2016年10月14日金曜日

浦河のこの先10年を考える総合計画を審査。若い世代の活発な議論に期待

10月6日(木)のことになりますが、第一回目となる浦河町総合計画策定審査特別委員会があり、傍聴してきました。
この委員会は、町長からの設置の要請をうけ、前回の本会議の際に議会が設置したものです。委員は、岡崎委員長、井上副委員長以下、武中、米谷、斉藤、古江、中山、荻野、木下です(敬称略)。

総合計画って?浦河の考え方


総合計画とは、まちのこれから10年間の取り組みのあり方を示す自治体にとってもっとも重要な柱となる計画です。これを基本として、今後分野ごとに様々な計画がつくられていきます。
今年、浦河町は第七次となる総合計画を策定する年になります。
大まかな方針を示す基本構想というものと、前期と後期にわけて具体的な実施事業を示す基本計画というものがあります。

第六次の総合計画。分厚い資料です

浦河町では、今回の総合計画になるべくこれからの浦河を担う若い人たちの意見を多く取り入れることを考えています。
総合計画をどういうものにするか検討する審議会が設けられるのですが、業界や団体から選ばれる審議員にも、なるべく次世代を担う若い方に来て頂けるよう働きかけ、実際に20代から30代の方々の名前が数多く見受けられました。

これとは別に、浦河高校生の有志十数名で構成される高校生会議もあり、4グループにわかれて将来実現したい具体案を検討中です。どんな案がでてくるか今から楽しみです。

その他、役場の30歳以下の若手職員が招集されて、議論する場も設けられています。
担当課を横断して政策を研究する非常に良い機会と聞いております。こうした有益な勉強会は、総合計画を策定したあともぜひ継続していただきたいものですね。

こうした複数の会議で出た様々な意見を取り入れ、ひとつの計画にまとめていく考えです。担当者はちょっと大変そうです。

今までの総合計画とこれから


実はこの総合計画、今までは国からつくることを義務付けられていました。
しかし地方自治推進の流れで、今後つくるかどうかは自治体の判断に委ねられることになりました。
浦河町としては、一番重要な柱としてやはり策定すべきだという考えです。

ただ、今までの総合計画は、「何をするか」という事業名が羅列されるのですが、「それが実際に実施されたかどうか」を評価をする形になっていました。
これでは「とにかく書いてある事業をやればいい」という考えになりがちで、「何のためにそれを実施して、目的は達成されたのか」という考え方にはなかなかなりません。

そこで今回は、評価の方法そのものをあらため、本来大切にすべきである数値目標をつくり、評価していく考えです。これにより「目的に沿った事業ができているか。その達成のために他のやり方がないか」が意識付けられることを期待できます。
項目によって、各産業の売上高や施設等の利用状況、住民の満足度といった数値が考えられます。
次の委員会以降、前回の総合計画に対する評価と審議会での議論の内容が示されていきます。

若い世代中心の議論に期待


ここで余談をひとつ。
私は今回、この委員会にははいっていません。
なので今後、私が総合計画について公式に発言する場はありません
そのことで気遣いの声をいただいたりもしたのですが、あまり問題はないと考えています。

今回の策定にあたり、若い世代の声を反映する浦河町の考え方と体制づくりに対して、私は全面的に賛同しています。
細かい部分ではもうちょっと改良の余地はあるかもしれませんが、何せはじめての挑戦でこうした方法で進めているので、まずは高く評価すべきと考えています。

また、この町に生まれ育った若い世代が多数この計画の策定に関わり、未来について真剣に議論いただいていることを踏まえれば、議会として言えることもあまりないのではないかと思っています。
昨年の総合戦略の策定を踏まえて、若い世代の声を反映する仕組みづくりをしていただいていますし、今回の総合計画に盛り込まれるべき重要項目はすでにみえている現状では特にそうです。

審議会や高校生会議、若手職員の会に活発な議論を期待し、自分もなるべく時間をつくって当委員会を傍聴し、議論の推移を見守っていきたいと考えています。

2016年10月8日土曜日

日高線沿線協議会、浦河町の質問にはゼロ回答。二択提示は不適切

9月13日(火)から15日(木)までに第五回浦河町議会(定例会)がありました。
9月議会は水道事業決算が主な議題なのですが、その中で、池田町長からJR日高線沿線自治体協議会の現状について報告がありましたので、遅くなりましたがお伝えします。

JR北海道から自治体への二択提示


まずは、9月8日に開かれた同協議会の内容です。
報道にもある通り、JR北海道としてこれ以上の経費圧縮は不可能であり、また老朽化対策として相当の金額が将来発生する説明の上、自治体へは二択の解決策を示してきました。
いずれかを了承しならば廃止というメッセージと受け取ってよろしいかと思います。

浦河駅構内。左手は浦高生美術部作の絵画

ひとつは上下分離方式です。
これは非常に多様なあり方があるのですが、今回の提案では、列車運行の部分(上)だけJR北が担当し、車両・施設・土地の保有・維持管理(下)は自治体というものでした。
なお、実は海外の鉄道は上下分離方式が一般的なのですが、その「下」は自治体ではなく国や州レベルというのが通例です。

もうひとつは費用支援です。
こちらは運行にかかる赤字相当額13.4億円を沿線自治体が分担して費用支援するというものです。道はまったく負担しないと明確にしています。

池田町長は、いずれの内容も浦河町の財政状況からみて不可能との認識です。
私としても、この二択であればそう思うしかありません。
が、そもそも、その二択の提示自体も内容もおかしいだろうというのが私の考えです。

池田浦河町長からの質問にはゼロ回答


池田浦河町長もその点は同じ考えのようで、同協議会の席上でいくつか質問をされています。

  1. 日高線をモデルとし、なし崩しで廃線を進めていいのか。北海道全体の公共交通のあり方も含めて議論すべきではないのか。
  2. 北海道では新幹線含む全線が赤字だが、すべての路線で自治体負担を求める考えなのか。
  3. 輸送密度・利用状況が同程度の路線も大雨・台風で被災して運行休止しているが、同じ考えで話を進めるのか。
  4. すでにこれは存廃にかかわる話だが、日高側7町だけでなく、苫小牧側を含めた10市町で考えるべき問題ではないのか。
  5. もし仮に廃止になった場合、今まで建設海岸(道管轄)と鉄道海岸(JR北管轄)で押し付けあっていた部分も、きちんと建設海岸として道が優先的に整備するのか。

これらに対して、まったくのゼロ回答とのことです。
「今は日高線の話をしているのだから、道全体のことはここで答える必要も準備もない」と受け取ることができます。
すでに同協議会は実質、存廃議論になっているにもかかわらず、そこをうやむやにしたまま苫小牧側もいれずに話を進めるのはいかがなものでしょうか。

また、道庁の方にもお話を伺いましたが、正直申し上げて、残念ながら道全体の交通体系はどうあるべきかという考えやそういう発想すらそもそもないように感じています。
当然各自治体間でも相互に議論を深めていかなければならず、今まで不十分だった部分だと思いますが、思い切った広域連携や交通網全体としての考えは戦略的に道が打ち出す必要があると考えています。

今年は記録的な大雨と台風により、北海道各地で大きな痛手を追いました。
一次産業だけではなく、物流も寸断され、その全国的な影響力の大きさを実感したのではないでしょうか。JR北海道も例外ではありません。
ここは北海道が一丸となって今後の交通網について考えなければならないのだろうと思います。

ところでつい先日、浦河と日高中部のJC(青年会議所)が共同で今月実施するJR日高線の勉強会のご案内をいただきましたので伺ってきます。
また、6千戸強の浦河町内で3千戸ほど配布されているフリーペーパー(?)「マルセイニュース」の今月号にも日高線のことがたくさん、大きく取り上げられています。
このように地域で関心をお持ちいただき大変ありがたいところです。


2016年10月1日土曜日

全国でも二番目の桜が浦河に。知られざる浦河の樹木の価値

身近すぎてその価値に気づかないもの、ありますよね。

全国二番目のエゾヤマザクラ


浦河のJRA敷地内にある通称「百年桜」もそのひとつ。
なんと全国でも二番目の幹周りを誇るエゾヤマザクラだそうです。
9月21日(木)に林活議連(森林・林業・林産業活性化浦河町議会議員連名)で優駿さくらロードを視察した際、講師の樹木医金田正弘さんに教えて頂きました。

樹木医金田さんのわかりやすいご説明

ちなみに一番は室蘭の幌萌にある桜。
幹周りが4.3mもあるそうです。こちらの記事(室蘭の桜の名木2選!草原に咲き誇る崎守の1本桜 & 幌萌の大山桜)からご覧になれます。

桜だけじゃない浦河の樹木の価値


さらにすごいのは桜だけじゃないようです。
カシワやカスミザクラも道内でトップクラスの数と規模とのこと。

「これだけゴロゴロたくさんあるから素通りしちゃうけど、こんな太さのカシワって珍しいんですよ」

金田さんの説明に、同行した議員や職員も驚きの連続です。
他には、世界でも珍しい白のナナカマドまであります。

英国や中国にもあるらしい白のナナカマド

まだまだ見出せていない価値が浦河にはたくさんあると痛感しました。
専門家と歩くと、普段の景色がまったく違ってみえるから不思議です。

桜は樹木の中でも特に傷に弱く、維持補修が肝心です。
地域によっても特徴が異なり、専門性が要求されます。
見頃には各地からファンが訪れる浦河の桜。次の世代へ大切に継いでいきたい浦河の自慢の宝ですね。

JRAさんも金田さんのアドバイスを時々受けて、樹木の手入れをしていただいているとか。地域の魅力向上への貢献に感謝です。

今は苫小牧に居住しながら全道各地の樹木をみている金田さん。引退したらこの宝だらけの浦河に住めないかと画策しているそう。
ぜひ住んでいただいて、地域内外の方たちを対象に浦河の樹木ツアーをしていただきたいところです!