2017年12月16日土曜日

滞納問題をどうする?不納欠損を抑えるために

今年最後の議会が終わりました。
今回の私の一般質問はなんと滞納問題。

いつもと違うんじゃ?突然?
と感じるかもしれませんが、色々とお話を聞いてるとこれもヨソからきた新人じゃないとなかなか突っ込めない話題かと思い、取り上げました。
以下、読み原稿をそのまま掲載します。

そもそも「不納欠損」って何?大事なの?


先月の決算議会で、不納欠損が話題になりました。
不納欠損とは、税金などを滞納している町民が死亡したり、居所がわからない、時効が成立するなどして自治体が徴収を諦める処理のことです。
この金額が、平成28年度においては、一般会計で約4,000万円、特別会計を合わせると約8,200万円でした。
8,200万円。
大きな新規事業に取り組めるほどの金額が、損失として計上されました。

確かに現実に払えない方もいらっしゃるでしょう。
しかし、税金を払わないままでも済んでしまった方がいるとわかれば、「払わなくてもなんとかなるんだ」とさらに払わない人が増えるという悪循環を生むことにつながります。
何よりも、生活の苦しい中なんとか捻出して真面目に払っている多くの町民にとって不公平です。

さらには、徴税は法律で定められた自治体の義務です。
原則、徴収できるものは徴収するべきです。
もし仮に自治体が税の徴収を怠っていると判断されれば、法的責任を問われる可能性もあるわけです。
実際に、いたずらに不納欠損を出したとして損害賠償請求を求める住民訴訟において、首長個人の指揮監督上の重大な過失が認められたケースがあります。

以上、滞納に関する問題点をまとめると
1)財政も厳しい中、現実に多額の損失を生んでいる。
2)住民間での公平性を損なってしまう。
3)債権回収は法で定められた自治体の義務である。

これらの観点から、法律や規則に基づいて、しっかり滞納問題に取り組むべきだというのが私の基本的な考えです。

不納欠損を防ぐために何ができるか


では、この滞納問題をどうすればよいのか。
まずこの不納欠損を考えるに当たっては、2種類の債権、公債権と私債権それぞれで処理も違うため非常にわかりづらいことがあります。

公債権というのは、行政法などの公法にもとづく債権。
具体的には各種税金や国民保険料などです。

私債権は、民法などの私法にもとづく債権。
具体的には水道料や住宅使用料、給食費などです。

まずはこの公債権、私債権それぞれについて、不納欠損にいたるまでの当町の手続きが不透明に感じますので、法的根拠も示しながら明らかにしていただきたい。

またこの不納欠損。
発生の最たる原因は、時効の成立です。
これを防ぐためにまずは債権管理をしっかりと行うことが大切です。
滞納者それぞれについて、いつまでにいくら払ってもらえるのか、時効はいつ成立するのか、まずは現状をしっかり把握する。
特に自治体はもっとも住民の個人情報を把握できる組織です。
債権の管理はどのように行われているのかお示しください。

また、それぞれの課に様々な債権があるかと思います。
例えば、町税は税務課、保育料は保健福祉課、給食費は教育委員会、水道料金は上下水道課、住宅使用料は建設課など。
これらは一元化してきちんと滞納者ごとにまとめられているのか。あわせてお訊ねします。

そして不納欠損の主な理由が時効であるからには、簡単に時効を成立させない手段を講じる必要もあるでしょう。
債権回収に向けて当町も努力しておりますが、具体的にどのように取り組んでいるか。
そのひとつには、債務者との間で滞納を認める文書を取り交わすといった方法もあると承知していますが、当町ではどの程度行われているのか。

最終手段の強制徴収と強制執行は行われているか


さらに、あらゆる努力を積み重ねても、それでもなかなかうまく徴収が進まないこともあろうかと思います。
そんなとき、最終的には「強制徴収」あるいは「強制執行」という手段に訴えることになります。
しつこいようですが、念を押してお伝えしますと、徴税は法律で定められた自治体の義務です。
義務である以上、心を鬼にして執行しなければならない場合もあるということであります。

強制徴収は、税や保険料といった公債権を回収する最終手段です。
わかりやすく言えば、自治体が直接行う差し押さえです。
強制徴収を行う場合、町が差し押さえられることのできる財産は何なのか。
また強制徴収にいたるまでの判断基準は、そしてどの程度現実に行われているのかお訊ねします。

次に、強制執行。
強制執行は、住宅使用料などのその他の債権を回収する最終手段です。
これも差し押さえにはなりますが、こちらは自治体が直接ではなく、裁判所に訴える必要があります。
この強制執行を実際に自治体が行おうとすると、ハードルがあるのではないでしょうか。

住宅使用料の滞納も大幅な増加傾向です。
毎年700万円くらいずつ増えているようです。
収入未済額が増えれば、同時に不納欠損のリスクも高まります。
この強制執行をするには、時効を迎えるまでに訴えの手続きを進めなければなりませんが、自治体が訴えを起こすには、議会の議決が必要です。
しかし例えば数十万円程度の少額の訴えであっても、これはいちいち議会の議決が本当に必要なのかどうか。
この手続き自体が強制執行を行う上でのハードルになってるのではないかと私は考えていますが、町の見解はいかがでしょうか。

今からできる具体的な対応策はあるのか


以上が原稿になります。
滞納がある状況そのものではなく、不納欠損処理を問題視しています。
で、再質問の部分もあわせて、今回のポイントはこんな感じだったかと思います。
  1. 連帯保証人への請求や督促はしているのか
  2. 滞納者への債権回収はどこが責任をもって取り組むのか
  3. 強制執行の専決処分は可能か
マニアックな話かもしれませんが、一応簡単に補足しておきます。

連帯保証人への請求・督促も視野に


連帯保証人への請求や督促も自治体の義務です。
これを怠っていると、もし裁判になると負けちゃう可能性もあるんです。
具体例として住宅使用料をあげて突っ込んで聞いてみましたが、今年から連帯保証人に対して本人が滞納している旨の通知を送るようにしたとのこと。
今までまったく何も言われていなかったのに、突然多額の請求がきたら連帯保証人の方もびっくりしちゃいます。
まず対応をはじめたことを評価しましたが、今後の取り組みを注視していきたいです。

税務課が主導権を握って債権回収を


滞納している方は、たいてい多くの債務を同時に抱えていることが多いと聞きます。
税金だけでなく、水道や家賃、それ以外の民間企業への債務。
さらにはお友達や親戚にもお金を貸していたりも。
ひとりの滞納者が複数の債務を抱えていることが多いのであれば、一元化して把握する必要があります。

昨年9月から滞納管理システムを導入し、電算管理へと切り替わりつつあるようですが、各担当課で把握できるのはあくまでその課にかかわる債権の収納状況のみ。
税務課だけがすべて(上下水道料金を除く)の状況がわかるわけですから、きちんと主導して債務者への対応にあたっていただきたいところです。

少額の強制執行は専決処分で


最後に強制執行の手続きについてです。
私債権に関して差し押さえするには、裁判所への訴えが必要です。
ところがです。
訴えるためには、その金額が例えば数万円とか数十万円であっても法律上、議会の議決が必要になります。
しかしながら、時効も迫る中、いちいち議会を開いて議決をとるのは現実的ではないように思います。
このあたりは条例で何らかの規定をして、町長の専決処分として処理していただいてもよいというのが私の考えです。


今回の質問をするにあたって地方自治法や民法も多少勉強しましたが、まだまだわからないことも多いです。
何かご指摘ありましたらご教示いただければ幸いです!