2017年1月30日月曜日

浦河から考える日高の広域公共交通試案(1)

昨年11月のある日、浦河町内の知人から一本の電話がかかってきました。

70代の母が手術することになり、札幌の病院から紹介された苫小牧沼ノ端にある病院に入院することになった。
だけど、自分も母も運転できない
苫小牧直行のバスは早朝一本しかないから入院受付の時間まで4時間も待たなければならない。あたりに時間を潰せるところもない。
代行バスと言ったって、列車なら2時間半くらいだったが、片道で4時間以上もかかる。
数週間の入院だから荷物もあるし、乗り換えが2回もあって大変。
とてもじゃないけど使えない。
武藤さん、悪いんだけど車で送迎してもらえない?

というわけで、退院するときとあわせて苫小牧を二回、送迎で往復しました。

これは決して稀な例ではありません。
事実、代行バスになってから日高線の利用者(輸送密度)は、三分の二に落ち込んでいます。
端的に、不便だからです。

「不便だろうが、使わない住民が悪い」
というような一部都市部の方の考えもあろうかと思いますが、あまりにも不便であれば利用できないのもまた真実です。
そして今、少なくとも浦河では、現実的に利用できるような公共交通が確保できていないと考えるべきです。

地域も本当に必要な交通網の考え方をまとめるべき


日高線が運休して2年が経ちました。
今回はたまたま私に相談がありましたが、このように不便を感じる方が周囲に送迎をお願いする光景を想像するのは、難しいことではありません。
「日高線が止まっても誰も困ってない」
などと乱暴なことを仰る方もいますが、公共交通が利用できないものであれば、まわりの負担にもつながります。
もう少し実状を知っていただきたいところです。

北海道は自家用車中心の生活とは言え、車を運転できない人もいます。
車を運転しない人が、他所から商用や観光で往来することもあります。
最低限の公共交通は、自家用車以外の方の移動手段として必須です。
ここまでは、どなたも異論ないかと思います。

さて現状をみますと、日高地方、特に浦河含む静内以東では、広域交通網が成立していないと認識しています。
ざっと図にするとこんな感じです。

浦河を中心とした現在の広域交通

交通機関が分断されています
このようにあらためて示すと、普段乗るものは別として、それぞれ接続できるのか、途中で乗り降りできるのか、どこで乗れるのか、住民すらよくわかっていない状況だと思います。
さらに都市部からのアクセスが悪すぎて、浦河への来訪を断念された方も現実に何人もいらっしゃいます。

道も広域公共交通に関するワーキングチームをつくり、考え方がまもなくまとめられます。
しかしこれも地域の実状に沿った報告書ではないと聞いています。
私としては、地域の側からも本質的に必要な交通網の考え方をまとめ、声をあげる必要があるのではないかと考えています。

今、日高管内には鉄道の存続を訴える団体とバス転換を主張する団体と双方ありますが、まだ当地域における広域交通のビジョンを持つには至っていないのではないかと認識しています。
このブログでは、拙いなりに私なりに考え、何回かにわけて整理していきたいと思っています。