2017年12月28日木曜日

来年は浦河の未来図をつくります!未来図をつくる会にぜひご参加を。

師走の候、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
私は任期が残り1年半ほどになり、この一ヶ月ほどはこの任期の残り時間をどう使っていくべきか真剣に考えていました。
悩み抜きました。本当に。

そして結論として、どんな形であれ「まちの未来図」をとにかく完成させよう!と決意しました。
悩んでる最中に話をした方からは「ん?」となるかもしれませんが笑、もう決めました。
そう、2015年の議員への立候補当時、「みんなで考える『まちの未来図』」をキャッチフレーズにしていたのでした。

すでにちょっと懐かしい後援会資料

2018年の目標は「未来図」をつくること


実際に議員になってから、行政から提案される案件の調査や町民の方から相談された事案に追われたりしていました。
きちんと丁寧に取り組めば、相当の時間がかかってしまいます。
あるいは先輩議員の意見や考え方を知り、また自分自身を知ってもらう必要もありました。
さらに地域おこし協力隊時代にはじめた六畳書房も重荷になったり、私生活でも結婚という大きな転機を迎えて生活が大きく変わり...

とまあいくらでも言い訳は出てくるのですが、端的に一体どうすればよいのかわかなくなっていたりしました。
そういう状況で「このままではダメだ!」と強く想い、人のお力も借りながら今年一年の計画を立てたので、ここに宣言し、実現します。

この2年間で7回に渡り実施してきた活動報告&意見交換会をあらため、未来図をつくる会を新たにはじめます。
ちょっとしたワークショップみたいなものです。
20~30人くらいでやれるといいなと思ってます。

まちの未来図とは、みんなの将来像の集まり


自分だけで描いている「これからはこうしていきたいなあ」という想いや将来像はそのひとだけのものです。
しかし、それを誰がなんと言おうとやろうとする人が集まり、他のみなさんとも共有することで
「浦河ってこんなまちになっていくんだ!」
という未来図のあるまちになります。

「そんな将来像なんてないよ...」という人も大丈夫です。
誰かの未来図が共有できていると「自分もこういうことならできるよ!」と手伝うことができます。
楽しそうじゃありませんか。人の役に立てることは素晴らしいことです。

未来図をつくる会に参加しませんか?


2018年の1年間、毎月集まりながら、みなさんとそんな「未来図」を完成させたいと考えています。
きっと一度できても、より多くの方が加わることで、そして時間が経つことで、どんどん更新されていくはずです。
いずれにせよ、2019年以降は浦河は未来図のあるまちになります。
それこそが私自身の未来図です。
一緒に浦河を、未来図のあるまちにしませんか?

私一人の力ではできませんが、幸い共感してくれる人も現れました。
でも、もっと必要です。

色々書きましたが、気軽に、楽しくやりたいと思います。
一回目はオリエンテーションみたいな形ですし、「未来図って具体的にどんなものなの?」という方でも全然OKです。
今までは町職員や議員はご遠慮してましたが、これからはどなたでもOKです。
ただし、文句を言いたいだけの方はご遠慮します。
みなさんのご参加お待ちしています!

未来図をつくる会 vol.1
日時:2018年1月11日(木)19:00~20:30
場所:浦河町ふれあい会館(東町かしわ3丁目1-1)
料金:300円(茶菓子代)  

お問合わせ・お申込みはFacebookのイベントページか、メールでどうぞ。

それではみなさん、本年も大変お世話になりました。
来年もよろしくお願い致します。
良いお年を!

2017年12月16日土曜日

滞納問題をどうする?不納欠損を抑えるために

今年最後の議会が終わりました。
今回の私の一般質問はなんと滞納問題。

いつもと違うんじゃ?突然?
と感じるかもしれませんが、色々とお話を聞いてるとこれもヨソからきた新人じゃないとなかなか突っ込めない話題かと思い、取り上げました。
以下、読み原稿をそのまま掲載します。

そもそも「不納欠損」って何?大事なの?


先月の決算議会で、不納欠損が話題になりました。
不納欠損とは、税金などを滞納している町民が死亡したり、居所がわからない、時効が成立するなどして自治体が徴収を諦める処理のことです。
この金額が、平成28年度においては、一般会計で約4,000万円、特別会計を合わせると約8,200万円でした。
8,200万円。
大きな新規事業に取り組めるほどの金額が、損失として計上されました。

確かに現実に払えない方もいらっしゃるでしょう。
しかし、税金を払わないままでも済んでしまった方がいるとわかれば、「払わなくてもなんとかなるんだ」とさらに払わない人が増えるという悪循環を生むことにつながります。
何よりも、生活の苦しい中なんとか捻出して真面目に払っている多くの町民にとって不公平です。

さらには、徴税は法律で定められた自治体の義務です。
原則、徴収できるものは徴収するべきです。
もし仮に自治体が税の徴収を怠っていると判断されれば、法的責任を問われる可能性もあるわけです。
実際に、いたずらに不納欠損を出したとして損害賠償請求を求める住民訴訟において、首長個人の指揮監督上の重大な過失が認められたケースがあります。

以上、滞納に関する問題点をまとめると
1)財政も厳しい中、現実に多額の損失を生んでいる。
2)住民間での公平性を損なってしまう。
3)債権回収は法で定められた自治体の義務である。

これらの観点から、法律や規則に基づいて、しっかり滞納問題に取り組むべきだというのが私の基本的な考えです。

不納欠損を防ぐために何ができるか


では、この滞納問題をどうすればよいのか。
まずこの不納欠損を考えるに当たっては、2種類の債権、公債権と私債権それぞれで処理も違うため非常にわかりづらいことがあります。

公債権というのは、行政法などの公法にもとづく債権。
具体的には各種税金や国民保険料などです。

私債権は、民法などの私法にもとづく債権。
具体的には水道料や住宅使用料、給食費などです。

まずはこの公債権、私債権それぞれについて、不納欠損にいたるまでの当町の手続きが不透明に感じますので、法的根拠も示しながら明らかにしていただきたい。

またこの不納欠損。
発生の最たる原因は、時効の成立です。
これを防ぐためにまずは債権管理をしっかりと行うことが大切です。
滞納者それぞれについて、いつまでにいくら払ってもらえるのか、時効はいつ成立するのか、まずは現状をしっかり把握する。
特に自治体はもっとも住民の個人情報を把握できる組織です。
債権の管理はどのように行われているのかお示しください。

また、それぞれの課に様々な債権があるかと思います。
例えば、町税は税務課、保育料は保健福祉課、給食費は教育委員会、水道料金は上下水道課、住宅使用料は建設課など。
これらは一元化してきちんと滞納者ごとにまとめられているのか。あわせてお訊ねします。

そして不納欠損の主な理由が時効であるからには、簡単に時効を成立させない手段を講じる必要もあるでしょう。
債権回収に向けて当町も努力しておりますが、具体的にどのように取り組んでいるか。
そのひとつには、債務者との間で滞納を認める文書を取り交わすといった方法もあると承知していますが、当町ではどの程度行われているのか。

最終手段の強制徴収と強制執行は行われているか


さらに、あらゆる努力を積み重ねても、それでもなかなかうまく徴収が進まないこともあろうかと思います。
そんなとき、最終的には「強制徴収」あるいは「強制執行」という手段に訴えることになります。
しつこいようですが、念を押してお伝えしますと、徴税は法律で定められた自治体の義務です。
義務である以上、心を鬼にして執行しなければならない場合もあるということであります。

強制徴収は、税や保険料といった公債権を回収する最終手段です。
わかりやすく言えば、自治体が直接行う差し押さえです。
強制徴収を行う場合、町が差し押さえられることのできる財産は何なのか。
また強制徴収にいたるまでの判断基準は、そしてどの程度現実に行われているのかお訊ねします。

次に、強制執行。
強制執行は、住宅使用料などのその他の債権を回収する最終手段です。
これも差し押さえにはなりますが、こちらは自治体が直接ではなく、裁判所に訴える必要があります。
この強制執行を実際に自治体が行おうとすると、ハードルがあるのではないでしょうか。

住宅使用料の滞納も大幅な増加傾向です。
毎年700万円くらいずつ増えているようです。
収入未済額が増えれば、同時に不納欠損のリスクも高まります。
この強制執行をするには、時効を迎えるまでに訴えの手続きを進めなければなりませんが、自治体が訴えを起こすには、議会の議決が必要です。
しかし例えば数十万円程度の少額の訴えであっても、これはいちいち議会の議決が本当に必要なのかどうか。
この手続き自体が強制執行を行う上でのハードルになってるのではないかと私は考えていますが、町の見解はいかがでしょうか。

今からできる具体的な対応策はあるのか


以上が原稿になります。
滞納がある状況そのものではなく、不納欠損処理を問題視しています。
で、再質問の部分もあわせて、今回のポイントはこんな感じだったかと思います。
  1. 連帯保証人への請求や督促はしているのか
  2. 滞納者への債権回収はどこが責任をもって取り組むのか
  3. 強制執行の専決処分は可能か
マニアックな話かもしれませんが、一応簡単に補足しておきます。

連帯保証人への請求・督促も視野に


連帯保証人への請求や督促も自治体の義務です。
これを怠っていると、もし裁判になると負けちゃう可能性もあるんです。
具体例として住宅使用料をあげて突っ込んで聞いてみましたが、今年から連帯保証人に対して本人が滞納している旨の通知を送るようにしたとのこと。
今までまったく何も言われていなかったのに、突然多額の請求がきたら連帯保証人の方もびっくりしちゃいます。
まず対応をはじめたことを評価しましたが、今後の取り組みを注視していきたいです。

税務課が主導権を握って債権回収を


滞納している方は、たいてい多くの債務を同時に抱えていることが多いと聞きます。
税金だけでなく、水道や家賃、それ以外の民間企業への債務。
さらにはお友達や親戚にもお金を貸していたりも。
ひとりの滞納者が複数の債務を抱えていることが多いのであれば、一元化して把握する必要があります。

昨年9月から滞納管理システムを導入し、電算管理へと切り替わりつつあるようですが、各担当課で把握できるのはあくまでその課にかかわる債権の収納状況のみ。
税務課だけがすべて(上下水道料金を除く)の状況がわかるわけですから、きちんと主導して債務者への対応にあたっていただきたいところです。

少額の強制執行は専決処分で


最後に強制執行の手続きについてです。
私債権に関して差し押さえするには、裁判所への訴えが必要です。
ところがです。
訴えるためには、その金額が例えば数万円とか数十万円であっても法律上、議会の議決が必要になります。
しかしながら、時効も迫る中、いちいち議会を開いて議決をとるのは現実的ではないように思います。
このあたりは条例で何らかの規定をして、町長の専決処分として処理していただいてもよいというのが私の考えです。


今回の質問をするにあたって地方自治法や民法も多少勉強しましたが、まだまだわからないことも多いです。
何かご指摘ありましたらご教示いただければ幸いです!


2017年10月6日金曜日

人手が足りない!でも人口減少は「問題」ではなく「前提」

このところ「人手が足りない」と聞くことが増えてきたような気がしませんか?
「誰かいない?」と。
町内で慢性的な労働力不足が進んでいるように思われます。

人手が足りない!


それもそのはず、来春の高卒予定者の求人倍率は1.89倍(日高管内)
これは就職したい100人に対して、189の仕事がある割合です。
これは道内職安でトップ、全国の都道府県別求人倍率をみてもかなり上位です。

最近の日高版の記事より

あるいは外国人労働者の増加。
浦河の外国人登録者数は130人を突破、すでに人口の1%以上が外国人です。
牧場の従業員の方が大半ですが、最近はインドの方が増えているそうです。

せっかく仕事はあっても、人手がいない。
待遇を改善する事業者も増えてきているように見受けられます。

こうした現状もあり、9月の議会では「人口減少・少子高齢化社会に向けた取り組みについて」も質問しました。
趣旨としては、行政は人口減少の「克服」よりも「対応」する発想で取り組んでいくべきだというものでした。

浦河の規模は100年前と同じくらいに


さて、浦河の人口はどうなっていくのでしょうか。
昨年まとめた「人口ビジョン」の社人研(国)の推計をみると、2040年に8,516人となっています。
これに対して、同年に10,162人とする目標を掲げました。
そしてその対策として、子育て支援や移住交流の推進、産業の活性化などの「総合戦略」をとりまとめました。

先に言っておくと、こうした施策を頭から否定する立場ではありません。
当たり前ですが、やらないよりはやったほうがいいに決まってます。

しかし現状は、12,700人程度
毎年約200人ずつ減っているので、再来年にはもう12,300人くらいになりそうです。
2020年に12,318人とする国の推計よりもむしろはやいペースで減少しているようです。

ちなみに昭和5年の人口が12,618人でした(当時の浦河町と荻伏町の合計)。
でも当時はずっとお年寄りが少なく、子どもが多かった時代です。
実際に働く現役世代の人口を比較すると、おそらく大正時代と同じくらいになるでしょう。

つまり、浦河はだいたい100年前と同じくらいになっています。
で、これも先に言っておきますが、「だから浦河はダメなんだ」と結論づけるのは早計です。

人が減るのは「問題」ではなく「前提」


2020年には札幌市でも、2025年には東京都でも人口減少がはじまります。
なおかつ都市部は農村と違い、これから高齢者の絶対数が急増するので、より状況は深刻だとさえ言えます。
全国ほとんどすべての自治体で減るのですから、「人口が減るような自治体が悪い!」というのはまったくの的はずれです。
浦河も札幌も東京もみんな悪いということなんでしょうか。ご批判にはあたらない。

しかし一方、こういう状況の中で「なんとか増やすんです!維持していくんです!」というのもまた説得力がありません。
どこから人が現れるのでしょうか。
ご自分の奥様や娘さんに「我が国の人口を維持するためになんとか産んでほしい」と頭を下げてる方を寡聞ながら存じませんし、たとえ下げてもそんな頭ははたかれそうです。

外国人労働者も急増しているので、頼るのも一手かもしれません。
でもそれで解決するような話なのでしょうか。

本当の問題は、人口は増えそうもないのに「なんとかしよう!」とその克服だけを目指している(ようにみえる)ことではないでしょうか。

魅力ある人を増やしていく


ここではじめの趣旨に戻るのですが、私の主張は、人が減ってもやっていけるまちを目指すべきだというものです。
思えば、これは立候補のときも訴えていたことでした。

本件はぎりぎりの通告となり、正直言ってわかりづらく、テーマが広すぎました。
なので、具体策までは提案できなかったのですが、取り組む考え方を提起しました。
人づくりです。

人口減少というと、どうしてもこういった発想になりがちです。
「UIターンの受け入れでミスマッチの解消を!」
「郷土愛を育もう!」
「働きやすい環境整備を!」

間違っているわけではありません。
その対策もとるべきでしょう。
が、10年先、20年先を見据えれば、発想の転換が必要ではないでしょうか

つまり、「若い人が働きたいと思う仕事をつくる」だけでなく
「困り事をどうやったら解決できるだろうかと考え、新しい仕事に取り組もう」
「ワクワクしながら取り組む職場をつくろう」へ。

人手不足だから「労働力の地域への定着を目指す」だけでなく
「人手のかからない仕事や経営はできないか、工夫をしよう」へ。

目の前の課題に真摯に向き合い、地に足をつけて取り組む。
「これならやっていけそうだ」と思えるような形をひとつでもつくっていく。
このように、発想の転換で取り組む人を増やしていく。
こうした人たちが集まる場やまちが魅力となり、さらに人が集まり、結果的に人口減少を抑えることもあるのではないでしょうか。

どこかにある答えを求めるのではなく、きちんと自分の頭で考え、失敗を恐れず挑戦する人を評価し、育てる。
教育にしても、人材育成にしても、この正解のない時代に向き合うために、ありとあらゆる場面で生じている課題を新しい発想で解決しようとする「人」が大事ではないでしょうか。
場合によっては、今までやってきたけど「やらないこと」「やめること」の決断のほうがこれからは重要になってくるかもしれません。

執行部も大きな柱となる考え方を示した上で、それぞれの施策を位置づけていっていただきたいと願う次第です。
浦河はちゃんと「人」を活かせているのだろうか。
というわけで、騙されたと思って(いまさらですが)ドラッカーを読みはじめました。

質問の中では、現役世代の負担の増加についても触れましたが、それはまたの機会に。
あ、そして浦河で働きたい方はこちらの豊富な求人情報からどうぞ!


2017年9月25日月曜日

タトゥーはダメ?浦河の寛容さを形に

みなさん、タトゥーをどう思いますか?タトゥー。
入れ墨といったほうが伝わるかもしれません。

足元にはいってるのがタトゥー(フリー画像です)

感じ方としてはおそらく「ヤダ、コワイ」か「別に」かどちらかだと思います。
そしてただ道端ですれ違うだけじゃなく、タトゥー入っている人と温泉や銭湯で一緒になったとしたらどう感じますか?
今回このタトゥーについて議会でとりあげました。

賛否両論のタトゥーと公衆浴場の関係


とりあげたんですが、実はこれ、議会でやるかどうかはしばらく迷ってました。
しばらくというのは一年くらいなんですが、というのも私が個人でやってる意見交換会ではしばしば話題にしてきたのです。
想定した通り賛否ありました。賛否あると正直気が重いものです。

ですが、今まで否定的な考えだった方が「いいんじゃないかと思うようになった」と心変わりしたようで、私もとりあげてみる気になりました。
その方が意見を変えたひとつのきっかけは、とある新聞記事でした。

ファッションや風習などでタトゥーを入れた外国人観光客が北海道内で増加していることを踏まえ、タトゥーをした人の利用を容認する温泉やスーパー銭湯が増えてきたという内容でした。
タトゥーと言えば、道内の入浴施設で、顔に入れ墨をしたニュージーランドの先住民族マオリの女性が入浴を拒否され話題となったのも記憶に新しいところです。

国も東京五輪を目前に控えていることもあり、シールで隠したり、利用者の少ない時間に入ってもらうなど、観光庁が具体的な対応案をとりまとめ、各施設に対応改善を呼びかけているところです。
最近では若い人のいわゆるファッションタトゥーも増えていますし、ただタトゥーがはいっているからといって入浴を断るのは人権の視点からもいかがなものかと、それぞれの入浴施設が様々な取り組みをすすめているところです。

で、私の提案というのは、浦河が全国に先駆けて、自治体として公衆浴場におけるタトゥーの対応について、独自のルールや制度をつくってはどうかというものです。

なぜ行政でルールをつくるべきなのか


まず浦河の現状ですが、3ヶ所ある公衆浴場のいずれも、タトゥーの人も事実上OKです。実は。
ただ、嫌がるお客さんからクレームがごくたまにあり、クレームがあればもちろん施設側も何らかの対応をせざるを得ません。
それも具体的に何かトラブルが生じているわけではなく、「タトゥー入ってる人がいたんだけどどうなってんの?」という内容です。
タトゥーのお客さんも、嫌がるお客さんも大事な施設にとっては、現場で大変難しい微妙な対応を迫られるわけで、何らかのルールがあったほうがお互いよいのではないでしょうか?

また、最近観光誘致も進めている浦河ですが、つい最近も台湾の方を呼んだと聞いています。
台湾の若い人にもタトゥー大人気で、結構入れてる人いますよね。知ってる台湾人でもいます。
せっかくこちらから呼んで来て頂いているにもかかわらず、「タトゥーはダメなんです」ではちょっとかわいそうです。

あるいは若い人の移住・交流やUIターンを促進する事業も様々進めてますが、タトゥー入ってる人は歓迎されないのでしょうか?
正確な統計はありませんが、私の推計では道内でも若い人のうちざっと1万人くらいはタトゥー入ってる人がいると思います。そういう方は対象にならないのでしょうか。

行政で進める事業と現実が矛盾するわけですから、今の時代にあわせて、行政が責任をもってそのあたりの対応も考えるべきだというのが私の考え方です。

浦河だからこそやる理由


今までタトゥーはダメだというのが基本だったので、「どうせ特に田舎はダメなんでしょ?」と思われるのが普通だと思います。
しかしながら現実、浦河のすべての入浴施設でタトゥーの方も入ってます。
たまに行くだけの私でも見かけたことがありますが気になりません。
むしろ寛容で素晴らしいと思います。
こうした現状も踏まえて、浦河が全国に先駆けてルール作りに取り組むのはどうでしょうか。
条例のような形に落とし込めるとよりわかりやすいかもしれません。

昨今の国際情勢をみましても(国内もそうですが)異なる価値観に対しての不寛容が強まってるように感じます。
そういう時代だからこそ、浦河の強みであるこの「寛容」を形にし、世の中に示すことに大きな意味があるのではないでしょうか。

戦後だけをとってみても、樺太からの引揚者、各官公庁の転勤族、港へは全国各地の漁船とその乗組員、牧場へは世界中から牧夫、その他、障害ある方々や多様な技術や才能を持った移住者等、浦河は小さなまちながら大勢の「よそ者」を受け入れてきました
知人も「仕事柄、日本のあちこちの田舎に行ったけど、はじめて田舎でもここ浦河なら住めるかなと思ったよ」と仰ってました。
もちろんその時々でトラブルや問題もあったようですが、それも含め受け入れていく、懐の深さ、寛容さが浦河の良さだと思います。

中には「ごめん、そうは言ってもやっぱりヤダ」「外国の文化もわかるけど、そもそも日本の文化ではタトゥーはダメなんだから従ってもらうべき」という意見もあろうかと思います。
なるほど。
しかし、その文化、本当に昔からそうだったのでしょうか?

タトゥーNGは日本の文化?


明治初期。
近代化を進める中、政府はある日突然入れ墨を禁止する法律をつくりました。
それまで江戸時代、特に中期以降、肌を見せる飛脚やとび職、火消しの方々を中心に入れ墨文化が大変発達し、入れ墨をしていないとむしろかっこ悪い風潮があったようです。
この文化や価値観は、武士階級にも及んでいました。
それを「近代化した欧米ではそういうことしない。日本も近代化が必要だ」みたいな感じでいきなりダメということになりました。

というわけで、日本でタトゥーがダメな文化ができたのはわずか150年ほど前の話がきっかけで、しかも言ってしまえば海外の影響です。
それまではむしろ江戸を中心にタトゥー文化が花開いていたといえるのではないでしょうか。
ちなみにこの禁止令はいささか日本側の自意識過剰な対応で、むしろ海外の船乗りや王室の中には好んで日本の伝統技術による彫り物をいれた方々もいらっしゃったようです。

しかも北海道においては、アイヌ文化・歴史と言う視点もあります。
アイヌ文化では神の象徴として顔や手の甲に入れ墨する文化がありました。
これもやはり明治初期、国から一方的に禁止令が出ます。

来年北海道は命名150周年。
「共生」をキーワードとして、歴史や文化を捉え直すとしています。
道内でも比較的はやくから和人もはいり、温暖な気候故に多数のアイヌの方々が暮らしてきたこの日高の地だからこそ、歴史の問題を再考するいい機会ともなるのではないでしょうか。

ちなみに「入れ墨」という呼び方は、刑としてのそれが由来で、あまり好ましくないだろうと思ってます。
一般的には「文身」などと呼んでいたそうで、こちらの方が「タトゥー」のニュアンスに近いかもしれません。

様々ご意見もあるでしょうし、議論に時間をかけたほうがいい問題だと思います。
しかしこれもまた前回の記事と同様、他所からきた立場として思うことを率直に質問の形にできた自分らしい質問だったかな、と思っています。

池田町長は「親からいただいた大事な身体に傷つけるのはどうか」と仰っていましたし、もしかすると私が思ったよりは浦河は寛容ではないのかもしれません。
ただ、まずは行政とも「ただタトゥーはいってるから入浴はダメということにはならない」という基本的な認識は共有できました。
時代の流れを先取り、浦河の良さを具体的な形にしていくひとつの提案として受け止めて頂ければありがたいところです。


2017年9月23日土曜日

声をあげるということ、現実を変えるということ

9月の定例議会が閉会しました。
いつもそうなんですが、議会は独特の疲労感があって例えようもないのですが、終わるといつも変な汗出てぐったりして、精神的な肩こりみたいな感じです。
個人差があるのでしょうが、ふとこれはきっと私が読んだり書いたりするのに比べて、聞いたり話したりするのが圧倒的に、絶望的に、致命的に苦手だからというのもあるんじゃないかと思い当たりました今更。

書くことの(気の)重さ


議会って存外、(特に本議会は)読み書きがほとんどなくて、聞く話すばかり。
おかげで大事なことや肝心なことを言い忘れたり、単語がでてこなかったり、自分の意図や思いが全然伝わってなかったり、聞いてるとだんだん頭がぼーっとしてきて別の事考え始めたり、こういえばよかったと悔やんだり、どう言えばいいのか悩んだり、それはそれは二年経っても全然変わりません。
それこそぶっちゃけ世間話とかほんと苦手です。

そんな中、
「強みを活かせ」
と、とある人に言われたり、その後元ネタをぐぐったりして(やはり読まないと頭にはいらない)なるほどと膝を打ちまして。
なるべく書いていこうかな、と。

そのほうがみなさんのお役に立てるでしょうし、書けば書いたで色々言われることもあるのでしょうし、そりゃ職業的には不利な面もあるのでしょうが、何をやってもやらなくても色々言われるのでそのあたりはいい意味で開き直っていこーぜの気分です。
なるべくいい気分でやっていきたいと思います。
気は重いですが、文体は軽くいきます。

社会保障制度、このままでいいの?


さて今回の議会、その聞いたり話したりが苦手な自分なりに、そこそこ自分らしい発言ができたんじゃないかな、と思ったりしてます。
一般質問した二件の話はあらためて別の機会として、今回はある意見書についてなんです。

「介護保険の負担増及び介護抑制策の導入中止を求める意見書」というのものを浦河町議会から提出することになりました。
これは今年4月の介護保険法の改定を「改悪」とし、国はやめるようにと求める内容でした。
ではどんな「改悪」なのかというと、要するに収入がそれなりにある世帯の自己負担が増えたり、介護認定・給付を削減した自治体に財政支援してきますよーというものです。

ここで国の財政をみると、ヤバそうですよね。
いくら借金しても大丈夫という大臣もいるようですが、全然そう思えないです。
じゃあなんでそんなにヤバいのかというと、社会保障費の増大です。
それもほとんど高齢者福祉に関わる予算の増大です。具体的には年金、医療、介護です。

例えばこれ、税と社会保障のあり方を抜本的にあらためる、というのでなければ(そしてそれは政治的ハードル高すぎてもはやほとんど不可能にみえますが)、やはり一定の改定をしていかざるをえないのは明らかです。
抜本的にあらためるでもなく、改定もダメでは将来世代にまったく無責任だ。
というか今までの無責任の連鎖が今だ。
というのが私の立場です。

今回の改定は、お年寄りでも多少ゆとりのある方には負担してもらったり、誰でも彼でも介護施設にいれてどんどん介護レベルがあがっていってしまう状況を野放しにせず、自治体にも元気なお年寄りを増やしてもらう努力を求めるというのはある程度理解できるところです。
利用者負担の増はダメ、介護給付の削減もダメ、抜本的な制度の見直しもダメ、かといえば国の借金増やすのもダメ、何も変えちゃダメ、ではじゃあどうしたらいいんですか、マジで、と常々感じているところです。

というわけで
「将来世代に無責任であることから容認し難い」
という趣旨で反対討論いたしました。

正直介護制度にそんなに明るいわけではないです。
毎年のように変わるし。認識も多少間違ってるかもしれない。
結果としては賛成多数で提出に決まったわけですが、ただ何でも「問題なし」で通すのではなく、若い世代として言うべきことはしっかり言うことが大切だと思い直し、思い切って意見したところです。

若い世代が「声をあげる」ということ


よく若い世代の声がー、とかシルバーデモクラシーがー、とか言われますが、果たして本当に若い世代はやるべきことをやっているのだろうか。
と思うようになりました。
わが町の議会では、会派問わず、むしろ提案者サイドからも「若い世代ならそう思って当たり前だし、どんどん意見を言ったほうがよい」と言われたりするくらいです。
これは本当にありがたいことですし、浦河のこの懐の深さは誇りに思うところです。

「声をあげる」という言葉が、勘違いも甚だしい使われ方をする昨今です。
そりゃデモ行ったりツイッターするのもひとつの飛び道具かもしれませんが、我が国では議会を通じて制度・現実がつくられていくわけです。
意見書もその議会のルールに基づいて行われるわけで、バカにできない。ツイートよりも意見書の文面でも考えたほうがはるかに有効だと思います。
ほんとこのあたり議員になるまでまったくわからなかった。

議会に限らないことですが、なんとか総会やらなんとか委員会ってたくさんあって、現実にそういう場が構成員の総意を決める場であるわけです。
そこで何も言わないということは、それでいいと表明しているのと同じなわけで、あとから「本当は違うと思ったんだけどね」はルール違反です。
ちゃんと勇気をもって、しかるべき場で発言することが本当に大事。

その発言ひとつでは今すぐ現実は変わらないかもしれない。
が、現実を変えるということは、大きな岩に水で穴をうがつようなものであり、力によるのでなければ、やはり言葉によってしかそれは叶わないことなのだ、と議員になって実感としてリアルにわかるようになりました。
そう思うと議会だけじゃなくて、世の中ってそうなんだなあと見方が変わりました。
あんまりピンと来ないかもしれませんが、でもまあほんとにそうだよなあと感じることばっかりです。
あなたの勇気が現実を変える。かもしれない。

というわけで、先に書いた「自分らしさ」っていうのは、若い世代の立場だったり、他所から来たしがらみのない立場であったり、行政に近い職域の経験者であったりするわけです。
そういう意味で、そこから見える景色を言語化して、伝えていく、ということが今回の議会では意識してちょっとはできたかな、ということで。

ではでは。

2017年8月1日火曜日

任期折り返しの報告① 行政の情報公開!

久しぶりの更新になってしまいました。

6月いっぱいまで「うらフェス」にどっぷりで、その後も議会やら昆布漁のお手伝いやら、気づけばもうすぐ夏も終わってしまいそう(気が早い)。
一旦間があくと、どうもなかなか手につかないですよね(言い訳)。
思い立ったが吉日ということで、えいやっと筆を執る次第です。キーボードですが。

と、カジュアルに書き出してみましたが、なんと。
いつの間にか四年の任期の半分が終わっているわけでございまして、誠に光陰矢のごとしです。

年始に振り返り記事なんかもやりましたが、今回は任期半分の振り返ってみます。
ちょうど、先日開催した「活動報告&意見報告会」でざっくりそのあたりお話したので、そのままその報告みたいな感じになろうかと思います。

活動報告&意見交換会


手探りでやりはじめた会ですが、定例会(3月、6月、9月、12月)が終わった後に開催しています。前回で6回を数えました。
だいたいいつも10人くらいの方に来ていただいていて、車座で和気あいあいとやっております。

車座でわいわいやってます

最初にざっくりこちらから報告をお話して、後半はそれと関係あるコト(ないコト)、まちの気になることを色々お話いただいてます。
ようやく肩の力を抜いてできるようになって来たような気がします。
たまに近隣町村からスパイ(!?)も来て、他町の話も交えてなかなか活発です。
意外となかなか楽しいので、これからも続けていきます。

議員の活動は「わからない!」と言われがちです。
議会での発言がどんな風に形になっていくものなのか、このブログでも、報告会でも、ちょっとでもご理解いただけると嬉しいですね。

行政の情報公開


さて、その報告会でもお話した報告の一つ目。

以前、行政の情報公開を進めるべきと訴えました。
浦河町議会の先進的といっていい情報公開については以前も触れましたが、行政もずいぶん進めています。

私の考えはこちらから見れますが、要するに、行政情報を積極的に公開することは、信頼や知見を得ることにつながり、町民と一緒にまちづくりをする基本になります。お金も手間もかからないですし。

2016年5月の議会だより抜粋

こうした考えに理解いただき、公開すべき情報を内部で検討、整理いただきました。
今では最新の情報がこまめにウェブサイトで更新されています。

中でも特筆すべきは、町が事務局をしている様々な協議会の議事録と配布資料が公開されていることです。
ここまで一気に公開が進んだのは私も正直びっくりです。
手間もかかるかなと思ったのですが、もともと内部資料として議事録は残しているため、アップするだけのようです。
関心のある方は下記のリンクからどうぞ。

- 会議結果|町政に関する情報|浦河町


しかし浦河のような小さなまちでもこんなにたくさんの会議があるとは!
議会だけでなく、様々な分野の会議でたくさんの方々が意見しているのだなとあらためて知ることになりました。

報告会では、FacebookなどのSNSでも発信しないのかといった声もありました。
確かにやらないよりはいいと思うのですが、内容や頻度の検討は必要がありそうです。

ちなみに今年の議会(委員会含む)の議事録はこちらで公開されてます。
膨大な量なので追いついてないところもありますが...。

いっぺんに書くつもりだったのですが、長くなりそうなのでいくつかにわけますね。
議員かくあるべしみたいなのにほとほと疲れたので、しばらくはこんな感じでやってこうと思います。
ヒゲ型も微妙に変えました。

2017年3月1日水曜日

浦河から考える日高の広域公共交通試案(3)

日高の広域公共交通を浦河から考える第三弾です。
その後、日高線は沿線7町長が全線の復旧を断念し、一部区間を復旧してDMV運行の可能性を模索する方針になりましたが、ここでは引き続き淡々と必要な公共交通について考えていきたいと思います。

前回までは、地域に最低限の公共交通が必要であることと、その「最低限」の補助線として3時間の「日帰り圏」をひとつの例として示しました。
浦河からは現在、公共交通では都市部へ日帰りでアクセスできない状況が続いています。


「特急うらかわ号」を増えせば日帰り圏は解決するのか?


今まで浦河から最寄りの都市であった苫小牧市。
JRで2時間半でしたが、代行バスだと4時間以上かかります。

ただし、もうひとつ選択肢があります。
前回もお示しした、浦河から苫小牧経由で新千歳へ向かうバス「特急うらかわ号」です。
一日一本しかありませんが、3時間で行くことができます。

「じゃあ単純にこの3時間で行けるうらかわ号増便すればいいんじゃないの?」
と考える方もいるかもしれませんが、本当にそれで解決するのでしょうか。

こちらを御覧ください。

うらかわ号所要時間代行バス所要時間JR(H26)所要時間
浦河駅6:549:308:36
静内駅7:5060分10:5686分9:3559分
鵡川駅8:5060分12:55119分10:4267分
苫小牧駅9:4555分13:3338分(JR)11:1735分

特急うらかわ号日高線代行バスJR日高線(運行時)のダイヤと所要時間の比較を表にしたものです。
ぱっとみて、代行バスの所用時間に目がいきます。
ここの浦河-静内間に時間がかかる理由は、国道から山中の駅にぐるっと迂回して行くのでわかりますね。

しかし、同じようにほぼ国道沿いの静内-鵡川間もかなり時間がかかっています。
なぜでしょうか。

乗客の乗降車にも時間はかかる


単純な鉄道と自動車の速度以外にいくつか要因があると思いますが、実際に乗ってみるとわかってきます。
ひとつはこの区間も一部国道から駅に向かう道にはいっていくこと、さらに静内駅での接続に余計に時間がかかること、もうひとつは駅とは別に高校生のために途中の高校で直接乗降車しているためと思われます。
が、その要因以上にかかってしまっているようです。

それが途中での乗客の乗降車時間です。
あまり人が乗っていないと言われる日高線ですが、本来300人の輸送密度がある区間です。特に静内以西は比較的人口も多い区間です。
早朝に出発して乗り込む乗客のほとんどが苫小牧で降車するうらかわ号と違い、日中に区間内の乗降車がちょこちょことある代行バスではこの点が異なります。
ですから、そのあたりも考慮にいれると単にこの「うらかわ号」のようなバスを増やしても3時間にはなりません。おそらく全体で20分は超過してしまうはず。
というか、それなら3時間半で行ける札幌と変わらなくて、「最寄り」ですらないのですが...。

このようにDMVでも、そのままバス転換しても、この日帰り圏の問題はおそらく解決できないだろうと思います。
また日高道延伸をその代替とする考え方もありますが、公共交通の視点で言えば、残念ながら所要時間に寄与しません。
その日高道、門別から静内までの延伸に1,500億円かけて30分ほど短縮されるのですが、JR日高線は復旧に150億円もかからず2時間の短縮効果(浦河-苫小牧間、代行バス比)がありました。
沿線7町長には今まで復旧に向けて取り組んできていただきましたが、全線復旧は断念とした判断は大変残念に思います。

とはいえ、ここからどうするかを考えていかなければなりません。
試案と言いつつ現状の整理で3回もかかってしまいましたし、その間に状況も変わってきてしまいましたが、次からいよいよ本題に入っていきたいと思います。


2017年2月7日火曜日

浦河から考える日高の広域公共交通試案(2)

日高の広域公共交通を浦河から考える連載の第2回です。

前回の記事では、自家用車以外の方の移動手段として最低限の公共交通が必須だという考え方と、現在の浦河を中心とした公共交通網を示しました。
では、どのような公共交通が「最低限」なのでしょうか

日帰り圏という考え方


色々と考え方はあるでしょうけれども、一つの視点として、日帰り圏というものがあります。
全国市町村アンケートによると2時間40分ですが、国交省は3時間を日帰り圏と考えているようです。
いずれにせよ2時間半から3時間程度が、日帰りで行き来できる圏域と考えて良さそうです。どこに住んでいても、一般的な実感としても妥当と言えるのではないでしょうか。

自家用車の日帰り圏


現在、国として中核都市への都市機能の選択と集中が検討、実施されています。
浦河のような農村部としては、日帰りできる都市へのアクセスの重要性は高いです。
これが自家用車の場合、何の問題もありません。

浦河町を中心とした自家用車による時間圏域
ざっくりとした図ですが、ご覧の通り、札幌や釧路まで3時間程度で到達可能です。
苫小牧や帯広まで2時間です。

公共交通の日帰り圏


ところがこれが、公共交通だとどうでしょうか。
前回の記事でもお示しした現在の公共交通をもう一度御覧ください。

浦河を取り巻く広域公共交通網

札幌まで3時間半かかっており、日帰りがちょっと難しくなります。
現実にはバスで日帰り出張している方もいらっしゃいますが...。結構身体がきついですよね。

次に苫小牧ですが、JRだと2時間半で行けていました。
これが今の代行バスでは、乗り換え時間も含めて4時間です。
これにより、例えば前回お伝えしたような苫小牧に行けない方々が現れました。

もう一つの選択肢として、苫小牧を経由して新千歳まで行くバス「うらかわ号」があります。
これは3時間で苫小牧に行くことができますが、往復一日一本しかないので、なかなか使いづらいのが正直なところです。

帯広まで4時間半釧路まではそこからさらに2時間です。

JRが運休してから、通院、買い物、仕事、家族や友人との交流など、もともと日帰りできていたものが、できなくなっている現状があります。
「最低限の公共交通」を考えるにあたって、このような都市部への日帰り圏をひとつの補助線にしてみるのがいかがでしょうか。

今回はここまで。

3月2日(木)に「日高の公共交通を考えるシンポジウム」が新冠で開催されるようです。
それまでにもう少し考えていきたいと思います。

2017年1月30日月曜日

浦河から考える日高の広域公共交通試案(1)

昨年11月のある日、浦河町内の知人から一本の電話がかかってきました。

70代の母が手術することになり、札幌の病院から紹介された苫小牧沼ノ端にある病院に入院することになった。
だけど、自分も母も運転できない
苫小牧直行のバスは早朝一本しかないから入院受付の時間まで4時間も待たなければならない。あたりに時間を潰せるところもない。
代行バスと言ったって、列車なら2時間半くらいだったが、片道で4時間以上もかかる。
数週間の入院だから荷物もあるし、乗り換えが2回もあって大変。
とてもじゃないけど使えない。
武藤さん、悪いんだけど車で送迎してもらえない?

というわけで、退院するときとあわせて苫小牧を二回、送迎で往復しました。

これは決して稀な例ではありません。
事実、代行バスになってから日高線の利用者(輸送密度)は、三分の二に落ち込んでいます。
端的に、不便だからです。

「不便だろうが、使わない住民が悪い」
というような一部都市部の方の考えもあろうかと思いますが、あまりにも不便であれば利用できないのもまた真実です。
そして今、少なくとも浦河では、現実的に利用できるような公共交通が確保できていないと考えるべきです。

地域も本当に必要な交通網の考え方をまとめるべき


日高線が運休して2年が経ちました。
今回はたまたま私に相談がありましたが、このように不便を感じる方が周囲に送迎をお願いする光景を想像するのは、難しいことではありません。
「日高線が止まっても誰も困ってない」
などと乱暴なことを仰る方もいますが、公共交通が利用できないものであれば、まわりの負担にもつながります。
もう少し実状を知っていただきたいところです。

北海道は自家用車中心の生活とは言え、車を運転できない人もいます。
車を運転しない人が、他所から商用や観光で往来することもあります。
最低限の公共交通は、自家用車以外の方の移動手段として必須です。
ここまでは、どなたも異論ないかと思います。

さて現状をみますと、日高地方、特に浦河含む静内以東では、広域交通網が成立していないと認識しています。
ざっと図にするとこんな感じです。

浦河を中心とした現在の広域交通

交通機関が分断されています
このようにあらためて示すと、普段乗るものは別として、それぞれ接続できるのか、途中で乗り降りできるのか、どこで乗れるのか、住民すらよくわかっていない状況だと思います。
さらに都市部からのアクセスが悪すぎて、浦河への来訪を断念された方も現実に何人もいらっしゃいます。

道も広域公共交通に関するワーキングチームをつくり、考え方がまもなくまとめられます。
しかしこれも地域の実状に沿った報告書ではないと聞いています。
私としては、地域の側からも本質的に必要な交通網の考え方をまとめ、声をあげる必要があるのではないかと考えています。

今、日高管内には鉄道の存続を訴える団体とバス転換を主張する団体と双方ありますが、まだ当地域における広域交通のビジョンを持つには至っていないのではないかと認識しています。
このブログでは、拙いなりに私なりに考え、何回かにわけて整理していきたいと思っています。


2017年1月7日土曜日

2016年を振り返って。一年間の自己評価

あけましておめでとうございます。
あまり雪のない浦河の風景の中で年越しでした。
雪の多い札幌出身の私としては、なんとなくクリスマスや年始をそれほど実感しないままに新年を迎えてしまいます。

恒例の商工会議所の新年交礼会

さて、昨年の議員の活動の振り返ってみます。
昨年は3つの柱を立て、それを意識しながら活動をしてきましたので、照らし合わせながら自己評価してみます。当時の記事はこちらです。

町民ときちんと話し合う仕組みづくり


一点目は、行政の情報発信と町民の声を聴く体制づくりでした。
私も月5本(年間60本)を目標にブログ運営に取り組み、議会で議論されている内容を発信してきました。

情報公開に関しては一般質問でも取り上げ、行政情報のウェブ公開をすすめていただきました。
また自分自身は、昨年から定例議会ごとに報告会も実施してきました。
いつも10人程度の方に来ていただいておりますが、良い場になっていると感じていますので、引き続き続けていきたいと思います。
しかし先進地の視察はできないままでしたし、ブログ記事も結局48本の公開でした。

今は行政の「声を聴く体制づくり」に関して、再考が必要かと考えています。
昨年は、日々の事業運営や予算編成における判断ややり方に疑問を感じることが少なからずありました。
問題は「体制」というよりも、現場を大事にする「姿勢」なのかもしれません。
町民のみなさんが求めていることの本質を見極めながら考えていきたいと思います。

議会のあり方再考


二点目は、大きくは議員定数の問題でした。
この一年、自分なりに悩み、考え、特別委員会でも議論を重ねてきました。
結果として、2減の16議席となり、町民の声を聴く場づくりの検討もされることになりました。声を聴く場づくりは一点目とも重なるところです。

議会はどうあるべきか。

議会としての取り組みも、もちろん大事です。
が、今回の議論を通じてわかったのは、それ以前に町民の皆さんに議会へ関心を持っていただくことや、そもそも議会とはどういうものか、議員の仕事とは、というところからご理解いただく必要もあります。

先日ご報告の通り、今年から会議録のウェブ公開と図書館閲覧は実現しました。
議論は一区切りですが、このあたりは地道な取り組みが必要になってくると考えております。
浦河の議会の仕組みについては、以前になるべくわかりやすく説明した記事があるのでぜひそちらをご覧ください。

「誇り」を持てるまちづくり


「何かわくわくするような動き」と抽象的な言い方をしていたこの三点目。
これはもうまったく手をつけられませんでした。

先にも書きましたが、昨年は行政執行に疑問を持つことが度々ありました。
議会でも是々非々で質問や意見は(場合によっては反対も)していますが、わくわくどころか、こうしたネガティブな案件への対応に追われていた気がします。

今年はもう少し意識して、ポジティブな動きの後押しをしていくことに時間や労力を費やしたいと考えています。

まとめ


以上、一年前の抱負の点検でした。
点数にすると、うーん、55点ぐらいですかね...。
1と2については、課題も残りましたが、環境整備としてはひとつの目処がたちました。
あとはもう3に関連するところですが、意欲ある人や取り組みを見出して、しっかりと支えていくことに尽きます。

いかがでしょうか。
「議員の仕事」(行政の仕事もそうですが)は一年で評価するものではないのですが、こういう風に目標と進捗状況をご説明すると、少しわかりやすいのではないでしょうか。
でもそれを「なぜするのか」という目的はちょっとわかりづらかったかもしれません。

今年も必要あらばこんな感じで書き出してみようと思います。
会議録の公開も決まったので、今後のブログのあり方も要検討です。

それではみなさん良い一年を!