2016年7月31日日曜日

6月大雨被害のための補正予算を可決。先日もまた大雨で避難勧告

7月26日(火)第四回議会(臨時会)がありました。
補正予算と工事請負に関する短い審議で、午前中には終了しました。

大雨被害の災害復旧費で補正予算


予算の補正は、6月16日から17日、20日にあった大雨による被害に対する災害復旧費による増額補正です。
浦河町で6月としては前年比3倍、過去最大の雨量を計測しました。これによる林道等被害の復旧のため、測量委託料600万円、王宮復旧費2,000万円を計上しました。
財源はまず基金から繰り入れ、財務局の災害状況査定後に起債の措置をとります。

議会後ですが、つい先日も28日から29日にかけて全町避難勧告がでるほどの大雨でした。
ニュースでも大きく取り上げられ、心配の声をいただきました。ありがたいことです。
落ち着いた本日、何箇所か町内の被害実態をみてきました。浜のほうは大丈夫そうですが、山のほうはいくつか被害があったようです。
※ 昆布干場の冠水、流木流出等があった模様です。失礼しました。(2016/8/2 追記)

報道にもありましたが、新ひだか町との境付近で運休中のJR日高線の路盤が流出していました。線路が宙に浮いています。
道路脇のため発見されましたが、山の中はどうなっているのか。調査しなければ全容はわからないようです。

あたりの草地もなぎ倒される水量だった模様

それから富里にあるいちごハウス団地ですが、作物への給水が停まり、急遽借りたタンクに水をいれて対応しています。農林課が動いてくれて助かったと言っていました。


野深のほうでは川の近くの農家・民家で避難された方がいました。
朝方トイレが流れないことに気づき、外に出たら貯水槽が溢れ、向こうを見ると水が迫ってきていたそうです。間一髪で車で脱出できたと言っていました。
川が逆流し、三方向から水が流れ込んできたそうです。

議会でも防災については複数の議員が取り上げていますが、ここ2ヶ月このように大雨が続いていますね。私も全町的な治水・防災の体制について少しずつ調べて行きたいところです。

姉茶橋の工事請負契約


老朽化した姉茶橋の補修工事が3カ年で行われます。
今年は上田・谷JVが入札、9月以降の工事で、工期は2月までとなっています。

橋の幅員が狭く、工事中は車の走行ができないため、迂回路での通行になります。
昨年12月に自治会には説明済みとの報告がありました。

堺町川沿団地の工事請負契約


川沿団地は2014年度から建設されていますが、今年は3棟12戸が施行されます。
昨年は杭の打ち替え問題もありましたが、あらためてボーリング調査を実施しており、その内容も反映した入札とのことです。

3棟はそれぞれ神馬・三島JV、下神田・小田JV、大谷・向井JVが入札し、工期は7月29日から12月20日までです。
こうした入札に参加できる企業は、規模に応じてAからCまでのランクがあるのですが、建設業者についてはA6社、B5社、C3社と以前に比べて町内の業者数もだいぶ少なくなってきたそうです。


2016年7月22日金曜日

アエルの決算は減収増益。本質的な問題は意思決定の仕組みでは

7月19日(火)の総務産業建設常任委員会を傍聴しました。

旧野深小学校利活用の事業計画変更


今年の1月に処分の決まった旧野深小学校ですが、そのサービス付き高齢者向け住宅の事業計画に一部変更があった旨の報告がありました。

当初9月に予定していた入居開始ですが、10月になりました。また部屋数は45室(50名)から44部屋(56名)に、職員体制は1名増加の19名になりました。
名称は「ルピナス館」だそうで、ウェブサイトも完成したようです。

JR日高線


6月議会では私も取り上げたJR日高線ですが、米谷議員も質問しており、その際に所管委員会への現状報告を求めていました。

被災から現在までの経緯の報告がありましたが、直近では間もなく全道町村議長会及び日高総合開発期成会として、関係省庁や国会議員に対して早期復旧の陳情が行われる予定です。
また、日高管内各町と北海道日高振興局でとりまとめて昨年11月に提出した「JR日高線の利用促進に関する検討報告書」が配布されました。

うらかわ優駿の里振興株式会社(アエル)の決算報告


6月24日にアエル運営会社の株主総会が開催されました。
浦河町は当社の株の51%を所有しているため、所管委員会である総務産建にもその決算報告がありました。


前年度比で減収増益ですが、経営は依然として厳しい状況です。
なぜなら「増益」といっても本業での儲けである営業収益(損失)は赤字、「営業外収益」で利益を確保しています。そしてその増益分は主に、町からの指定管理料増額に伴うものとみられます。

アエルの経営については色々と言われていますが、そもそもどう評価すればよいのか非常に難しいものだと感じています。

今までの経緯と現状、そして将来像がごたまぜになったまま語られて、一体何について議論されているかもわかりづらいです。
きちんと説明しなければならないのでしょうけれども、現時点ではまったくうまく伝わっておらず、うまく伝えようにも慎重にしなければ誤解を招きかねず、説明自体に二の足を踏むことも多いのでしょう。そして不信感を招くという悪循環です。
すべては無理ですが、ここで少しだけ状況を説明してみたいと思います。

まず今年良かったのは、乗馬施設への案内板が設置された点です。

設置された乗馬施設への案内看板

3年前、私が浦河に来た時から何度もお客さんに口頭で説明しようとして難しかったのが、この乗馬施設への入口でした。ホテルの正面入口とは異なるため、せっかく乗馬をしたくても、行き方がわからず迷った方が多かったのです。
看板などたいした金額ではないのでしょうが、非常に厳しい経営状況の中、ようやく投資できたのだと思います。

簡単に考えれば「なぜ今までつくらなかったのか」と思うかもしれませんが、アエルのもっとも大きな問題は、そもそもこの程度の投資すら難しい組織の意思決定の仕組みとその無理解にあると思っています。

教科書通りのことを言ってみれば、経営の立て直しのためには新規顧客獲得はもちろん、もっとも大切なのは顧客満足度を向上させ、リピーターを増やし、価値を最大化させることです。現場がきちんと顧客に向き合い、どうすれば喜んでいただけるかを考え、サービス向上に取り組めばよいということになります。
しかしそれこそがなかなか難しいのだと思います。なぜでしょうか。

現場は一つ、意思決定は三つの利害関係者


アエルはまずは観光宿泊施設ですから、一番の顧客は観光客のはずです。
ところが、その経営には取締役、株主、議会という三者の利害関係者が関わっています。顧客にかかわる現場はひとつなのに、意思決定者は三者もいるのです。そしてこの三者というのは、ほとんどすべて浦河町民なのです。

これでは現場は顧客に喜んでもらうよりも、経営の意思決定にかかわる浦河町民の声をまず大事にしなければと思ってしまうのではないでしょうか。
しかし町民は、上述の通り本来の顧客ではありませんし、またそのほとんどは宿泊業経営のプロでもありません。
これでは経営はうまくいかなくて当たり前なのではないでしょうか。

今のアエルは、観光振興(A)と町民福祉(B)の両方を実現する施設にする方向性で合意した過去があると聞いています。
今も賛否両論あるかと思いますが、喧々諤々の議論の末の合意と聞いていますから、現時点ではその当時の判断を尊重したいと思います。
そして私としては、その(A)と(B)の折衷状態としては(それが良いかどうかは一旦置いておき)、まだうまくいっているほうではないかと思っています。

(A)と(B)というまったく異なる考えの両立ということで、私には矛盾に思います。
しかし今はその矛盾に現場が必死で向き合って対応しているのですから、少なくとも意思決定の三者のうちのひとつである議会は、その経営について多くを口出しすべきではないと私は考えています。
議会として判断すべきなのは、関連する町からの支出は目的に適ったものなのか、そしてその金額は妥当なのか、という点のみだと考えています。

なお(B)の側面としては、パークゴルフ場、サッカー場、合宿棟、遊具公園、銭湯などが挙げられると思います。
これを町単独で維持管理するとなればそれ相応の負担を覚悟しなければなりません。これと現在生まれている観光経済効果を合わせて、支出の妥当性を考える必要があります。


2016年7月18日月曜日

議員定数を減らすことは誰のためになるのか?

7月13日(水)に議員定数調査特別委員会がありました。
引き続き、議員定数についての議論です。

減らす明確な理由はあるのか


まず定数維持を訴える武中議員から口火が切られ、削減論者に対する問いとして4点が挙げられました。
なお手元のメモから書き起こしているため、発言そのままではない点をご了承下さい。

1.無投票だったことを理由に削減というが、定数を減らせば選挙になるのか。
他町村をみれば新たな立候補者がほとんど現れないのが現状であり、減らしたとしても結局無投票だったりする。

2.少数精鋭の議会という意見もあったが、単純に定数を減らせばそれは実現するのか。
町村の議会では本業がある中でできる限りの活動をしており、それぞれ本業の分野や属性の視点から行政に対して声を届けているのが現実。

3.なぜ町民は減らすべきと言っているのか。
今の議会に対する不満の声があるのは確かだが、減らせば町民にとっては身近な議員が減ることになる。説明すればわかっていただけること。

4.議会には様々な産業や立場を代表する多様な視点があるべきではないか。
人口は減少しているが、産業の数や集落の数が減少しているわけではない。多様な属性の議員がいたほうが町民全員にとってよいことだ。

冒頭のこの論点を中心に議論を展開されました。武藤の発言の要旨は下記の通りです。

今でも削減の立場は変わらないが、議員になってから議会の現状がわかってきた部分もあり、武中議員の意見は基本的に理解できる。
ただしそれ以前に、議会の定数を減らすべきという声が多くあがってきている状況、そもそも議会の意義を説明しなければわかっていただけない状況があるということもまた現実。
こうした状況への責任を「削減」という形で重く受け止めるべきではないかと考えている。

また単純に減らすだけではいけない。
新しく議員が出られる環境づくりや議会の活動内容を伝える努力、例えば政務活動費の創設や議会としての活動報告会や町政勉強会、議事録のウェブ公開なども考えられる。
これから取り組むことをセットで議論しなければならない。

定数の変更は特に慎重に

以上が要点ですが、挙げられた点についてはこのように考えます。

4点の各論に対する考え


まず1ですが、定数を減らすことが即選挙になるわけではないと私も思います。
だからこそ議会として新しく候補がでるように取り組まなければなりません。
「こういう議会にしていく」「若い人や女性にも立候補してもらいたい」というような明確なメッセージと行動を示す必要があるのではないでしょうか。

2の少数精鋭の実現については、定数を減らせば確かに少数になりますが、それだけでは精鋭にはなりません。本格的に活動するにはそれなりにお金も時間もかかることです。
少数精鋭と呼べるような議員活動は専業でなければ難しいと考えていますが、専業も可能な議員待遇を用意することに対して合意が得られるでしょうか。

様々な議員活動(詳しい説明はこちら

3の町民に説明すればわかっていただける点については、私も機会があればお話して、確かにご理解いただけることも多いです。
問題はそうしたことをきちんと今までちゃんと説明してこなかったこと、説明するまでは「減らしたら?」と言われてしまう状況をつくってきたことをどう受け止めるのかという点です。

4ですが、様々な立場を代表する議員が多様にいるべきだと私も思っています。
正直申し上げて今の現状でなければ、私も立候補したかどうかわかりません。

私が評価に値する活動ができているかはみなさんの判断によるところです。
しかし多少なりとも余所から来た私のような立場の意見を町政に届けることができるのは、他の町村よりも多く維持している議員定数もひとつの要因だと思います。

定数を減らすことは誰のためになるのか


議論の後半ででてきましたが、もっとも大事な問いは「定数を減らすことが結局誰のためになるのか」ということでした。これは本当に大事なことです。
そして私を含め全員がこれに明確に反論することができませんでした。
今一度、この点を考えてみたいと思います。

町民にとっては議員が減れば、今まで自分が身近に感じて話しやすかった方が議員でなくなる可能性があります。今まで以上に議会が一歩遠い存在になってしまいます。
自分が支持していなくても、どの議員も必ず応援する人がいるから議員になっています。中には気に入らない方もいるかもしれませんが、一定の多様性の確保も大事です。

また議員にとっては、人数が減れば一人あたりの負担が増えるかもしれません。
今までもなり手不足でしたが、負担が増えるとなればより一層なり手がいなくなってしまうのではないでしょうか。
あるいは本業との兼ね合いにも限界がありますから、議会活動が一層低下するかもしれません。

財政的にも議会運営にかかわる経費が圧迫している状況ではないと理解しています。
前回の定数削減時には行政改革のおり、また夕張市の財政破綻が報じられた頃でもあり、財政の見直しがありました。
しかしその後浦河町として一定の財政健全化を図っており、決算書や各指標をみれば現在は問題化する状況にはないと言えます。

行政にとっては都合が良い議員削減


一般論になりますが、実は議員が減って一番都合が良いのは、執行者=行政になります。

地方議員の仕事は、企業で言えば社外取締役に似ていると言われたりします。
企業=行政がしっかり仕事をしているかどうかを社内事情とは異なる視点で指摘し、監督する役割です。
これによりワンマン経営を防いだり、身内の論理とは異なる新たな発想を持ち込むことで株主=住民の利益につながる経営を促します。
ただ数が多ければいいものでもありませんが、首長の一方的な考えによる行政執行を防ぐ安全弁の数は多いほうがよいでしょう。数が少なければ執行側への取り込みも簡単です。

では、他にも定数を減らしたいと考える人はいるでしょうか。
これも一般論になりますが、自分の支持者に「定数を減らす」と約束している議員もそうかもしれません。上記のような議論をする以前から支持者から強く定数減を訴えられたり、単に人気取りのために主張している場合です。

私自身も立候補時に「定数は減らすべき」と主張していましたから、簡単に維持に回るわけにはいきません。今でも自分たちの身を削る姿を通じて、議会としての覚悟を示し、信頼を得る必要があると考えます。
しかし同時に、そもそも若い人や女性の新しい候補者が出やすい仕組みも考えずに、ただ減らすだけでは何の意味もありません
質の高い議会実現のための議論をもう少し続けたいところです。


2016年7月13日水曜日

まちなか元気ステーションは厚生文教では大筋合意へ

ちょっと遅くなりましたが、7月7日(木)の厚生文教常任委員会の報告です。
主に何度か議論しているまちなか元気ステーションについてでした。

整備に関わる参考価格の提示


前回は、新築と改築とでどれくらい予算が変わってくるのかわからなければ判断しかねるとの意見があり、参考価格を出すように町部局に求めていました。

MiOにはいる場合の賃借料は、年間で1,200万円程度で協議中との説明でした。
整備に関わる工事費は新築の場合で1.6億円から2億円だそうです。改築の場合は4,000万円程度ですので、交通の便のいい既存施設の活用が望まれます。

見取り図の改善案


複数の委員よりいくつか指摘されていた図面に対する改善点を踏まえた叩き台が提出されました。私から指摘した点はこちらの過去記事からご覧になれます。

職員と利用者がお互いすっかり見えてしまう状況に関しての改善例として、写真のような適度な環境を整える状況が示されました。

「ルーバー」と呼ばれる目隠し壁

また子どもが店舗側へ飛び出してしまうことを防ぐ安全性確保のために、キッズコーナーへも同類の壁の設置例が示されました。

子どもの動きも確認できる高さの壁

議会で承認があった上で具体的な基本設計を委託するため、これらはあくまで他地域の整備事例の紹介ですが、このような形であればいくつか指摘された問題点は解決されそうですね。

概ね委員の間で議論はされ、これ以上の異論もなく会派持ち帰りとなりました。
特に問題なければ当委員会としては次回で審議を終え、総務産業建設常任委員会へ渡し、商工の視点から議論される予定です。
私としては問題点があるならばもちろん指摘して議論すべきですが、厚労省への補助金申請の時期もあるため、なるべく速やかに議会として承認すべきと考えています。

浦河高校通学費補助の請願取り扱い


6月議会で請願のあった浦河高校通学費補助について、委員会としてどう取り扱うか話し合い、まずは紹介議員より詳しく説明を聞くことで合意しました。
詳しい内容はまた委員会で取り上げられた際に報告します。

天草市への表敬訪問及び行政視察


昨年浦河町の町政100周年に合わせて、あらためて熊本県天草市(旧河浦町)と友好都市になりました。議会としても、表敬訪問及び行政視察を検討していましたが、4月に発生した熊本地震により見送りとなっていました。

先方は地震被害は少なかったものの観光客減少の影響があり、年内の訪問を打診されていたようです。調整の結果、11月中旬に天草市へ伺うことになりました。
私としては全国的な話題にもなった商業者支援拠点Ama-biZ(アマビズ)の現状と課題に大変関心がありますので、そのあたりのお話を伺えればと思っています。

- 年俸1200万公募の天草市・Ama-biZ、初月は目標を大きく上回る上々の滑り出し