2016年6月30日木曜日

機構再編、総合計画、食育。議会が未来を考えるきっかけに

6月議会(定例会)の報告が自分の一般質問のことだけになっておりました。

議会ではかなりの数の議案を処理するため、すべてを報告する難しさをあらためて感じます。
これ以上の情報公開は一議員の活動としては限界もあり、議会として取り組むべき事案ではないかと考えています。
なので今回も、自分なりの関心でいくつかとりあげてみたいと思います。

来年度に機構再編の方針


ひとつは飯田議員の一般質問「職員数の適正化」の中で明らかになった「機構改革」の件です。来年度に実施する方針との答弁がありました。

個人的には機構「改革」という呼称はちょっと大げさだと感じていて、厳密に言うと「組織・機構再編(見直し)」という理解でよろしいかと思っています。
要するに組織(浦河で言うと課や係)を編成し直すということです。

浦河町は平成17年に大幅な改革をして以来、再編していないそうです。
飯田議員の質問に対する答弁で明らかになったように、職員の作業量・残業時間が課によってかなり差があります。時代も変わってきていますし、色々と見直してもよい時期だと私も思います。

おそらく現実に変更するのは福祉分野ではないかと推測しているのですが、実は去年議員になってはじめての一般質問で、私からも観光(現・水産商工観光課)と移住促進(現・企画課)の事業の一元化を提案した経緯があります。
そのときは今ひとつ説得力に欠けた提案になってしまいましたが、考えをまとめて年内にでもあらためて提案したいところです。

今後10年の基本構想「総合計画」の策定へ


総合計画については私も関心を持っており、3月議会では予算の中で質問していたのですが、今回は武中議員が一般質問でとりあげていました。

「総合計画」はまちのもっとも重要な最上位計画です。平成23(2011)年に地方自治法の改正で策定義務はなくなったのですが、浦河町は引き続き策定する考えです。
今年はちょうど策定する年にあたり、2017年から先10年間の計画をつくります

大抵の市町村がそうなのですが、浦河も町内の各団体から代表者を選んで審議委員会を組織して議論します。
しかしその実態は町が素案を作成し、それをもとに話すだけのことが多いようです。
そこに問題意識を感じ、もっと住民がかかわってつくりあげていこうという昨今の住民参画の流れがあるわけですね。

答弁では、その審議委員会にできるだけ40代以下の委員を増やし、特に女性は最低4人ははいっていただきたいとの考えが示されました。公募もしています
↑ 7/15が締切りですので、関心ある方はぜひお申し込みください!
また報道にもありましたが、高校生会議と称して「こんな町なら住みたい」という将来像について語る場をつくっています。
さらに高校生だけでなく、町の若手職員や各界の青年部など幅広く若い人の声を拾い上げる試みを始めています。こうした声を集約し、素案をまとめていく方針です。

昨年度の総合戦略策定のときも指摘したのですが、こうした計画の常で、各界の声をもれなく詰め込んだ結果、どうしても網羅的・総花的なものになってしまいがちです。
ですが、今回は特に若い人の声を聞きながら指針をわかりやすい文章と表現でまとめ、数値目標を入れ込むことも検討するとの答弁でした。

おおむね賛同できる方針ですし、ぜひ若い世代の前向きな声にも、厳しい声にも、耳を傾けていただきながらつくりあげて頂くことを期待しています。
さらに本当に声をきくべき人たちはあまり自分からは声をあげないことも多いことをきちんとご理解いただきたいところです。
第一回目の審議委員会は8月中に開催、全6回を予定とのことです。

食の宝庫のような土地で食育を考えること


それから今回は荻野議員と木下議員が食育をとりあげていました。
ふたりとも角度は違いますが、食育の大切さを訴える内容でした。それを聞いてちょっと複雑な気持ちになったのです。

広報委員会で訪問した荻伏の給食センター

個人的な話ですが、今がちょうど繁忙期の夏いちごや昆布漁の陸(おか)まわりをアルバイトでお手伝いさせていただいてます。
地域おこし協力隊時代にもビニールハウスの業務を体験程度ですが関わらせていただきましたし、定置網漁も見学にご一緒させていただいたこともあります。釣りも、川も海も浦河の親切な方々に連れて行っていただきました。

札幌から浦河に来て「食」について考えることが非常に多くなりました。
おすそ分けとして食べ物をやりとりする機会が(お金よりも?)多いなど、都市部よりも食が生活に身近な環境だったり、浦河が誇る映画館「大黒座」で食に関するドキュメンタリーをいくつか続けて観たことも理由かもしれません。
しかしやはり、浦河を含む日高全体の食の豊かさが一番にあると思います。

無肥料・無農薬で野菜を育ててもまわりの農家さんからクレームがつかないと聞いています。馬産地の特性上、農薬が比較的少ない環境だからなのでしょうか。
「無肥料・無農薬でこれだけ立派な野菜が育つのか」と他の農家さんも大変驚くそうです。何度か食べましたが甘くて美味しいです。

農業については十勝のような大規模農業は地形的に難しい面もありますが、漁業だって漁獲量が少なくて大量消費のマーケットには不利でも、魚種が豊富だからこそピンポイントの旬に現地に来ないと味わえない季節ごとの絶品にあふれています。
このように考え方を変え、見(魅)せ方を変えれば、可能性は広がります。

とはいえ、私にとってはまだまだわからないことばかりの分野です。
ですが、そんな浦河であらためて「食育」について考えなければならない現状をどう考えればよいのか、うまく整理がつかなかったのです。
浦河には色んな可能性があると言われますが、そろそろ本気で「可能性」を「価値」に変えていく取り組みが必要なのではないか、そしてそれはみんなで協力すればできることではないかとあらためて考える機会になりました。


2016年6月29日水曜日

クリーンプラザ長寿命化工事の記事の訂正とお詫び

一ヶ月ほど前に「浦河町クリーンプラザ」の長寿命化計画について報告しました。
その委員会での答弁に対して一部認識が食い違い、結果的に誤解を招く表現があった点を訂正して報告し、お詫び申し上げます。

そのときの記事はこちら(「ごみ焼却施設は新設せず長寿命化。工事期間中は町外施設を利用へ」)ですが、問題の箇所はちょうど真ん中あたりの下記の文章です。

延命化工事にかかる2年間は焼却施設が使用不可となり、代わりに近隣町村の施設を利用させていただく方針です。詳しい検討はこれからとのことです。

私としては工事期間は基本的に利用できないように受け止めたのですが、あらためて現場や担当課に確認をとりましたので報告します。

使用できないのは煙突の工事期間のみ


まず最初にお断りしておきますが、工事の全体的な実施計画はこれからつくるところです。
そのため詳しいことは決まっていません。あくまで工事とその対応の考え方ということで理解いただきたいと思います。

焼却炉はふたつあるので、片方を工事している間にもう一方の炉を運転して焼却する方針です。つまり炉自体の工事期間中は、問題なく使えることになります。
しかし、炉から出る煙突は一本しかありません。

炉はふたつ、煙突は一本

つまり、煙突はふたつの焼却炉の上部でつながっており、煙突を工事する際には炉はふたつとも停止する必要があり、この間は使えないことになります。

現時点ではその期間が数日なのか、数週間になるのか、まだわからないという状況です。
その間は近隣町村の施設を利用させていただくことになりそうですが、工事期間まるまる使用不可になるわけではありません
現場としてはさらに、日程のやりくりなど最大限の工夫をしていただけるとの説明でした。

早とちりで勘違いし、ご迷惑おかけしました。質疑できちんと確認すべきでしたね。
クリーンプラザは一住民として利用したり、議会でも一度視察したりしましたが、いずれきちんと説明を受けながら拝見したいと思います。

それにしても今回議事録を確認したのですが、この時代に議会事務局で現物を閲覧するしかないのはいかにも不便と感じました。
原則として、議会や委員会の発言は公的な記録ですので、ウェブでもすべて公開すべきと考えています。中継動画なんて長過ぎるし検索もできないんですよね...。


2016年6月17日金曜日

JR日高線運休から1年半。JR北海道への疑問と沿線自治体にできること

6月の定例議会が終了しました。一般質問も終えましたので、そのご報告です。
先日もお伝えした発言要旨ですが、かなり長いので一項目ずつ答弁と再質問の内容を簡単に説明します。

観光からみた鉄道の重要性や代替バスの問題点は?


一点目は、観光まちづくりや移住促進の視点から鉄道の重要性や代替バスの問題点はどう認識しているかという質問でした。全点に渡って、担当の柳谷企画課長から答弁をいただきました。

昨年策定した総合戦略でも交流人口増大を目指した施策を実施中であり、また新千歳空港発着枠拡大、新幹線開通という状況からも道外や海外からの観光客が増大する可能性が示されました。
特にJR各社共同で発行している外国人向け周遊きっぷ『Japan Rail Pass』は人気であり、鉄道だからこその誘客の可能性を指摘しました。
代替バスは苫小牧駅から浦河駅までの区間で都合2回の乗り換えがあり、所要時間は最短で4時間、最長で4時間半でかつ渋滞リスクもあることから観光には不向きとの見解でした。
概ね私と認識を同じくするものですが、『Japan Rail Pass』の問題点を再質問しました。

平成23年と少し古いのですが、道の「観光客動態・満足度調査」によれば北海道への外国人観光客のうち3割以上が移動手段として鉄道を利用し、また約半数はインターネットが観光情報の入手先です。
当然この周遊きっぷで鉄道を利用する方もインターネットで調べて次の行き先を考えたりするでしょう。

ところが今回はじめて知って驚いたのですが、JR北海道の外国語ページにはJR日高線の時刻表は掲載されていません
これでは日高地域への移動ははじめから思いもよらず、存在しないに等しいのではないでしょうか。当然代行バスの記述もありません。

またもしいらっしゃったとしても、当然現場にも外国語表記の案内はありません
代行バス内では金銭を取り扱っていませんから、110km以上に及ぶこのバス区間のうち、常にお金を払える有人駅は静内駅しかありません。事実上、無賃乗車可能な状況です。

地元客はともかく訪問客はわかるでしょうか

日本人ですらよくわからないこうした仕組み、外国人のお客様に理解頂けるのか、そもそもJR北海道はこの路線で少しでも多くの方々に利用していただき、お金を受け取り、利益をあげるつもりがあったのか極めて疑わしい状況です。
それでも利用者が少ないのは地域だけの責任でしょうか?
こうした問題点の対応や先方の考えを問いただしていただきたいと要望しました。

沿線自治体からの要望に対する多額の経費、その分析は?


二点目は、日高町村会が提案した利用促進案に対して3.4億円/年、初期投資40億円が必要と報道にあったが、これに対する町の分析はという質問でした。
ちなみに内容と経費のリストは下記の通りです。

項目経費(千円)収入(千円)
① 浦河町内に新駅3,0001,000
② 静内-札幌間直通に8車両新造216,00037,000
③ 様似-苫小牧間サイクルトレインに1両新造18,0006,000
④ 様似-札幌間イベント列車に4両新造95,0008,000
⑤ 行き違い設備新設6,0000
合計338,00052,000

要望事項に対して「車両の老朽化が進んで車両数が不足しており、高速走行できる車両が必要」との回答だったそうです。ちなみに自治体からの要望事項は新ダイヤ検討などで、もちろん車両新造などはもとから要望していません。
注目の金額の内訳ですが、報道にあった30〜40億円の初期投資のうち95%が車両新造費、単年度経費についても50%以上が車両の減価償却費とのことでした。

ごく控えめに言って、驚きました。
要するに「復旧するならば、必要な車両はすべて沿線自治体の負担相当」と言っているに等しいです。これらの車両、日高線だけで使うものでは絶対ないですから。

そもそも必要だと言っている261系の新車両ですが、これはJR北海道自身が390億円かけて整備するとすでに計画しているものです。一地域として負担する筋のものではありません
車両のことを抜きに考えれば、すべて実施したとしても初期投資2億円、経費1.7億、収入0.5億円でしょうか。まったく話が違ってきます。

また2012年に札沼線が電化した際に、多数のディーゼル車を破棄にしました。日高線でも活用できるものです。
この一部は売却され、ミャンマーで14両、東北でもSL銀河として4両が使用されました。
まだまだ現役で活用できるものを売却しておきながら、車両数が不足しているのでしょうか。ついでに言えば、日高線を走っていたキハ40は、車両不足なのか現在夕張を走っています。

そもそも中古で車両を購入すれば数千万円程度と聞いています。
万が一、経営判断を誤って売却してしまったならば、新造するよりJR東日本から中古を購入してみてはいかがでしょうか。

議論中の事案ですし、JR北海道に対する疑問ですから町に回答は求めませんでした。
要するに申し上げたのは、私も専門家に聞いて調査したものであり、自治体は鉄道専門の職員などおらず、相手より少ない情報しかもっていない交渉は確実に不利になる点です。
交渉で先手をとるためにも専門家をアドバイザーとして随時助言をいただきながら進めるべきとご提案申し上げました。

観光ビジョンと負担を示し、利用促進策として主張は?


三点目として、報道だけをみれば、自治体がJR北海道に要求する一方にみえるが、鉄道活用の観光ビジョンと振興策と負担を示し、利用促進策として主張できないのかとの質問でした。

上記のように、これまでJR北海道から日高線を使ってもらう努力、復旧に向けた誠意がみえてこないのが地域に住んでいるものとして率直に感じるところです。
しかし二点目のような報道がされれば、沿線自治体は努力もせず、JR北海道に要求しているばかりにみられても仕方がありません。

「JR北海道に対しては、合計40項目にのぼる地域としての取り組みをまとめたものを提出している」との答弁でしたが、何をもって取り組んだといえるかわかりづらいものです。
歯がゆいところですが、自治体として取り組んでいることをわかりやすく示せれば、沿線自治体に好意的な世論形成もできるのではないかと提案しました。
つまり、数字で示すことです。

今年度、浦河町は観光協会の組織強化を図り、法人化を目指しています。
補助金2,000万円を予算化しています。
この観光振興は当然JR日高線があることを前提として取り組んでいるのではないでしょうか。

産業振興を目的として2,000万円を支出するわけですから、当然浦河町全体の経済効果を期待するところであります。
ここでは例えば、今までよりプラス1億円の直接的経済効果を目標とします。

観光振興ですから、当然余所から浦河町に来ていただき、過ごしていただくわけです。
おひとり2万円の町内支出を仮定すると、5,000人に来ていただくとちょうど経済効果1億円です。

5,000人のうち2割は新千歳からJRで来ていただくとして、1,000人。1,000人の方が新千歳-浦河間の片道3,380円、往復で6,760円を支払う計算になります。
当町の観光振興による鉄道収入だけで680万円の試算です。

浦河町としては2,000万円というリスクを背負って、JR北海道に680万円の売上増に貢献する事業にすでに取り組んでいることになります。
逆に言えば、日高線が早期復旧ならず、この想定していた1,000人がいらっしゃらないことになれば、おひとり2万円の地域経済の機会損失として2,000万円をJR北海道に請求してもよいかもしれません。

以上のために浦河町がすることはただひとつです。
観光協会強化による直接的経済効果の金額とその積算を明確にすることです。
例として1億円としましたが、金額は検討の上で提示できないものでしょうか。

また以上は当町だけの話ですが、日高管内他町もJR日高線があることを前提にすでに取り組んでおり、運休による損害を受けている事業、さらに今回の地方創生関連中心に今年度から新しく取り組み始めた事業は他にもあるはずです。

周知の通り単独自治体の観光資源には限界があるわけですから、観光振興には日高一体となって取り組まなければなりません。日高管内他町の関連予算とそれによる鉄道の売上増効果を取りまとめて提示してもよいのではないでしょうか。
説明が難しくなってしまったせいかあまり芳しくない反応でしたが、ぜひ検討いただきたいものです。

再開後の利用喚起につながる取り組みは?


最後に、行政としても町民に政策理解を広げる努力はしないのか。再開後の利用喚起につながる施策も必要ではないか。 例えば社会教育の一環として、JR日高線の魅力や記憶の掘り起こしを狙う取り組みはできないのかという質問でした。

今後、町の広報でも経過を報告したり、社会教育課とも連携して取り組むと大変前向きの答弁をいただきました。
吉野社会教育課長からは「講演会や写真展、特に若者や子どもは利用する機会も昔より少ない。鉄道の魅力を知ったり将来を考える機会を検討する」と具体案も示されました。
本州では実績のある運休中の鉄路のウォーキングイベントも提案しましたが、これは住民から主体的に企画していったほうがよいかもしれません。

池田町長からは「駅新設や単発イベントでは自治体負担も検討との話もしているが、最初に言っていた話から遠のき、近づいたと思ったらまた少し遠のくという状態。報道にあった酒井新ひだか町長の話のように道や国が主導する問題として提起する」と答弁もありました。
私としてもJR日高線の復旧問題は日高という一地域の話ではもはやなく、北海道全体の鉄路の問題と認識しています。札幌近郊を含む全線が赤字なのですから、一企業に任せてすむ問題ではもはやありません。
しかし自治体として、住民としてできることもまだまだあるはずと考え、今回は様々に提案させていただきました。

最後に、他所の人が利用する路線にする、そのために来たくなるような魅力あるまちづくりに邁進する、ますます利用者が増える、地域の公共交通を維持する、こうした好循環をつくりだすことが観光まちづくりの要点であるはずだとの考えを述べました。

車窓からこの景色は全国でも日高だけ

「代替バスでいいじゃないか」という声もありますが、バスに替わった路線の一般的な問題点も周知の通りです。
不便さによる利用者の減少、ゆくゆくは減便、まちの衰退、維持するために自治体負担が増加、こうした悪循環が容易に想定されるわけです。

現在は浦河高校通学生50名のために代行バス2台が運行しています。
ざっと仮に試算しても、1台10万円として2台で20万円。通学日数が200日と考えただけでも4,000万円です。帰りは考えず、通うだけでこれだけかかります。
町単独で負担できる金額ではありません。

さらに現在は公共交通機関を利用する場合、代行バスで苫小牧まで4時間、札幌へは高速路線バスで3時間半です。つまり、札幌が浦河町から最寄りの都市になります。
こうした物理的速度の問題から、日高管内での移動量が減少し、人的交流や地域の一体感が中長期的に衰退していく可能性も非常に高いです。
これを回避するために、鉄道の早期復旧、維持は大変重要なことだとあらためて指摘し、それを観光の経済効果明示などによる解決への道を提案させていただきました。


2016年6月6日月曜日

「観光まちづくり」はJR日高線ありきなのでは?議論を先導するような構想を

6月6日(月)は一般質問の発言通告の締切りでしたので提出してきました。
昨年1月から運休中のJR日高線を取り上げます。

昨日はこの質問のために浦河から鵡川まで実際に代行バスに乗ってきました。苫小牧往復しようと5,620円支払ったものの、さすがに身体が痛くなりそうなので断念しました。
鵡川でも往復7時間と所要時間は倍になり、一日がかりです。
浦河駅から同乗した方は東室蘭まで行くと言っていましたが、無事着けたでしょうか。

さて、もともと本件で質問する予定ではあったのですが、どのように取り上げるか、そもそも質問をするか、直前まで迷っていました。
検討した結果、地域内の議論になりがちな鉄道の問題をよそ者のひとりとして観光まちづくりや移住促進の視点から取り上げることにしました。以下がその提出した発言要旨です。

発言要旨


JR日高線について


JR日高線が運休して一年半。
様々に取り組んでいるが、依然として復旧の目処がたたない。

再開を待つ浦河駅。線路は錆だらけ

今年度から「観光まちづくり」を目指して観光協会の機能強化、独立を果たす当町として、鉄道の存続は非常に重要ではないか。
道外から道内への観光客の移動手段は鉄道がトップ。外国人観光客の移動交通手段としても、鉄道は増加して観光バスに次ぐ。日高線の復旧を待ち望むファンも大勢いるし、ファンでなくても利用者には日高の風景が大変喜ばれた。

また観光だけでない。
当町出身者が利用したくても、代行バスでは乗り換えが多く時間もかかり不便すぎて使い物にならないとの声がある。東京から商用客があっても車で新千歳空港に迎えに行く方や不便さから余所へ移る検討をする移住者もいる。

鉄道は住民の移動だけでなく、苫小牧や新千歳から浦河への訪問者にも利用されている。
昨年策定した総合戦略でも観光や交流人口の増加を目指しているが、鉄道なくしていかに実現していくのか。
以上の観点からJR日高線について問う。

1.観光まちづくりや移住促進の視点から鉄道の重要性や代替バスの問題点はどう認識しているか。

2.日高町村会が提案した利用促進案に対して3.4億円/年、初期投資40億円が必要と報道にあったが、これに対する町の分析は。

3.報道だけをみれば、自治体がJR北海道に要求する一方にみえるが、鉄道活用の観光ビジョンと振興策と負担を示し、利用促進策として主張できないのか。

4.行政としても町民に政策理解を広げる努力はしないのか。再開後の利用喚起につながる施策も必要ではないか。
例えば社会教育の一環として、JR日高線の魅力や記憶の掘り起こしを狙う取り組みはできないのか。

JR日高線のそもそも論と沿線自治体にできること


JR日高線のことを調べていた当初、私も正直乗車人数も少ない赤字路線として将来世代の負担も考えなければならないと思っていました。

ところがその後さらに調べるうちに、安易に鉄道をなくしてすべて道路(バス)へ転換すると、結果的には国も自治体も民間企業も利用者も、つまり誰にとっても負担が増える可能性に気づきました。
もちろん地域には現に困っている方々もいらっしゃいます。自治体としても鉄道は、物理的にも心理的にも将来のまちのあり方の根幹に関わってくる大変大きな存在です。
現状を様々な視点からみることで「なくてはならない」と深く理解するようになりました。

自治体や住民団体も早期復旧に向けて動いているのですが、なかなか思うように状況が進展しません。
把握する限りでは報道戦略もまずく、世論を味方につけることもできていない状況です。
住民の声も自分自身とそのまわりが今現在使っているかどうかの視点だけにとどまっていることが多いようです。
しかしこれは決して「自分は乗らないから不要」というような単純な問題ではありません。この先10年、20年先のまちのあり方にかかわってきます。もっと言えば、北海道のあり方にかかわってくると考えています。

運休前、浦河駅舎も利用して開催されたイベントの様子

私自身はこのようにJR日高線の問題は見た目以上に大きなレベルの問題であると認識しており、沿線自治体だけで扱える案件ではないと考えています。
しかしそれでもまだ自治体にできることはありますし、粘り強く取り組んでいくしかありません。

今回は少し違った角度からJR日高線を取り上げることで問題を掘り下げて共有し、提案していきたいと思います。
日高管内でもいち早く観光協会の体制強化と独立化をすすめる浦河町ですから、復旧後のJR日高線活用の議論を先導していくような観光まちづくり構想を描いていきたいところですね。


2016年6月4日土曜日

ごみ焼却施設は新設せず長寿命化。工事期間中は町外施設を利用へ

6月1日(水)は厚生文教常任委員会で3件の審議でした。
議会も一応クールビズが始まりましたが、まだまだ浦河は肌寒い天気が続きますね。

浦河町クリーンプラザ長寿命化計画


先日の総務産建委で審議された下水道もそうですが、インフラの老朽化は本当に一気にやってきますね。クリーンプラザもそのひとつです。
常時の保全はしていますが、古くなると補修も多くなり、根本的な延命化が必要になります。

平成11年竣工のクリーンプラザ、一般的に20年と言われる焼却施設の寿命が近づいています。
クリーンプラザは大きく「ごみ焼却施設」と「リサイクルプラザ」にわけられますが、今回はこのうちごみ焼却施設で必要だと判断され、町部局より提案がありました。

直接の持込みも多いクリーンプラザ

ちなみにリサイクルプラザですが、造成した埋立地は元々平成27年で満杯になる予定だったところ、町民全員の分別協力により、平成40年まで受け入れ可能な容量があるとのことです。
町外からも大変評価が高いそうですよ!

焼却施設の話に戻ります。
延命化の目標は平成47年までとし、平成29年実施設計、平成30~31年に工事、平成32年より新施設稼働の予定です。
概算工事費は7億3832万円で、このうち環境省の交付金対象事業費は2億3914万円です。
自治体負担分はなるべく条件の良い地方債を起債(借金)する予定です。
新しくつくる場合の建設費は15億9700万円を見込み、比較すると延命化により5億3800万円のコスト削減効果があるとしています。

配布された資料を確認していると、環境省の指導によれば廃棄物ライフサイクルコスト(LCC)と呼ばれる値を算出して延命化と新設とでどちらか効率的か比較を求められるようです。資料にはその計算式と比較表が添付されていませんでした。
この点を委員会では質問させていただきました。

新施設建設費16億円の算出根拠になるのは、今と同じ規模の施設をつくった場合です。
しかし、それは8.5t×2炉=17t/日が処理可能な規模なのです。
現在の実際の浦河町の焼却量は3t/日程度であり、高齢化や人口減少を念頭におけば小規模化も検討可能であり、半分以下でも十分に思われます。
そうすると、新設のほうが安上がりになる可能性もあるのではと指摘しました。

これに対して「書類上の処理能力は8.5tとあるが、老朽化により実際の機能は5t程度になっている。また延命化に際して小規模化は検討の余地があり、実施設計においてあらためて調査される」との答弁でした。
将来世代の負担軽減のためにも、実情に沿った計画で経費削減をお願いしたいところです。

予備のため2炉必要な焼却場

委員会ではそれ以上は問いませんでしたが、小規模新設とあわせたいわゆる「ごみ発電」の可能性が念頭にありました。
ごみ焼却をエネルギーととらえて発電施設化すると、自治体としても売電の可能性がありますし、環境省も循環型社会の形成のため推進しています。
委員会終了後に担当課に聞きに行ったのですが、結論から言えば浦河町の規模だと困難のようです。

つまり、効率的な発電には一定のごみが必要なのですが、十分な量が確保できないそうです。浦河町のゴミ焼却は8時間/日で済んでしまうのですが、24時間稼働させなければ温度が下がってダイオキシンが発生します。
また北欧ではなんとごみの輸入まで行われているようですが、継続的な発電・売電のためには燃料を投下するなどむしろ経費がかかってくるようですね。

延命化工事にかかる2年間は焼却施設が使用不可となり、代わりに近隣町村の施設を利用させていただく方針です。詳しい検討はこれからとのことです。
※ 2年間まるまる使用不可になるわけではありませんでした。訂正記事はこちら
池田町長は「新設はまったく検討しない」との答弁でしたが、直接持ち込む町民や業者の不便や不利益になりそうです。

国民健康保険特別会計決算見込み


平成27年度の国民健康保険(国保)事業は18億9490万円と前年度決算比で1億4002万円増の見込みです。

主な要因は、歳入で交付金(保険財政共同安定化)が増加したことによるものです。
数字だけ見るとちょっと驚いてしまいますが、これは国が格差是正を図った仕組みの変化によるもので内実とはあまり関係がありません。

実質的な規模はあまり変わらないか、むしろ縮小傾向がありそうです。
これは国保加入者が75歳になると、計上先が国保特別会計から後期高齢者医療特別会計へ移行になるからです。浦河町では年間150名ほどが移行しています。
ただし一人あたりの給付費自体は上昇傾向にあり、全体として重病化が進んでいると言えそうです。

さて、国保はほとんどが国や道から補填されるのですが、もちろん市町村の負担もあります。
平成27年度から保険者支援の制度拡大があり、財政調整によってこの市町村負担が少し減りました。
義務的に割り当てられている支出は1億2500万ほどなのですが、これにより不足分として組んだ7000万円の独自予算のうち、今年は3395万円(前年は約5,100万円)で決算見込みです。

町財政の視点からみると、町民のみなさんになるべく健康でいていただくことが負担軽減につながるため、病気の早期発見が重要だとされています。
そのため特定健康診査をひとりでも多く受診していただきたいところですが、浦河町の場合、受診率33%と極めて低い状況です。
担当課から話を伺うと、あれこれと工夫してもなかなか受診につながらないことが多いとのこと。このあたりの対策強化を求める声がありました。

介護保険特別会計決算見込み


平成27年度の介護保険事業は11億2399万円で決算の見込みです。

実際の内容に関しては、この内の保険給付費の計画と支出をみていきます。
支出は10億5012万円と計画比で2700万円増です。

主な要因は、通所リハビリテーションの69件1,391万円増介護老人福祉施設の63件1,507万円増が目立ちます。
前者は、施設職員の報酬増やサービス拡充により件数増加。
後者は、町内施設は満所ですが、子どもや親戚の近くといった町外施設利用が増加。
その他で目立ったのは福祉用具貸与で471万円増ですが、件数自体の増加もある一方、同じ方が症状が進んでベッドや車イスを借りるなど一人あたりの品目増もあったとの報告です。