2016年6月6日月曜日

「観光まちづくり」はJR日高線ありきなのでは?議論を先導するような構想を

6月6日(月)は一般質問の発言通告の締切りでしたので提出してきました。
昨年1月から運休中のJR日高線を取り上げます。

昨日はこの質問のために浦河から鵡川まで実際に代行バスに乗ってきました。苫小牧往復しようと5,620円支払ったものの、さすがに身体が痛くなりそうなので断念しました。
鵡川でも往復7時間と所要時間は倍になり、一日がかりです。
浦河駅から同乗した方は東室蘭まで行くと言っていましたが、無事着けたでしょうか。

さて、もともと本件で質問する予定ではあったのですが、どのように取り上げるか、そもそも質問をするか、直前まで迷っていました。
検討した結果、地域内の議論になりがちな鉄道の問題をよそ者のひとりとして観光まちづくりや移住促進の視点から取り上げることにしました。以下がその提出した発言要旨です。

発言要旨


JR日高線について


JR日高線が運休して一年半。
様々に取り組んでいるが、依然として復旧の目処がたたない。

再開を待つ浦河駅。線路は錆だらけ

今年度から「観光まちづくり」を目指して観光協会の機能強化、独立を果たす当町として、鉄道の存続は非常に重要ではないか。
道外から道内への観光客の移動手段は鉄道がトップ。外国人観光客の移動交通手段としても、鉄道は増加して観光バスに次ぐ。日高線の復旧を待ち望むファンも大勢いるし、ファンでなくても利用者には日高の風景が大変喜ばれた。

また観光だけでない。
当町出身者が利用したくても、代行バスでは乗り換えが多く時間もかかり不便すぎて使い物にならないとの声がある。東京から商用客があっても車で新千歳空港に迎えに行く方や不便さから余所へ移る検討をする移住者もいる。

鉄道は住民の移動だけでなく、苫小牧や新千歳から浦河への訪問者にも利用されている。
昨年策定した総合戦略でも観光や交流人口の増加を目指しているが、鉄道なくしていかに実現していくのか。
以上の観点からJR日高線について問う。

1.観光まちづくりや移住促進の視点から鉄道の重要性や代替バスの問題点はどう認識しているか。

2.日高町村会が提案した利用促進案に対して3.4億円/年、初期投資40億円が必要と報道にあったが、これに対する町の分析は。

3.報道だけをみれば、自治体がJR北海道に要求する一方にみえるが、鉄道活用の観光ビジョンと振興策と負担を示し、利用促進策として主張できないのか。

4.行政としても町民に政策理解を広げる努力はしないのか。再開後の利用喚起につながる施策も必要ではないか。
例えば社会教育の一環として、JR日高線の魅力や記憶の掘り起こしを狙う取り組みはできないのか。

JR日高線のそもそも論と沿線自治体にできること


JR日高線のことを調べていた当初、私も正直乗車人数も少ない赤字路線として将来世代の負担も考えなければならないと思っていました。

ところがその後さらに調べるうちに、安易に鉄道をなくしてすべて道路(バス)へ転換すると、結果的には国も自治体も民間企業も利用者も、つまり誰にとっても負担が増える可能性に気づきました。
もちろん地域には現に困っている方々もいらっしゃいます。自治体としても鉄道は、物理的にも心理的にも将来のまちのあり方の根幹に関わってくる大変大きな存在です。
現状を様々な視点からみることで「なくてはならない」と深く理解するようになりました。

自治体や住民団体も早期復旧に向けて動いているのですが、なかなか思うように状況が進展しません。
把握する限りでは報道戦略もまずく、世論を味方につけることもできていない状況です。
住民の声も自分自身とそのまわりが今現在使っているかどうかの視点だけにとどまっていることが多いようです。
しかしこれは決して「自分は乗らないから不要」というような単純な問題ではありません。この先10年、20年先のまちのあり方にかかわってきます。もっと言えば、北海道のあり方にかかわってくると考えています。

運休前、浦河駅舎も利用して開催されたイベントの様子

私自身はこのようにJR日高線の問題は見た目以上に大きなレベルの問題であると認識しており、沿線自治体だけで扱える案件ではないと考えています。
しかしそれでもまだ自治体にできることはありますし、粘り強く取り組んでいくしかありません。

今回は少し違った角度からJR日高線を取り上げることで問題を掘り下げて共有し、提案していきたいと思います。
日高管内でもいち早く観光協会の体制強化と独立化をすすめる浦河町ですから、復旧後のJR日高線活用の議論を先導していくような観光まちづくり構想を描いていきたいところですね。