2016年3月19日土曜日

開かれた行政へ。ウェブ上の情報公開のガイドライン策定へ

開会中の第二回浦河町議会(定例会)、あと一日を残すのみとなりました。
一般質問を終えましたので、その内容のご報告です。

「浦河町公式ホームページでの情報公開について」質問させていただきました。
あらためて町部局の答弁内容を確認したところ、私の理解とちょっと食い違う場面があったようでした。
この点は個人的には反省が残る一般質問でしたが、内容としては大変前向きな答弁をいただけました。

❏ 情報公開のためのガイドライン策定へ


先日もお伝えしていた質問内容ですが、あらためて項目を列挙します。

  1. ウェブ上での情報公開の目的は何か。
  2. 統計や予算決算等は常に最新のものを公表しないのか。
  3. 町で作成した計画の内、公開されていないものがあるのはなぜか。
  4. 計画策定や事業推進のために実施した過去のアンケート結果を公表しないのはなぜか。
  5. 町が事務局である諸会議の議事録や配布資料が公開されていないのはなぜか。
  6. 議会と委員会の議事録も同様に公開するべきと考えているが、町長の見解はいかがか。

まずは①に関しては、「浦河町情報公開条例」を双方で確認をしました。

町が保有する情報は、私たちの共有の財産であり、これを広く公開することは、民主主義や住民自治の伸展など、開かれた町政を推進していくために不可欠であると考えます。 
(中略) 
情報公開制度は、すべての人が知りたいとき自由に知り得るよう知る権利を保障するとともに、町政の諸活動について説明する責任を全うすることにより、まちづくりへの町民参加を促進するなど、すべての人に開かれた公正でわかりやすいものでなければなりません。

町としても情報公開は必須のことと理解していただいています。
その上で、②から⑤にかけての公開を望む具体的な内容については、町全体でホームページに公開する情報の取り扱いを統一して、公開に向けて準備していくとの答えでした。
今までは単純に何を公開して何をしないのかが、各課の判断に委ねられていたようですね。

「どれくらい時間をかけるのか」との再質問に対しては「半年とか一年はかけずに」ということでしたので、結果を待ちたいと思います。
また、一度公開のためのガイドラインをつくってしまえば、今後は継続して公開されるはずです。
公開作業が進んだ段階で改めて確認させていただき、問題があればさらに議論できればと考えています。

⑥に関しては「議会の判断によるもの」とのことでした。

ところで先ほど確認したところ、新年度の町政執行方針と教育行政執行方針は公開され、教育委員会のページは新設されていました。
すぐに公開できると判断されたのだと思いますが、早速対応いただき大変心強いです。

早速いくつか公開されていました

こういう臨機応変さに小さな自治体ならではの強みを感じます。
市レベルの自治体だと、おそらくこんなに早い対応にはならないのではないかと思います。

❏ 自治体にとっての情報公開の価値


言及した本人の方が更新が遅れてしまいました。
今回の私の質問の意図は町民のみなさんにはちょっと理解されにくいものだと思いますので、取り急ぎ今回のために用意して読み上げた原稿を公開しておきます。
いくらかでも目指したい自治体のあり方をご理解いただければ嬉しいです。

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1947年、世界最初と言われるコンピュータのひとつがアメリカで生まれました。大きさは160平米、30トンありました。
今のインターネットが生まれる43年前も話です。

それから69年。
2016年の今日、コンピュータは人々のポケットにはいっています。スマートフォンの日本の普及台数は人口を超える1.5億台です。
そしてそのすべてが常にインターネットに接続しています。 

これだけコンピュータとインターネットが普及した現代、若者に限らずお年寄りも含んだ都市に住む多くの人々にとって、ウェブ上にないものはこの世に存在しないものと思われがちです。
みなさん、浦河町はどれだけ「存在」できているでしょうか?
残念ながら現状では、浦河はあまり「存在」できているとは言えません。 

お手元のコンピュータで何らかの言葉を検索すると、その言葉が掲載されているページの数、つまり情報の数が瞬時にわかります。
試しに近隣町村の名前を検索すると、「新冠」は35万件、「様似」は54万件、「襟裳」は65万件。「新ひだか」だと148万件です。
「浦河」は何件でしょうか?
41万件です。

いかがでしょうか。
坂下様似町長は「他所に行くと様似の名前も場所も知ってもらえていない」と悔しがっていらっしゃいました。
その様似よりも情報数が少ないのが、浦河です。 

まずは情報化社会における浦河のこうした現状をご理解いただいたうえで、私としては浦河町行政もより一層の情報公開をすすめるべきと考えております。
さらなる情報公開のメリットを三点ご説明して、具体的な質問にはいらせていただきます。 

① 理解と信頼の獲得

ひとつ目は、他所の人からの理解と信頼を得るためです。
浦河には毎年遊びに来たり、移住したり、転勤で越してきたりする方々も多くいらっしゃいます。これから来ることが決まっている方、来たいと思っている方もたくさんいらっしゃいます。
その方々が何か調べたいことがあったとき、わざわざ役場に直接いらっしゃったり、電話してくれるでしょうか? 

今は、電話する手間をかけてまで情報を得ようと思う人は多くありません。
他所の人に浦河のことを知ってもらいたければ、何よりもまずウェブに情報を公開する必要があります。
それに、これだけ情報が溢れ、簡単に手に入る時代にわざわざ、あえて情報を公開しないということは、場合によっては、公開できない理由があるのではないかと思われてしまいます。
正しい情報を公開していること自体が、安心できる信頼感につながります。 

② 行政課題解決の戦略

情報公開をするふたつ目の理由は、それが浦河が抱える多くの課題解決のための戦略のひとつでもあるからです。
池田町長の執行方針にあったように「浦河に問題が山積み」という現状があります。社会はより複雑化し、考えなければならないことも増えていきます。
ところがその問題を考える人の数、人口自体も減少しますし、町職員も減って、議員定数の増加もないでしょう。 

そんな中、住人だけで問題を解決するという従来の方法だけでなく、町外の浦河に想いのあるみなさんのご協力を得ながら浦河町を舵取りしていく必要があります。
そして、情報化社会ではそれが可能になってきました。
私事ではございますが、私のブログの記事をご覧になった町内外の様々な方々から町政に関するご助言を実際にいくつかいただいているところです。 

外部の専門的知識や新技術といった形のない協力も施策に活かしていけるはずです。
その時に、ただ漠然と「協力して欲しい」といわれても困ってしまいます。
浦河が何に困っているかわからないからです。
「浦河に戻りたいけど仕事がない」という方も、案外浦河でできることがあるかもしれません。
まずは悩み事を一緒に考えてくれる方々のために情報を広く提供し、そこから課題解決の道筋のヒントを得るべきです。 

先日の池田町長の執行方針では、浦河応援団を獲得すると仰っていました。
浦河産品だけでなく「まちの情報」も届かせ、新たな無形の協力も仰ぎましょう。
岡内教育長も教育行政方針で「町外の資源も多く活用する」と言明されていました。
しかし、浦河に協力したくても、情報がなければ何をどう協力していいのかわからないでしょう。
そしてそれは町民にとっても同じなのです。 

③ 町民協働のまちづくり

みっつ目の理由は、町民の協働によるまちづくりのためです。
今年改正する予定の総合計画ですが、今の総合計画には「町民参加と協働によるまちづくりを推進するためには、行政情報の共有が必要」とあります。
さらにここには「今後も迅速に各種情報を収集提供し、町民と共有できるよう充実に努めます」と明記してあります。
「協働するためには行政情報の共有が必要」、これは私がわざわざ申し上げるまでもなく、すでに周知のことであります。 

ぜひこれを今以上に進めましょう。
若い人たちが情報を得る手段は手紙や電話ではなく、インターネットです。 

何も今すぐ情報をわかりやすいように加工して発信しようと言うのではありません。
まずは今もっている情報を提供するところからはじめればよいのです。
予算もかからず、職員のほんのわずかな時間をかければできることですから、積極的に行わない理由は特にないように思います。 

以上の観点から、ウェブ上での情報公開を進めるべきと考えますが、町の考えについて伺います。(了)
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ちなみに冒頭の世界最初のコンピュータですが、エニアック(ENIAC)のことです。
厳密には二番目なのかもしれませんが、サイズにインパクトがあったので採用させていただきました。

ENIAC

あらためて情報技術の進展のスピードに驚かされますね。
新年度の予算には公式ホームページのスマートフォンの最適化も含まれていましたが、情報自体の充実とあわせて期待しています。