2017年10月6日金曜日

人手が足りない!でも人口減少は「問題」ではなく「前提」

このところ「人手が足りない」と聞くことが増えてきたような気がしませんか?
「誰かいない?」と。
町内で慢性的な労働力不足が進んでいるように思われます。

人手が足りない!


それもそのはず、来春の高卒予定者の求人倍率は1.89倍(日高管内)
これは就職したい100人に対して、189の仕事がある割合です。
これは道内職安でトップ、全国の都道府県別求人倍率をみてもかなり上位です。

最近の日高版の記事より

あるいは外国人労働者の増加。
浦河の外国人登録者数は130人を突破、すでに人口の1%以上が外国人です。
牧場の従業員の方が大半ですが、最近はインドの方が増えているそうです。

せっかく仕事はあっても、人手がいない。
待遇を改善する事業者も増えてきているように見受けられます。

こうした現状もあり、9月の議会では「人口減少・少子高齢化社会に向けた取り組みについて」も質問しました。
趣旨としては、行政は人口減少の「克服」よりも「対応」する発想で取り組んでいくべきだというものでした。

浦河の規模は100年前と同じくらいに


さて、浦河の人口はどうなっていくのでしょうか。
昨年まとめた「人口ビジョン」の社人研(国)の推計をみると、2040年に8,516人となっています。
これに対して、同年に10,162人とする目標を掲げました。
そしてその対策として、子育て支援や移住交流の推進、産業の活性化などの「総合戦略」をとりまとめました。

先に言っておくと、こうした施策を頭から否定する立場ではありません。
当たり前ですが、やらないよりはやったほうがいいに決まってます。

しかし現状は、12,700人程度
毎年約200人ずつ減っているので、再来年にはもう12,300人くらいになりそうです。
2020年に12,318人とする国の推計よりもむしろはやいペースで減少しているようです。

ちなみに昭和5年の人口が12,618人でした(当時の浦河町と荻伏町の合計)。
でも当時はずっとお年寄りが少なく、子どもが多かった時代です。
実際に働く現役世代の人口を比較すると、おそらく大正時代と同じくらいになるでしょう。

つまり、浦河はだいたい100年前と同じくらいになっています。
で、これも先に言っておきますが、「だから浦河はダメなんだ」と結論づけるのは早計です。

人が減るのは「問題」ではなく「前提」


2020年には札幌市でも、2025年には東京都でも人口減少がはじまります。
なおかつ都市部は農村と違い、これから高齢者の絶対数が急増するので、より状況は深刻だとさえ言えます。
全国ほとんどすべての自治体で減るのですから、「人口が減るような自治体が悪い!」というのはまったくの的はずれです。
浦河も札幌も東京もみんな悪いということなんでしょうか。ご批判にはあたらない。

しかし一方、こういう状況の中で「なんとか増やすんです!維持していくんです!」というのもまた説得力がありません。
どこから人が現れるのでしょうか。
ご自分の奥様や娘さんに「我が国の人口を維持するためになんとか産んでほしい」と頭を下げてる方を寡聞ながら存じませんし、たとえ下げてもそんな頭ははたかれそうです。

外国人労働者も急増しているので、頼るのも一手かもしれません。
でもそれで解決するような話なのでしょうか。

本当の問題は、人口は増えそうもないのに「なんとかしよう!」とその克服だけを目指している(ようにみえる)ことではないでしょうか。

魅力ある人を増やしていく


ここではじめの趣旨に戻るのですが、私の主張は、人が減ってもやっていけるまちを目指すべきだというものです。
思えば、これは立候補のときも訴えていたことでした。

本件はぎりぎりの通告となり、正直言ってわかりづらく、テーマが広すぎました。
なので、具体策までは提案できなかったのですが、取り組む考え方を提起しました。
人づくりです。

人口減少というと、どうしてもこういった発想になりがちです。
「UIターンの受け入れでミスマッチの解消を!」
「郷土愛を育もう!」
「働きやすい環境整備を!」

間違っているわけではありません。
その対策もとるべきでしょう。
が、10年先、20年先を見据えれば、発想の転換が必要ではないでしょうか

つまり、「若い人が働きたいと思う仕事をつくる」だけでなく
「困り事をどうやったら解決できるだろうかと考え、新しい仕事に取り組もう」
「ワクワクしながら取り組む職場をつくろう」へ。

人手不足だから「労働力の地域への定着を目指す」だけでなく
「人手のかからない仕事や経営はできないか、工夫をしよう」へ。

目の前の課題に真摯に向き合い、地に足をつけて取り組む。
「これならやっていけそうだ」と思えるような形をひとつでもつくっていく。
このように、発想の転換で取り組む人を増やしていく。
こうした人たちが集まる場やまちが魅力となり、さらに人が集まり、結果的に人口減少を抑えることもあるのではないでしょうか。

どこかにある答えを求めるのではなく、きちんと自分の頭で考え、失敗を恐れず挑戦する人を評価し、育てる。
教育にしても、人材育成にしても、この正解のない時代に向き合うために、ありとあらゆる場面で生じている課題を新しい発想で解決しようとする「人」が大事ではないでしょうか。
場合によっては、今までやってきたけど「やらないこと」「やめること」の決断のほうがこれからは重要になってくるかもしれません。

執行部も大きな柱となる考え方を示した上で、それぞれの施策を位置づけていっていただきたいと願う次第です。
浦河はちゃんと「人」を活かせているのだろうか。
というわけで、騙されたと思って(いまさらですが)ドラッカーを読みはじめました。

質問の中では、現役世代の負担の増加についても触れましたが、それはまたの機会に。
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