す姿、理想が大きくなればなるほど、やりとげる覚悟と、息の長い取り組みが必要です。
現場から積み上げて業務を改善したり、政策にしていくには、関係団体との信頼関係や専門的知識、経験が求められます。
現場を熟知する専門的職員の養成を進めてはいかがでしょうか。

能力開発と評価制度


ふたつめの観点、能力開発と評価制度についてもおききします。

政策や業務改善は単に提案するだけではなく、責任を持って最後までやりとげる力と経験が必要です。
そしてその結果を評価する仕組みがあればこそ、前向きに取り組む動機になります。

特にデジタルネイティブとも呼ばれるミレニアル世代、若い世代は、会社への帰属意識よりも自由主義であったり、個人主義である反面横との仲間意識が強かったり、社会に対する貢献意欲が高いといった特徴があります。

上から「若い人」を変えようと虚しい努力を続けるよりも、「今の若い人はこうした価値観をもっているんだ」という前提の上で、戦力としてうまく活かしていく方策が大切です。
ですから自ら貢献したいという意欲をもっと大切にして自主性を尊重したり、同世代の仲間同士の横のつながりを活かすような工夫をしたり、さらには成果を上げることのできる、能力ある職員をしっかりと評価する仕組みが必要です。

なかなか近年では求人を出しても選べるほども応募がないと伺っております。
世代間で価値観にも大きな違いがありますが、若い世代が現場で生き生きと活躍する姿は、同世代や後輩が自分も働きたいと感じる組織づくりや、一緒に協働する関係機関の町政の評価にもつながるのではないでしょうか。

こうした観点から項目5として、能力ある職員が意欲を持って力を発揮できるよう、職員提案制度を創設したり、本人の異動希望を聴取するのはいかがでしょうか。
もちろん提案するからにはしっかりと実現させるまで担当にとどめおき、やりとげる力をつけてもらうことも大事です。
自ら何を課題として設定し、何を成果とするかまで考えさせ、実行させ、評価する。
ただし最終的な責任は上司がとる。
上は大胆なアイディアでも受け止める度量をもって、まずはやらせて結果を評価する。
こうした考えの仕組み化です。

項目6ですが、周知の通り今はどの地方自治体も厳しい財政と人員体制です。
一方、先に申し上げたような社会の世界的な大きな変化への対応や、また従来家族や企業が担ってきたセーフティネットの代わりが求められたりと、行政に求められる役割は大きくなる一方です。
こうした現状においては、従来の部署間の垣根を超えた本質的な課題解決能力が求められます。

それはつまり新たに課題を設定する力です。
様々な問題の根幹はどこにあるのか。
一旦部署のことは脇に置き、何をすることが部署を横断するような本質的な地域課題の解決になるのかと考える。
そんな有志による部署横断的な政策立案グループ、チームをつくるのはいかがでしょうか。

項目7として、当町の人事評価制度についてお聞きします。
こうした「人づくり」を実現するためには、意欲と能力をもつ人材を適切に評価する必要があります。
浦河町役場で求められる能力や人材像を言葉にして明確にして、評価する制度を設計しなければなりません。
人材像というのは私なりの表現では例えば「現場主義を徹底した上で自ら課題を設定し、部署横断的な問題解決をやり遂げる力のある職員」ということです。

職務によってはわかりやすい成果をあげられるわけではないかもしれません。
しかし例えば、日々の業務手順の改善といった視点でも良いわけです。
自ら目標を設定し、取り組むことはできるはずです。
その成果を評価する仕組みにすべきだと考えます。
当町における人事評価制度に対する見解をお聞かせ下さい。 

教育行政との連携


最後に3つ目の教育行政との連携の観点から伺います。項目8の質問です。

課題が明らかになれば一層の学びが必要になります。
解決のためには思いがけない発想や視点も必要になってくるでしょう。
技術革新や専門知識も課題解決のヒントになります。

それだけではありません。
学び方そのものを学ぶ場も大事になってきます。
つまり、何を学ぶかではなく、いかに学ぶのかを学ぶ必要があると感じます。

例えば、小学校でも英語やプログラミングの授業がはじまりますが、英語を学ぶときにただ英語を習得するのではなく、言語自体の学び方を習得すれば、コンピュータ言語であるプログラミングの理解も比較的容易になるでしょう。
学び方を習得していれば、一生かけてどんな問題にも取り組んでいけます。
そうした「人づくり」が必要です。 

以上の観点から「人づくり」には教育行政と密接な連携も不可欠だと考えます。
具体的には2点ほど提案いたします。

当町も日高として大学の多い文京区との連携を進めています。
オンラインキャンパスやサテライトキャンパスの実現の模索はできないでしょうか。
今、ふるさとワーキングホリデーで来ている大学生たちも地域貢献に積極的で、もっとできることはないかと言っていました。
田舎に魅力を感じ、貢献する意欲のある若い世代の力をぜひともお借りしたいではありませんか。

あるいは図書館を地域課題解決のための知の拠点と役割を位置づけ直すこともできないでしょうか。
文科省としても図書館をただ本を貸したりやリファレンスだけではない、「地域を支える情報拠点」を目指すべきものとし、図書館が発展するためには地域の課題解決や調査研究を支援できるようにサービスや運営を改革する取り組む必要性についても言及されています。

以上、「人づくり」についての質問とさせていただきます。よろしくお願い致します。