2016年12月29日木曜日

議員定数は2減16議席。声を聴く場づくりも。より良い人を議員に!

12月15日の議会閉会後、議員定数調査特別委員会がありました。
新聞報道でもご覧になったかもしれませんが、浦河町議会は次の選挙から定数を2減らし、16議席になりました。



議員定数の議論は、ここでも何度かとりあげてきました。
本当に難しい問題だと感じます。

すでに前々回の委員会で減らす決定はしましたから、減らす数についての議論でした。
2減らして16議席とすべき、4減らして14議席とすべきとふたつの意見があり、今回はその採決でした。
私は最後の最後まで悩みましたが、最終的には2減の立場で意見しました。

4減とする声は真摯に受け止める


まず、町民のみなさんから4減らすべきと多くの声があることは承知しています。
様々な理由があるとは思いますが、端的に今の議会への不満や批判と理解しています。
そしてそれは真摯に受け止めるべきと考えています。

では、どのように応えていけるのでしょうか。
その不満は、議員の数を減らすだけで解決するでしょうか。

「偉そうに!ちゃんと声を聞いていないじゃないか!」
「今の議会は力量不足だ!」
あるいは「あの議員はダメだ!」と、具体的で辛辣な声も聞かれます。
仰る通りかもしれません。

むしろそういう方、そこのあなたにこそ、お願いがあります。
ぜひ想いや意見を同じくする仲間を集め、立候補して、議員になっていただきたいのです。
あるいは、この人こそはという方を議会に送り込んでいただきたいのです。

減らして清々しても本当の解決にはならない


2減とする立場の議員は「新人が少しでも立候補しやすい環境は残すべきだ」と考えています。
これは私だけではありません。

定数を減らせば、議員になるためにそれだけ得票数が必要になります。
それだけで「立候補なんてムリ」と諦めてしまうかもしれません。
その結果現職が、「他に立候補しないなら出たい」もしくは「後継がいないから出ざるを得ない」という状況が続いてしまいます。
悪循環です。

特定の支持基盤を持たない候補者は、なかなか議員になるのが難しいものです。
しかし今の浦河の議会にも、自らの想いで立候補して議員をしている方もいます。
他でもない私も浦河に来て3年しか経っていませんし、浦河町議会史上2番目の若さだそうです。きっと誰でも議員をやれるはずです。

このような「馬の骨(?)」みたいな私でも当選したのは、無投票になってしまうほど慢性的な議会の人材不足があります。
私や他の議員では不十分だったり、不満足だったりするかもしれません。
力不足で申し訳ありませんが、そう思っていただいても構いません。

しかし気に入らない議員を減らしても、気分は清々するかもしれませんが、こうした状況の解決にはなりません。
定数を減らしても、あなたが気に入らない議員が落選するとは限りません。
むしろ地味に目立たない仕事・貢献をしている議員が落ちるかもしれません。

より良い人が議員になれる環境を残す


ですから、その代わりにみなさんがより良いと思う方に議員になってもらうしかありません。
遠回りですが、それがシンプルに地方自治というものです。
「そんなの現実的にムリでしょ」といくら言われても、それしか解決策がないのが現実です。

「あなたは、どんな議会だったら、もしくはどんな待遇だったら立候補できるでしょうか?」
お聞きするのですが、結局
「議員はできない」「したくない」
ということに尽きるように感じます。
それが、今の議員が今でも議員をしている理由ですし、次世代を担う新人が不在では、いくら定数を減らしても何も変わりません。

自分ならもっとできる!
自分ならこうする!

そういう方にこそ、ぜひ立候補をお願いしたい。
これは私は本気で思っています。
そしてそれがより可能と思われる環境は、議会として残すことになりました。

広く町民の声を聴く場づくりを


ただそれだけで充分とは考えていません。
合わせて、当初から主張している「町民の声を広く聴く仕組みづくりを」とあらためて意見しました。

「自分の後援会や支持者の声を聞いていればいいんだ」と考えている議員もいます。
それはそれで否定しませんが、私自身はそうは思いません。
何かを判断するにあたって、それぞれの支持団体レベルだけでなく、町全体にとってはどうなのか、という視点を持つことも大事だと思うからです。

様々な考え方の町民が集まれば、意見集約も難しいのは事実です。
収拾がつかなくなるかもしません。
けれども、私はそれでもいいと思っています。

まずは小さな声でも、とにかくお聴きする姿勢を示し、議会への信頼を得る努力が必要です。
町民のみなさんにも、自分とは違う意見にすべては納得いかなくても、「そういう意見もあるのか」と理解していただく。
議会も、厳しいご意見と真正面から向き合うことがレベルアップにつながるはずです。

そのためには会派や個人で行っている意見交換会だけでは不十分です。
「減らさない。何も変えない。というのでは理解が得られない。
議会としての信頼を取り戻すような前向きな取り組みが必要だ」
と、申し上げてきました。議会として取り組むことが大事です。

ささやかながら前進も


今回の委員会では幸い「町民の声を聴こう」と同じ意見が複数でました。
これにより、荻野委員長からは採決の後、「今後、議長とも相談して何らかの場を設けるよう検討する」との発言がありました。
本当に小さな一歩ですが、まずは前進したのではないかと考えています。

また前の記事でもご報告しましたが、来年からは議会の会議録をウェブ公開し、図書館でも閲覧が可能になります。
これからは議会の様子が以前よりわかるようになりますので、まずは知るところからはじめていただければ幸いです。

一年近く議論してきた議員定数の委員会はこれで終了です。
なお、議員定数に関する過去記事は下記リンクをご覧ください。
(下が古く、上が新しい順です。)


2016年12月25日日曜日

議会・委員会の会議録がウェブにも公開!図書館でも閲覧可能に。

すっかり更新が滞っておりました。
今年の議会は12月15日の閉会をもって終了しました。
いくつか報告もありますので、年内に何回かにわけてできる限りお伝えしたいと思います。

浦河町議会の会議録がウェブ公開へ


まずはひとつ、会議録(議事録)のウェブ公開が実現します。
会期中の議会運営委員会(無会派はオブザーバー参加)で説明を受けました。
公開されるのは、本会議はもちろん、常任委員会や特別委員会(一部除く)も対象です。
2017年から公開されることになりました。

ウェブだけではありません。
図書館にも議事録が置かれることになりました
入ってすぐ右手、行政関連の資料棚のところです。

今までは浦河町役場三階の議会事務局まで来ないとみることもできず、一般の町民の方々には閲覧のハードルが大変高かったと思います。
これで議会を知ることがはるかに容易になりました。

委員会議事録の公開は先駆けか?


事務局の説明によれば、委員会までウェブ公開している自治体はまだ少ないそうです。
他自治体の状況までは詳しく把握していませんが、浦河町議会はこうした現状に先駆けて進めることができたかもしれません。

本会議(いわゆる議会)でも多少の質疑はありますが、ほとんど多くの議論は委員会でされています。
ですから、この委員会の議事録の公開は、なかなかみえづらい議員の活動を知る手段になり、議会として大きな意義があると思っています。

私自身、議会や委員会でのすべての発言をこのブログに掲載することもできませんし、議事録公開によって個人的な発信の手間や労力がかなり省けることも期待しています。

公開に至る経緯、現状と今後は


今年の3月の議会で、情報公開に関する質問をしました。
これにより、ウェブ上で公開する情報を各課で検討していただきました。

今回は議会事務局もあらためて検討していただいたようで、公開の運用基準を設けることになりました。
他の議員のみなさんにも理解が得られたのではないかと感じております。
なお、3月当時の質問については下記のリンクをご覧ください。

今ではかなり情報を開示し、多くのことがウェブでも調べればわかるようになりました。
また浦河町のサイトも、スマートフォン表示に対応しました。

浦河町公式ウェブサイトのトップページ

浦河町は移住者や転勤族の方も多いです。
いずれUターンしたいと考えている出身者もいらっしゃることと思います。

これで様々な生活情報もチェックできるはずですし、いらっしゃる前からの情報収集にも役立てていただけるのではないかと思います。
議会の議事録も公開しますので、当町の今後について議会が、どのように現状を把握し、どのような対策をとろうとしているのか、その一端もわかるようになろうかと思います。

まだ至らない点もあるかもしれません。
「こんな情報も公開してほしい!」という要望や意見があればぜひお聞かせ下さい。


2016年10月14日金曜日

浦河のこの先10年を考える総合計画を審査。若い世代の活発な議論に期待

10月6日(木)のことになりますが、第一回目となる浦河町総合計画策定審査特別委員会があり、傍聴してきました。
この委員会は、町長からの設置の要請をうけ、前回の本会議の際に議会が設置したものです。委員は、岡崎委員長、井上副委員長以下、武中、米谷、斉藤、古江、中山、荻野、木下です(敬称略)。

総合計画って?浦河の考え方


総合計画とは、まちのこれから10年間の取り組みのあり方を示す自治体にとってもっとも重要な柱となる計画です。これを基本として、今後分野ごとに様々な計画がつくられていきます。
今年、浦河町は第七次となる総合計画を策定する年になります。
大まかな方針を示す基本構想というものと、前期と後期にわけて具体的な実施事業を示す基本計画というものがあります。

第六次の総合計画。分厚い資料です

浦河町では、今回の総合計画になるべくこれからの浦河を担う若い人たちの意見を多く取り入れることを考えています。
総合計画をどういうものにするか検討する審議会が設けられるのですが、業界や団体から選ばれる審議員にも、なるべく次世代を担う若い方に来て頂けるよう働きかけ、実際に20代から30代の方々の名前が数多く見受けられました。

これとは別に、浦河高校生の有志十数名で構成される高校生会議もあり、4グループにわかれて将来実現したい具体案を検討中です。どんな案がでてくるか今から楽しみです。

その他、役場の30歳以下の若手職員が招集されて、議論する場も設けられています。
担当課を横断して政策を研究する非常に良い機会と聞いております。こうした有益な勉強会は、総合計画を策定したあともぜひ継続していただきたいものですね。

こうした複数の会議で出た様々な意見を取り入れ、ひとつの計画にまとめていく考えです。担当者はちょっと大変そうです。

今までの総合計画とこれから


実はこの総合計画、今までは国からつくることを義務付けられていました。
しかし地方自治推進の流れで、今後つくるかどうかは自治体の判断に委ねられることになりました。
浦河町としては、一番重要な柱としてやはり策定すべきだという考えです。

ただ、今までの総合計画は、「何をするか」という事業名が羅列されるのですが、「それが実際に実施されたかどうか」を評価をする形になっていました。
これでは「とにかく書いてある事業をやればいい」という考えになりがちで、「何のためにそれを実施して、目的は達成されたのか」という考え方にはなかなかなりません。

そこで今回は、評価の方法そのものをあらため、本来大切にすべきである数値目標をつくり、評価していく考えです。これにより「目的に沿った事業ができているか。その達成のために他のやり方がないか」が意識付けられることを期待できます。
項目によって、各産業の売上高や施設等の利用状況、住民の満足度といった数値が考えられます。
次の委員会以降、前回の総合計画に対する評価と審議会での議論の内容が示されていきます。

若い世代中心の議論に期待


ここで余談をひとつ。
私は今回、この委員会にははいっていません。
なので今後、私が総合計画について公式に発言する場はありません
そのことで気遣いの声をいただいたりもしたのですが、あまり問題はないと考えています。

今回の策定にあたり、若い世代の声を反映する浦河町の考え方と体制づくりに対して、私は全面的に賛同しています。
細かい部分ではもうちょっと改良の余地はあるかもしれませんが、何せはじめての挑戦でこうした方法で進めているので、まずは高く評価すべきと考えています。

また、この町に生まれ育った若い世代が多数この計画の策定に関わり、未来について真剣に議論いただいていることを踏まえれば、議会として言えることもあまりないのではないかと思っています。
昨年の総合戦略の策定を踏まえて、若い世代の声を反映する仕組みづくりをしていただいていますし、今回の総合計画に盛り込まれるべき重要項目はすでにみえている現状では特にそうです。

審議会や高校生会議、若手職員の会に活発な議論を期待し、自分もなるべく時間をつくって当委員会を傍聴し、議論の推移を見守っていきたいと考えています。

2016年10月8日土曜日

日高線沿線協議会、浦河町の質問にはゼロ回答。二択提示は不適切

9月13日(火)から15日(木)までに第五回浦河町議会(定例会)がありました。
9月議会は水道事業決算が主な議題なのですが、その中で、池田町長からJR日高線沿線自治体協議会の現状について報告がありましたので、遅くなりましたがお伝えします。

JR北海道から自治体への二択提示


まずは、9月8日に開かれた同協議会の内容です。
報道にもある通り、JR北海道としてこれ以上の経費圧縮は不可能であり、また老朽化対策として相当の金額が将来発生する説明の上、自治体へは二択の解決策を示してきました。
いずれかを了承しならば廃止というメッセージと受け取ってよろしいかと思います。

浦河駅構内。左手は浦高生美術部作の絵画

ひとつは上下分離方式です。
これは非常に多様なあり方があるのですが、今回の提案では、列車運行の部分(上)だけJR北が担当し、車両・施設・土地の保有・維持管理(下)は自治体というものでした。
なお、実は海外の鉄道は上下分離方式が一般的なのですが、その「下」は自治体ではなく国や州レベルというのが通例です。

もうひとつは費用支援です。
こちらは運行にかかる赤字相当額13.4億円を沿線自治体が分担して費用支援するというものです。道はまったく負担しないと明確にしています。

池田町長は、いずれの内容も浦河町の財政状況からみて不可能との認識です。
私としても、この二択であればそう思うしかありません。
が、そもそも、その二択の提示自体も内容もおかしいだろうというのが私の考えです。

池田浦河町長からの質問にはゼロ回答


池田浦河町長もその点は同じ考えのようで、同協議会の席上でいくつか質問をされています。

  1. 日高線をモデルとし、なし崩しで廃線を進めていいのか。北海道全体の公共交通のあり方も含めて議論すべきではないのか。
  2. 北海道では新幹線含む全線が赤字だが、すべての路線で自治体負担を求める考えなのか。
  3. 輸送密度・利用状況が同程度の路線も大雨・台風で被災して運行休止しているが、同じ考えで話を進めるのか。
  4. すでにこれは存廃にかかわる話だが、日高側7町だけでなく、苫小牧側を含めた10市町で考えるべき問題ではないのか。
  5. もし仮に廃止になった場合、今まで建設海岸(道管轄)と鉄道海岸(JR北管轄)で押し付けあっていた部分も、きちんと建設海岸として道が優先的に整備するのか。

これらに対して、まったくのゼロ回答とのことです。
「今は日高線の話をしているのだから、道全体のことはここで答える必要も準備もない」と受け取ることができます。
すでに同協議会は実質、存廃議論になっているにもかかわらず、そこをうやむやにしたまま苫小牧側もいれずに話を進めるのはいかがなものでしょうか。

また、道庁の方にもお話を伺いましたが、正直申し上げて、残念ながら道全体の交通体系はどうあるべきかという考えやそういう発想すらそもそもないように感じています。
当然各自治体間でも相互に議論を深めていかなければならず、今まで不十分だった部分だと思いますが、思い切った広域連携や交通網全体としての考えは戦略的に道が打ち出す必要があると考えています。

今年は記録的な大雨と台風により、北海道各地で大きな痛手を追いました。
一次産業だけではなく、物流も寸断され、その全国的な影響力の大きさを実感したのではないでしょうか。JR北海道も例外ではありません。
ここは北海道が一丸となって今後の交通網について考えなければならないのだろうと思います。

ところでつい先日、浦河と日高中部のJC(青年会議所)が共同で今月実施するJR日高線の勉強会のご案内をいただきましたので伺ってきます。
また、6千戸強の浦河町内で3千戸ほど配布されているフリーペーパー(?)「マルセイニュース」の今月号にも日高線のことがたくさん、大きく取り上げられています。
このように地域で関心をお持ちいただき大変ありがたいところです。


2016年10月1日土曜日

全国でも二番目の桜が浦河に。知られざる浦河の樹木の価値

身近すぎてその価値に気づかないもの、ありますよね。

全国二番目のエゾヤマザクラ


浦河のJRA敷地内にある通称「百年桜」もそのひとつ。
なんと全国でも二番目の幹周りを誇るエゾヤマザクラだそうです。
9月21日(木)に林活議連(森林・林業・林産業活性化浦河町議会議員連名)で優駿さくらロードを視察した際、講師の樹木医金田正弘さんに教えて頂きました。

樹木医金田さんのわかりやすいご説明

ちなみに一番は室蘭の幌萌にある桜。
幹周りが4.3mもあるそうです。こちらの記事(室蘭の桜の名木2選!草原に咲き誇る崎守の1本桜 & 幌萌の大山桜)からご覧になれます。

桜だけじゃない浦河の樹木の価値


さらにすごいのは桜だけじゃないようです。
カシワやカスミザクラも道内でトップクラスの数と規模とのこと。

「これだけゴロゴロたくさんあるから素通りしちゃうけど、こんな太さのカシワって珍しいんですよ」

金田さんの説明に、同行した議員や職員も驚きの連続です。
他には、世界でも珍しい白のナナカマドまであります。

英国や中国にもあるらしい白のナナカマド

まだまだ見出せていない価値が浦河にはたくさんあると痛感しました。
専門家と歩くと、普段の景色がまったく違ってみえるから不思議です。

桜は樹木の中でも特に傷に弱く、維持補修が肝心です。
地域によっても特徴が異なり、専門性が要求されます。
見頃には各地からファンが訪れる浦河の桜。次の世代へ大切に継いでいきたい浦河の自慢の宝ですね。

JRAさんも金田さんのアドバイスを時々受けて、樹木の手入れをしていただいているとか。地域の魅力向上への貢献に感謝です。

今は苫小牧に居住しながら全道各地の樹木をみている金田さん。引退したらこの宝だらけの浦河に住めないかと画策しているそう。
ぜひ住んでいただいて、地域内外の方たちを対象に浦河の樹木ツアーをしていただきたいところです!

2016年9月17日土曜日

出会い・結婚支援は「うらコン」だけで大丈夫?一般質問「出会い交流・結婚支援のあり方は」原稿全文

当町が進めている男女の出会い交流や結婚支援の事業、いわゆる「うらコン」ですが、一定の成果を挙げていると伺っています。
「参加してよかった」という方や実際に結婚に結びついた事例もあり、間違ったことをしているわけではありません。毎回少しずつ工夫をし、試行錯誤の様子が伝わってきます。

毎回様々な工夫が重ねられるうらコン

しかし、実状をみてますと、やはり根本的な問題がありそうです。
一度参加しても「次は参加しない」という方やそもそも「参加したくない」という声も少なくありません。

なぜ「参加したくない」のか


例えば、「参加者と同じくらいの人数のスタッフに囲まれ、好奇心でずっと見られてて落ち着かない」「参加者よりスタッフ同士の方が仲良くしてて内輪感を感じる」ですとか、女性は特に「パートナーを探しているという目でみられて参加することがそもそも嫌だ」という声が多いです。
そのたくさんいるスタッフ自身も多くが参加者とはほとんど初対面であり、当日その場でさり気なくマッチングしてくれたり、紹介してくれるわけでもないようです。

とある30代の結婚相手を探している独身女性からは「すぐ隣りに座っていた20代の子は誘われたのに、自分は誘われなかった」という声もありました。
一体どういう人を対象に、どんな支援をしようとしているのでしょうか。

そこで一点目の質問ですが、当町はかつて独身の農家さんの結婚相手になる女性を全国から募集する結婚支援事業「グリーンパートナー事業」を実施し、大変好評だったと伺っておりますが、その実績と終了した理由はどういったものでしょうか。

二点目として、現在の出会い交流支援事業、いわゆる「うらコン」の目的、実績はどうなっているのか。また、参加者や参加したくない方の声を踏まえた事業のあり方の問題点はどう把握しているのでしょうか。

ここでそもそもになりますが、当事業の一番大きな目的は、結婚したいのに、なかなか相手がみつからない住民に対する結婚支援ではないのでしょうか。
であれば、課題とそれに対する解決策があべこべではないでしょうか。

「うらコン」はそもそも課題解決になっているか


相手がみつからないと困り事を抱えている方の多くは、そもそもシャイで、こうしたいわゆる出会いイベントのようなものに参加したくない性格だったりするわけです。
それでも無理やり誘われて参加するのですが、そういう場は苦手ですから、イヤな想いをしたり、誰とも話さず帰ってしまい、もう二度と行きたくないとなるのは考えてみれば当たり前です。

あるいは、マッチングの問題もあります。
年が離れすぎていて話がはずまなかったり、特に女性は年令によって結婚に対する意識はまったく違います。日本では一応、結婚適齢期は20歳から34歳ということにされていますが、20歳と34歳では置かれている状況がまったく異なります。
うらコン参加者だと一緒くたにされても、20歳の男性が34歳の女性と同じくらい結婚について真剣に考えていると思いますか。

このように、現在唯一の出会い交流・結婚支援事業である「うらコン」というあり方だけでは、抱えている課題の解決には不十分です。うらコンそのものあり方もぜひ改善していただきたいところですが、別の方策もそろそろ考えなければなりません。
他地域の事例をみてみますと、必ずしも交流イベントだけが結婚支援ではありません。

結婚支援は出会い交流イベントだけではない


そこで三点目の質問です。
特に真剣にパートナーを探している方の中には、不特定多数が出会いを求めて集まる場を嫌がる方もいらっしゃいます。男女関係はプライバシーにも関わるデリケートな問題です。
そうした事情に配慮し、出会い事業だけでなく、他の都道府県や市町村で実施されているような見合い事業や仲人事業といったタイプの事業実施の予定はないのでしょうか。

これらの事業はあくまで個人個人の事情や条件に配慮した、きめ細やかな対応に効果が認められ、好評だと伺っております。
イベントには行きたくないけど、個々に対応してくれるならばありがたいという方も、こうした事業であれば、大勢に囲まれたり、条件や年齢、結婚意識の差に悩んだりする必要がなくなります。

よく言われる問題点である男性のコミュニケーション不足に関するアドバイスも、不特定多数が集まるセミナーでなく、信頼できる地域の方に個別に相談できたほうがよっぽど効果的のように思います。
当町としても、今一度問題点を検証し、多様な若い人の出会いや結婚に対する意識、ニーズに応えるるために、様々な結婚支援のあり方とその可能性にチャレンジするべきではないでしょうか。

2016年9月16日金曜日

高校生の免許取得はダメ?一般質問「高校生が自ら学び、遊び、働ける環境を」原稿全文

議員になってから約一年半が経ちました。
議員としての仕事をやろうと思えば無限にあるものだと感じております。が、反面、ある程度時間を自由に使える仕事でもあります。と、こういう話をしておりますと、昆布漁師さんやいちご農家さんから「人手が足りないから来て欲しい」と頼まれるようになりました。

そういうわけで、時間の許す限りお手伝いしているのですが、現場に出て初めてみえてくることがあります。
そのひとつが浦河に足りないのは「雇用」ではなく、「労働力」だということです。
そして、それがあまり知られていませんし、それ以前に、人手さえあって家族でしっかり働けば、何とか生活していける仕事であることもあまり知られていないように思います。
これは何とかしたいものです。

そこで考えついたアイディアが、現在は高校の校則で禁止されている高校生の運転免許取得、特にバイクですが、これの許可です
そしてよくよく考えてみれば、これが許されれば、高校生にとっても、浦河町の未来にとっても非常に有益だと考えるに至りました。お金もかかりません。

前置きが長くなりましたが、今回一件目として「高校生が自ら学び、遊び、働ける環境づくりを」と題して質問いたします。

浦河の基幹産業の現場の実態


当町では例年、昆布漁が実質7月から9月にかけて行われ、いわゆるおかまわりが必要になります。浦河だと朝の5時から9時頃まで旗があがり、船が出ます。いっぱいになって戻ってくると、それを降ろして運びます。
ずいぶん重いものですが、その時間に動ける男手が特に足りなくて、助かると仰っていただきました。

また生産量日本一を達成した夏いちごですが、収穫が忙しいのはやはり7月から9月であります。一番忙しい時は深夜2時頃からはじめて9時に出荷、その後も株のメンテナンスで夕方まで作業をしています。
猫の手も借りたい一方、いちご農家は移住者が多いですから知り合いも少なく、手伝ってくれるひとを探すのも一苦労です。

浦河の夏いちごは生産量日本一

さて、こうして寝る間を惜しんで一生懸命収穫したものを選果場に送るわけですが、ご存知の通り選果場も人手不足です。農協職員が交代で徹夜で作業していると聞いています。
時間をかけるほどいちごも痛み、ハネ品が増えます。これを二次選果に回すわけですが、ここでも人が足らず、さらに傷み、規格外にもならない廃棄が増えます。
これでは農家さんの努力が水の泡です。

このように当町の基幹産業の現場では、特定の時期、時間に、集中的に、多くの労働力が不足しております。
特にいちごについては、今後新規就農も増え、一層不足するでしょう。労働力が足りないばかりに、収穫量が減少し、商品の質も劣化します。深刻な問題です。
これをどうにかできないものでしょうか。

高校生がアルバイトをしてくれれば助かる


そこでちょっと考えてみますと、この繁忙期、ちょうど夏休みの期間であります。
これは好都合です。高校生がアルバイトをしてくれれば助かります。

そこでこれが一点目の質問ですが、夏いちごの生産や昆布漁の現場において、こうした特定の時期に労働力不足の構造があると町として認識はあるでしょうか。そして夏休み中の高校生に期待する以外に、その課題解決の具体的方策は現時点で何か他にあるでしょうか。

すでに選果場には夏休み、たくさんの高校生が参加していると聞いています。
が、昆布漁にしろいちご収穫にしろ、現場は徒歩や自転車等では困難なほど中心部から離れている場合も多いです。出勤が求められる早朝は、父母の送迎は困難でしょう。もちろん、公共交通機関を利用することもできません。
しかしここで、高校生が原動機付自転車やオートバイに乗ることができれば、問題ありません。幸いこれらの免許取得は法律で16歳以上に認められております。
ところが現状、浦河高校では免許取得が原則校則で認められていません。

これが二つ目の質問ですが、浦河高校生が免許は許可されないのはなぜなのでしょうか。その経緯と背景はどのようなものでしょうか。またそれを今、町としてどう考えているでしょうか。

高校生が働けば、人手があればやっていける地域の産業を学ぶ機会になり、事業主さんにとっては不足して困っている労働力の確保にもなり、そうして稼いだお給料を地域でつかってくれれば経済への貢献にもなり、と良いこと尽くめであるにもかかわらず叶わないとすれば、町にとって大きな損失です。
部活で忙しくてバイトなんかできないという向きもあるかもしれませんが、このような状況ではむしろ部活くらいしかやることがないのが今の高校生の実態なのではないでしょうか。
私は当然、高校生の免許取得を町として認めてしかるべきだと考えるのですが、いかがでしょうか。
またよくよく考えるとメリットはそれだけではなく、他にも3点ほど考えられます。

免許取得を許可すればいくつもの副次効果が


まずは自前の通学の足の確保と財政負担の軽減です。
JR日高線が運休して一年半以上、先の台風で一層の被害が確認され、復旧はますます遠のいております。仮にこれが廃止となり、バス運行になった場合、池田北見間のふるさと銀河線の事例で申し上げますと、代行バスも当然赤字ですから、沿線自治体でそれぞれ年に1千万円程度を運行に支出しております。
そんな中請願があり、まさに議論の最中の高校通学費助成ですが、これも捻出するとなれば、他自治体の事例では200万円程度が自治体の負担となっております。財政が厳しい中、こうした負担は少ないに越したことはなく、一部でも自力で移動してもらえればありがたいですし、親の負担も減り、来るべき未来に対して先んじて手を打つことになります。

次に高校生の遊びの場の充実です。
当町は少子高齢化の影響もあり、昔に比べて高校生が友達同士で遊べる場も少なくなっています。公共交通機関が充実している都市部に比べ、はるかに自由が少ない状況に不満をもっている高校生もいます。
今、高校生はどこで遊べばいいのでしょうか。

卒業後に地域を離れる子も多いですが、こうした状況では浦河のことを聞かれても「何もないよ」と言わざるをえません。
これでは全町挙げてネガティブキャンペーンを実施してるも同様です。しかし、遊びにも自分の足で行けるようになればどうでしょうか。

当町や近隣には国内外に誇れる豊かな自然環境に恵まれておりますが、徒歩や自転車ではアクセスしづらい場所ばかりです。高校を卒業して地域を離れる前に、こうした浦河のいいところに少しでも接してもらい、地域への愛着が湧く出身者を増やすことにつながります。

これがメリットの三点目ですが、もっと多くの浦河出身者に浦河をPRする応援団になってもらえる可能性を指摘しておきます。
高校生の頃から自由自在に浦河を遊びきってもらう。
このまちに住む豊かさを知ってもらう。
そして卒業しても「浦河はこれだけいいとこなんだよ」と胸を張って断言できる、そういう卒業生を育んでいきたいではありませんか。それが地域の外で浦河を勝手にPRしてくれる応援団をつくることになるのです。

このようにバイク保有の自由化は、都市部に比べてそのメリットは大きいと考えます。
あらためて列挙すれば、高校生の地域産業の学び、地域の労働力の確保、地域経済の活性化、それから、通学の足の確保と財政負担軽減、遊びの場の充実、浦河をPRする応援団の可能性、これだけあります。

バイクがダメになった背景と全国の現状


かつて、高校生に免許をとらせない、かわせない、運転させないという「三ない運動」というものがあったそうです。子どもの安全を心配する父兄の当然の声の結果です。
しかし、これも地域の実情に応じて見直すべきという時代になってきています。
2012年、全国高等学校PTA連合会は、これまで続けてきた三ない運動の決議や宣言を完全に撤回し、地域の実状に応じた高校への運転者教育の受け入れを掲げました

ここに公益財団法人日本自動車教育振興財団が調査した昨年の資料があります。高校生にあたる16歳から18歳の年齢における、都道府県別の免許保有率が算出されています。
1位の和歌山県の免許保有率は、26%です。実に3割が免許を持っている。
2位は鹿児島で24%、和歌山県、沖縄県、茨城県と続いてそれぞれ約17%。それに比べてやはり大都市東京はどうかといえば、6.4%と非常に少ないです。
では、北海道はどうか。

4.4%と全国最低の水準です。全国平均すら10%ある日本の現状です。
これだけ広大な土地を有する北海道でなぜこれだけ認められていないのか。
ちょっとこれは、逆に不自然、不可思議です。

三点目の質問ですが、免許取得やバイク通学について、地域の実状に合わせた判断をすべきとの声も高まっていますが、当町としてはどう考えているのか。都市部に比べても、許可によるメリットは大きいのではないでしょうか。

四点目として、公共交通の視点からみても、JR日高線の復旧問題や通学費助成の請願、デマンドバス等、浦河町内外を取り巻く現状を踏まえれば、高校生が自ら交通手段を確保することも一つの解決方法ではないでしょうか。 

究極は、町として子どもにどう育ってほしいかが問われる


最後の五点目の質問です。
免許取得は法律ですべての国民に認められている権利です。学校の校則が法律に優先している方が不自然な状況とも言えます。

もちろん父兄には安全性を心配する声も多いと思います。昔は暴走行為も多く、非行を心配する方もいらっしゃるかもしれません。しかし、もし危険なら交通安全教育を徹底し、暴走行為は取り締まれば良い。
今の浦高生が鉄パイプを片手に走り回るようにみえるでしょうか。
時代に応じて、ちょっと考えなおしてみてもいいのではないでしょうか。

浦河のような地域、車社会では、高校を卒業すればいずれにせよ交通ルールは必要不可欠な知識です。こうした高校生の運転を前提とした考えから群馬県では2014年12月、議会で交通安全対策に関する決議と交通安全条例を可決しました。

安全も大事ですが、過保護では人は育ちません。
最近の都市部の公園では、危険だからボール遊びもダメ、感染症の恐れがあるから砂場遊びもダメ、近所迷惑だから大声を出すのもダメ、危険だから遊具もダメ、では一体何ができるか教えてほしいくらいだと話題です。
それは極端としても、自分で失敗する前から何もかも禁止にしては、チャレンジする子どもがいなくなって当たり前です。
バイクを許すのか、許さないのか?

これは、自主性を大事にするのか、安全を優先するのか。子どもの自由や権利を優先するのか、大人の心配を優先するのか。 という選択です。
色々とメリットも述べましたが、究極には、これが問われる選択です。
私としては前者を優先し、子どもたちにはのびのびと育ってほしいと考えていますが、当町の教育方針としてどちらをより重視していく考えなのか伺います。


2016年9月15日木曜日

議員定数は削減決定。が、減らすだけでは意味がなく、議会として町民の声を聴く場をつくるべき

先ほど議会後に開かれた議員定数調査特別委員会が閉会し、議員定数を削減するか否かを採決し、削減が決定しました。

浦河町の現状を踏まえ、これからの浦河町のことを最後まで考え抜いたのですが、最後はやはり削減の立場で討論に望みました。
討論の原稿を以下の通り公開しますので、ぜひご覧ください。

浦河町議会の定数は削減すべき


定数は削減すべきとの立場です。
ただし、単に削減するだけでは意味がないと考えており、提案も同時にさせていただきます。


「定数は維持」とする意見の通り、一般論としては、人口が例え減っても集落の数が減るわけでもなく、産業の数が減るわけでもなく、行政部門の数も、もちろん性別の数も減りません。
確かに定数が多いほうが多様な視点から町政をチェックできることができるでしょう。

また例え選挙にならなかったとしても、定数が多いほうが新人が立候補しやすいというのもあるのでしょう。多いほうが各議員の負担も減り、新人も立候補もしやすいのかもしれません。
こうした考えについては、基本的に異論はありません。

しかし、今は一般論としての正しさを議論しているわけではありません
この町の議会、町民が選ぶ代表が集まる議会、浦河町議会の議員定数の議論です。
みなさんは、自分の支持者の声は聞いていると思います。しかし、支持者以外の有権者の声は聞いてますでしょうか

浦河町の現状と町民の声


いわく、 「今の議員は『選ばれた住民の代表だ』『人数は必要なんだ』というけど、実際に俺たちの話を聞いているか。しばらく口をきいたたこともない。報告会だって、自分の支持者も来てないみたいじゃないか。」

これは、単に今の行政や議会に不満をお持ちなのだと思います。
しかもその不満、「町や議員に言っても何も変わらない」とすでに諦めに変わってしまっている。
これが私の知る現状です。

支持者だけが町民ではありません。
特定の誰かを支持しているわけでもない大多数の声にも耳を傾けなければなりません。
みなさん、これが今の現実です。決して一部の極端な意見などではありません。

現役の議員としては、日々浦河町がどうしたらよりよくなるか、限られた時間と人数の中でそれぞれが支持者の声を聞き、精一杯調べ、考え、行動している中、大変悔しいところです。可能なら減らしたくないところです。
しかし、この現実からスタートしなければなりません。

来庁時に表示する名札。全議員にそれぞれ支持者がいます

住民と議会との信頼関係が失われてしまっている。住民が議会を諦めている。
これが「定数を減らせ」という声がでてくる根本的な原因です。

この状態を払拭し、議会への信頼を取り戻す。
浦河町議会を諦めないでもらう。
自分も議員をやってやろうと思われるような議会を目指す。

まずはこれが何より大事なことだと思います。

その声と無投票をどう受け止めるか


であれば、「減らすべき」という多くの町民の声にまずは真摯に耳を傾け、議会としてしっかりと受け止める。減らす。
その上で、ただ減らすだけではなく、浦河町議会の仕組みとして、町民の声をきちんと聞く体制をつくる。町政への関心をもっていただく。理解を深めていただく。
こうした活動を通じて、少しでも議会に関心をもつ町民を増やし、新人が立候補を考えてくれるような土壌を耕す。立候補しやすい環境づくりも一緒に考えていく。

こうしたことは、議員個人や会派の活動では限界があります。
こうした取り組みを議会全体として、積極的に、主体的に取り組んでいく。
「町民のみなさんの声を聞かせてほしいんだ」
「いいアイディアやできることがあれば聞かせてほしいんだ」
そういう姿勢をみせる。
その代わり、間違った認識は堂々と正し「こうなんですよ」と丁寧に説明する。
これは今だからこそできること、すべきことではないでしょうか。

昨年は無投票でした。
これは浦河町議会にとって大きな転換期です。

多くの町民は「ほら、だから多すぎなんだ。やっぱり定数を減らすべき」と思っています。
ところが、議会は無投票だったのにもかかわらず、「定数は減らさない。何も変えない」と維持の判断をすれば、どう受け止められるでしょうか。

「どうせ選挙をやらずに、楽にこれからもずっと議員をやっていたいということだろう」
そう思われます。

そんな事実は決してなかったとしても、現実には間違いなくそうとらえられてしまう。
今だけではありません。これから先もです。
議会への信頼が一層失われてしまうのです。

町民の議会への信頼を取り戻す


みなさん、私たちは「今の議会」のためではなく、「これからの議会」のための判断を「今」しなければなりません。
無風だった今こそ「数が多い方が住民にとってもいいことなんだ」という一般論にしがみつくことなく、これを機会に、議会は身を削ってでも、
「これから未来に向けて、覚悟を持ってしっかりと町政に取り組んでいくんだ」
そういう姿勢をみせるのにもっともよい機会です。
「お、今回は決断したんだな、見直した」
そう思われる議会像をお示しするチャンスです。

そしてただ減らせばいいというわけではありません。
減らして当たり前だと思われているからです。

ですから、それとあわせて今こそ、どういう議会であったら自分が現実に議員になれるか、なりたいと思えるか、町民に広く聞くチャンスでもあります。
これが提案です。

ただ減らすだけなく、声を聴く議会へ


つまり、現在の議会活動に今の議員それぞれが割いている労力、本業との兼ね合いの実態も含めてご説明して知って頂いた上で、ではどこまでどう活動をすれば納得頂けるのか、自分でもやれると思って頂けるのか。
このテーマに絞って真剣に意見を聞く場を設けるべきです。

削減することは、今の議員や町民にとっては決してプラスではないかもしれません。
しかし、未来のために、議会と住民の信頼関係を回復するために、間違いなくプラスになります。
「いくら言っても変わらない」
そういう町民の間にある諦めの気持ちを払拭する。
議会として、減らすという決断をし、広く声をきく体制をつくり、信頼関係を取り戻す。
そして一緒に新人が立候補しやすい環境づくりを考える。

そのためにまずは現状を知ってもらったうえで、議会とはどういうものなのかもお伝えし、どういう議会であれば議員になりたいと思えるかを町民から広く聞く場をもうける。
これに取り組むべきです。 

以上が私の議員定数に対する考えと提案です。
是非、全会一致で削減を決め、その決断を町民にお示しできないでしょうか。

賛否の結果


賛成は10(佐藤、斉藤、井上、神原、辻、中山、古江、櫛桁、木下、武藤)、反対は6(岡崎、武中、米谷、小原、鎌田、飯田)でした。
なおルール上、佐々木議長と荻野副議長(当委員長)は採決に参加しませんでした。

削減の数は今後、議論していきます。
反対の討論は武中、賛成の討論には武藤、木下、井上が意見を述べました。

2016年9月10日土曜日

ウェリントンホテルから土地貸付料の減額請求。これからの大通地区について本質的な議論を

9月1日(木)総務産業建設常任委員会の傍聴報告です。
なお中心市街地活性化計画の審議中に途中退席しましたので、それ以降の部分については配布資料によるものです。

大雨や台風の被害状況


7月28日の町内全域に避難勧告のあった大雨8月17日の台風7号による被害状況と被害額の報告がありました。
今年は浦河に限らず北海道各地で災害が多かったですね。被害にあった方にはこの場を借りて心よりお見舞い申し上げます。

資料の写真を見る限りは相当の被害

被害額ですが、前者では約1億3,000万円後者は約4,400万円です。
主なものとして町内東部の町道や林道で路肩や路体崩壊があり、特に上杵臼新富線の修復に概算2,100万円が計上されました。
水産関連では報道にもあった通り、昆布や干場の流失により計4,600万円です。
これにかかる経費は、来週の議会で補正予算として町部局から提案されます。

堺町川沿団地工事の基礎杭施工状況


昨年の杭工事のデータ偽装問題を受けて引き続き関心の高い基礎杭ですが、現在の整備中の団地工事について報告がありました。
一般的に工事前の試算と実際の工事に差が出てくるものですが、今回は最少0.4m、最大2.2mとなり、請負代金変更が必要な工事については、来週の議会で契約変更の提案がされます。

ウェリントンホテル土地貸付料減額の請求


ウェリントンホテルを運営する株式会社TS開発より、当地の土地貸付料減額が請求されており、浦河裁判所に出頭命令のあった旨の報告がありました。

経緯ですが、現在は年間約680万円で貸し出している5,331㎡について、今年4月6日に当社の弁護士を通じて「妥当な金額ではない」として、約220万円の減額が書面で請求がありました。
当町からは5月20日に「協議したい」と返答した後、まったく連絡がなかったところです。
ところが8月26日付で浦河裁判所より、調停のためとして12月5日の出頭命令があったとのことです。

町部局の説明によれば、当地の貸付料は国道再開発当時の評価額を基準にして50年契約を結んだものです。
町としては、時価と明らかに乖離があれば交渉の余地はあるものという認識はあり、協議する姿勢を示していたにもかかわらず、このような事態になったとのことでした。

過去、当社からは減額について口頭でも書面でも相談したいという話は一度もなく、突然このような事態になり、町としても当惑しているようです。
これからはまず、当地の不動産鑑定を実施し、12月の調停に向けて準備を進めるとのことです。しかし50年契約とはまたすごい契約をしていたのですね...。

浦河町中心市街地活性化計画


私の所属する厚生文教常任委員会(以下、厚生)で議論して承認した「まちなか元気ステーション」を踏まえ、中心市街地活性化にどう結びつけていくのかがあらためて議題になりました。

ところが、複数の委員から「元気ステーションの予算と内容が決まったのならここで一体何を議論するんだ」「この案は採決されたわけじゃない」とゼロから蒸し返す話になってしまい、傍聴を中座させていただきました。

もともと元気ステーションは、昨年の総務産業建設委員会(以下、産建)で中心市街地活性化の議論の中で、町から提案されたものです。
その中身や予算については、所管委員会である厚生で議論し、その結果をもとに再度産建に差し戻す流れと決まっていました。

産建で扱うのはあくまで「中心市街地活性化」の議論です
その地区の一部である商業施設、さらにその中のテナントがひとつ決まったとしても、まだいくらでも議論すべきことはあるはずです。
厚生で出た結論に納得いかないからといって軽視し、何でも産建で決めたいというのは勝手ですが、そもそも自分たちで決めた段取りを反故にした上、代替案すらないというなら建設的な話にならず、時間のムダです。

最近では、採決において会派内での判断の縛りをなくすこともあり、何のために浦河町議会で会派制を採用しているのか正直よくわかりません。
あとから聞いた話では、結論が出ず、会派持ち帰りとなったそうです。
会派制の存在が議会を円滑に進めるためにあるということなら、ぜひとも円滑に進めていただきたいところなのですが...。

風情ある霧の浜町も浦河の魅力

先述の土地貸付料の話もありますが、大通を今後どうしていくのかきちんと考え、策を打たなければなりません。
手をこまねいていては町の中心部の価値下落を放置することになり、居住している商業者にももちろん、行政にとっても町民にとっても損失です。
ここは大通地区の役割と価値を大胆に位置づけ直すと同時に、新たなプレイヤーにかかわってもらえるような取り組みが必要なのではないでしょうか。

優駿の里公園管理


前回の産建で委員から資料提出が要求され、新たに指定管理会社により今年2月末に作成された業務計画書等が町から提出されましたが、中座のため議論の内容は確認していません。

前回も私なりに基本的な考え方を示しましたが、経営内容の細かいチェックは取締役や株主の仕事であり、議会としてできることは、当施設の町としての位置づけそのための支出額の妥当性の判断しかないと考えています。
これも一体委員会として何を議論しようとしているのかいまいちわからない問題のひとつです。


2016年9月7日水曜日

高校生通学費助成を巡る議論へ。まちの交通をどうすべきか?他、タブレット等計5件

9月2日(金)に厚生文教常任委員会がありました。

B型肝炎ワクチン接種事業


1歳未満のお子さん(今年の4月1日以降生まれ)に対して、B型肝炎ウイルスの感染予防の内容が報告されました。
任意ではありますが、全3回分すべて町が助成します。財源は地方交付税が当てられます。

家庭的保育事業等に関する条例改正


全国的に保育士確保が困難な状況のため、小規模保育事業所等での保育士配置要件が緩和されました。
また、建築基準法の改正に伴い、同事業所での避難用設備の構造要件が緩和されました。

浦河町には小規模保育事業所がないため具体的な影響はありませんが、このように国の法改正によって細かく町の条例も変更する必要がでてくることがあります。

浦河日赤の診療時間変更


浦河日赤の診療時間が、10月1日から変更があると委員会で報告がありました。

耳鼻科は、医師の退職と産休により一コマ減り、火曜の午前と午後、金曜の午前と午後の四コマになります。患者数がもともと多くなく、影響は大きくないそうです。
循環器系は利用者が多く、要望していたそうですが、毎週水曜午前と少し増えました。

先般、「浦河の医療機関を守る会」で北見の市民団体をお招きし、取り組みを紹介いただいたそうです。
その中では、医師や看護師も地域の評判を耳にして影響を受けるため、選ばれる地域をつくる必要性があること、それから地域として歓迎する場を持つことの重要性が語られたと報告がありました。北見ではボランティアで取り組まれているようです。

良くも悪くも、昨今は何事にも地域間競争の原理が働いてきていると感じています。
細かい点を近隣町村と争うのではなく、協力し、地域をもっと広い視野で考えなければならないと思います。

小中学校へのタブレット導入


賛否のあったタブレット導入ですが、いよいよ9月26日に納品となります。

学校内のLAN工事は冬休みとなっていますので、まずは朝学習や放課後学習といった時間に、ローカル(端末)で学習アプリで触れていくことからはじまるようです。
導入したからには、子どもたちのためにしっかりと活用できるように、行政としても責任をもって取り組み、工夫を重ねていっていただきたいと思います。

浦河高校通学費補助の請願


住民からの請願があった本件、どのように議論を進めていくかがまず話し合われました。
私からは北海道内各地の同規模自治体や高校の事例をいくつか調べて提出していましたが、事務局からわかりやすくまとまった資料にして配布いただきました。
他、浦高生の通学実態や定期代等の料金をまとめた資料も提出されました。

私の資料をみてもわかる通り、また先日は日高管内の通学費助成の実態が地元紙で報道されたこともあり、まずは感想として、基本的には何らかの助成は必要なのではないかという委員会の印象でした。

しかし委員からは
「定期券でなく、バスカードを使っている子も多いはずだ」
「高校生だけでなく、中学生のことも考えなければ不公平」
「公共交通機関が対象なのか、車での送迎も対象なのか」

と、様々な意見や疑問があり、もう少し細やかに町内の子どもたちの通学実態を調べることになりました。
私自身は浦河の高校生の知り合いがそれほど多いわけではありません。私にでも、他の委員にでも構いません。実状をお聞かせくださいませ。


一年半以上使用されていない浦河駅

今回は、一般質問でも交通に関わることを質問しますが、3年間浦河で生活してみて、現実として車(やバイク)は必要不可欠だと感じます。

浦河に限りませんが、地方においてこうした状況を生んだ責任は、道路を要望してきた地域にあるのか、その要望を汲みとって力にしてきた政治にあるのか、その政策に相互に依存してきた財界にあるのか、そうした状況を容認してきた国民にあるのか。
きっと全員にあると思います。しかし、誰のせいかと責任論で語ることには意味がありません。

交通は、ほとんどの自治体に専門部署が存在せず、住民にとっても空気のようなもので、関心もさほど高くありません。
が故に、日々の生活でもっとも重要なことであるにもかかかわらず、何かあったときに慌てて考え始めるという状況を生み、交通はいわば自治体行政の盲点になる構造がわかってきました。

人口が減れば不便になって当たり前は、本当に当たり前なのか。不便だから人口が減ってしまうのではないか。
まだ考えはまとまりませんし、JR日高線を巡っても国の交通政策については大いに疑問を感じるところではあります。

ただひとつ言えることは、どんな状況であっても、自治体としても未来に向けて知恵を絞り、何らかの対策を考えなければならないことです。
そのひとつの方策として、高校生の免許取得を提案させていただきます。ご意見お寄せ下さい。


2016年9月6日火曜日

高校生が自ら学び、遊び、働ける環境は?「うらコン」はこのまま?次の議会で2件を質問

9月13日(火)から議会です。
今日はその一般質問の発言通告書提出の締切りでした。今回は2件を予定しています。

一件目は、この夏町内の一次産業の現場でお手伝いしてきた経験を元に主張をまとめました。

この夏は昆布漁の「おかまわり」やいちご収穫をお手伝いしました

賛否あるテーマだと思います。
しかし、せっかくヨソモノが議員になったので、賛否くらい起こるような提案をしなければ意味がないのではないかと思います。
当たり前と思ってることを変えればよくなることもあるはず。これを機会にもっと多くの方に考えていただきたいです。

高校生が自ら学び、遊び、働ける環境づくりを


当町の基幹産業である一次産業の現場では、人手さえあれば一層の増収や産業を持続可能なものにできる。特に夏季の特定の時間に労働力が不足している。収穫量や品質の低下にも影響しており深刻だ。

高校生が働けば、地域産業を学ぶ機会になり、事業者にとっては労働力が確保され、そのその給金で地域経済へ貢献も期待できる。
しかし、現場は市街地から遠く、公共交通もなく、現実的に通うことが難しい場合もある。
二輪等の免許取得を許可すれば、こうした地域課題の解決になるのではないか。

さらには通学の足や遊び場へのアクセスが可能になり、親や学校に頼ることなく広大な浦河の自然、魅力を自ら知ることもできる。
自主性が育まれ、送迎する親の負担は減り、卒業後に地域を離れても浦河を誇りに感じ、広く世に伝えてもらうことも期待できる。

1.夏いちごの生産や昆布漁の現場において、労働力不足だと認識はあるか。高校生に期待する以外に、その課題解決の具体的方策はあるのか。

2.浦河高校生が免許は許可されないのはなぜか。その経緯と背景は。またそれを今、町としてどう考えるか。

3.免許取得やバイク通学について、地域の実状に合わせた判断をすべきとの声も高まっているが、当町としてはどう考えているか。都市部に比べても、許可によるメリットは大きいのではないか。

4.公共交通の視点からみても、JR日高線の復旧問題や通学費助成の請願、デマンドバス等、浦河町内外を取り巻く現状を踏まえれば、高校生が自ら交通手段を確保することも一つの解決方法ではないのか。

5.免許取得は法律で認められており、危険なら交通安全教育を徹底し、暴走行為は取り締まれば良い。安全も大事だが、過保護では人は育たない。子どもたちの自主性も大事だと思うが、当町の教育方針としてどちらをより重視していく考えか。


以上です。みなさんはどう思いますか?

二件目は、いわゆる「うらコン」事業についてです。
参加者からはそれなりに評価され、実績もあるのですが、もう少し細かくあり方を改良していくべきと思っています。

出会い交流・結婚支援のあり方は


当町が進めている男女の出会い交流や結婚支援の事業は一定の成果を挙げているが、一度参加しても「次は参加しない」そもそも「参加したくない」という声もある。
今後の制度のあり方について、町の見解を問う。

1.かつて実施したグリーンパートナー事業は好評だったと聞いているが、その実績と終了した理由は。

2.現在の出会い交流支援事業の目的、実績、参加者や参加したくない方の声を踏まえた事業のあり方の問題点はどう把握しているか。

3.特に真剣にパートナーを探している方の中には、不特定多数が出会いを求めて集まる場を嫌がる方もいる。男女関係はプライバシーにも関わるデリケートな問題。
そうした事情に配慮し、出会い事業だけでなく、見合い事業や仲人事業といったタイプの事業実施の予定はないのか。


以上です。
私の順番は中ほどなので、出番は2日目の14日(水)になるかと思います。


2016年8月31日水曜日

「一人足りとも置き去りにしない」と言い切れるか?秋田県大館市に学ぶ教育

少し前の話になりますが、8月24日(水)に「秋田県大館市の教育に学ぶ」講演会に参加してきました。
大館市の教育委員会から講師をお招きし、堺町小学校5年1組の子どもたちを対象にした模擬授業が行われました。

貝森教育研究所長による模擬授業

秋田県大館市から学ぶ


内容は奇数と偶数の違いについてでした。
おそらく毎日の教育現場からは離れた立場にも関わらず、ついさっきランチを一緒にしたばかりの子どもたちの心をしっかりと掴み、全員がついてこれているかどうかを丁寧に把握し、時間通りに終わらせる教師としての確かな技術が素晴らしかったです。

今年、浦河町は教育の先進地である秋田県大館市との交流プログラムをいくつか実施しています。浦河の教育をどうしていけばいいのかを考えるヒントを学ぶ目的です。
秋田県内でも南北で学力に大きな差があったそうですが、学力数値を追い求めるのではなく、地域を担う未来の大館市民をいかに育てられるかを考え取り組んできた結果、学力も追いついていったようです。

残念ながら今回はその後、所用のため途中退席してしまったのですが、7月24日(日)にも発達支援システムに関する講演会に参加したところです。
大館市は6年間かけて苦労しながら今の教育をつくりあげてきたと聞いています。

大館市の教育の特徴


その成果なのだと思いますが、もっとも印象的なのは、子どもたちの現場にかかわるみなさんが大館の子育てはかくあるべきという姿を、自分の言葉でわかりやすくお話になることでした。

7月に開催された講演「どこでも支援教育・だれでも支援教育」

その内容はふるさとに生きる基本を学ぶ「ふるさと教育」、そしてその上に自らの生き方を描く「キャリア教育」を通じて「未来大館市民」を育成するというものです。
これだけ言うとすぐに真似することもできそうなものです。

しかし、単に掲げている空疎な言葉ではなく、こうした基本的で長期的な考え方を少なくとも要職にある職員同士で共有し、それぞれの立場で何をしなければならないか、しっかり考え抜かれていることが伝わってくるのです。
これはそう簡単なことではないように思います。しかしまた、こうしたことを徹底していかなければならないのだろうとも思います。

また私が個人的に感銘を受けたのは、理念のひとつでもある「一人たりとも置き去りにしない」教育という考え方と実践でした。
これは昨今ではややもすると、理想論に聞こえてしまいがちな言葉ではないでしょうか。それを形にして実践しているところに大館市のすごさがあります。

教育に関しては門外漢ではありますが、厚生文教常任委員になったことや、最近参加している札幌の勉強会でも教育が主なテーマなこともあり、もっと掘り下げて勉強していきたい分野です。


2016年8月29日月曜日

百年の計としての鉄道存続と路線廃止問題を巡る素朴な疑問

昨日8月28日(土)はふるさと銀河線沿線応援ネットワーク副代表中川功さんをお招きしした「JR日高線を守る会」の講演会をお手伝いしてきました。

北見から公共交通でお越しになった中川功さん

鉄道がなくなった後の地域


北見-池田間を走ったふるさと銀河線が廃止されて早10年。

沿線では鉄道がなくなったあと、地価下落や人口減少のみならず住民の間に大きな喪失感があったそうです。病院に通うお年寄りが住めなくなり、これが原因で札幌へ引っ越した方もひとりやふたりではないようです。
また各沿線自治体では、鉄道に代わる代替バスの関連費用だけでそれぞれ年に1,000万円前後の計上経費が自治体負担になっていることをご報告いただきました。

百年の計としての鉄道存続


こうした地域の実状を踏まえ、日高線も残すべきとのお立場から、路線維持のための一般財源ではない新たな財源確保と住民の利用促進案を提言いただきました。
一般の方にはちょっと難しい内容だったかもしれませんが、沿線自治体の行政職員や議員も多数来場しており、今後の参考になったのではないでしょうか。

地域の先人たちが百年前、必死に陳情して何とか実現した鉄道誘致。
そして脱獄囚がみせしめのために生き埋めにされながらつくられた北海道の鉄路。
これを今、そしてこれから百年をどうするのか。
物事の原点に立ち戻り、そして自分の次の世代も含めた時間軸で考える大事な視点をいただきました。

会の村井代表も「被災以来、一年半にも及ぶ代替バス運行といういわば社会実験中の日高線。苫小牧-様似間は3時間から5時間になった。バスには乗れない事情の方もいる。
そうしたことにより、バスになっただけで輸送密度が300人から200人以下に激減。バスではダメなひとも大勢いる
と力強いメッセージを会場に投げかけていました。

管内各町から140名の方がご来場

140人が来場して関心の高まりを感じました。
会へも4万円のカンパが集まったと聞いています。
報道でもとりあげていただきました。

鉄道を巡る論議に関する素朴な疑問


あらためて鉄道は特殊な交通機関だと感じました。
「赤字だから」「あまり人が乗ってないから」廃線でもいいというのが当たり前のように言われることに、「本当にそうなんでしょうか」と素朴な疑問を感じます。

道路は利用料がかからないわけですから、言ってみればすべて赤字です。
その金額も、鉄道とは桁が違います。
にもかかわらず、どんなに僻地の道路を整備しても誰も文句を言いません。
北海道新聞の藻谷浩介さんの記事によれば、有料の高速道路にしても維持経費は鉄道の10倍以上だそうです。

というと、したり顔で「道路と鉄路は事情が違うんだから別の問題」と仰る方もいますが、その「事情」に賛成ということでしょうか。鉄道は北海道から一切なくなってしまってもいいのでしょうか。
「現実はこうだ」ということと「現実をこうしていきたい」ということは別の問題です。

「ほとんど利用者もいないからいいじゃないか」と言われてしまいますが、先日台風の被害で止まった東京都内の路線の避難客が6人ときいてびっくりしました。
利益の出せる鉄道網が世界中にどれほどあるものなのでしょうか。


2016年8月8日月曜日

価値を生み出した結果としての活性化とその指標をどう考えるか

価値を生み出した結果としての活性化


最近、「活性化」という言葉についてあらためて考えています。
「活性化」のために何かをするというのは違うのではないか、と。

自分のまちが誰に貢献できるのか。
北海道のために、日本のために、アジアのためにこのまちは何ができるか、どういう価値をもっているか、お役に立てているか。
だから「活性化したい」ではなく、「私たちはどうお役に立てますか」というのが正しいのではないか。その結果として活性化がついてくるのではないか。

7月28日、29日の2日間にわたって行われた全国若手市議会議員の会の研修会に参加してきました。
冒頭の話は、同じ会員でもあり、今回講師でもあった青山剛室蘭市長が講演で語っていたことです。

札幌市の委員会会議室で講演する青山室蘭市長

まちづくり活動や自治体行政に関わっているひとは誰しも感じつつも、なかなか言葉にできなかったり、実践できなかったりする考え方ではないでしょうか。
あらためてその重要性を確認しました。

活性化の指標としての資産税・住民税


では、その考えを実践するために行政は何をすればよいのか、どう効果を測定をすればよいのか。
ヒントになるようなお話がいくつかその前段にありました。

青山市長は固定資産税と住民税をみていると仰っていました。
実際に室蘭では、ある特定の年代層で生活保護の割合が下がり、市民税は増加する傾向があるそうです。これをひとつの指標として捉えているというお話でした。

漠然と「雇用をつくる」というわけではなく、室蘭というまちの優位性を一層高められるようないくつかの中心的な柱を持つことと、市民の生活の質が向上するようなきめ細やかな対応をすることと、このふたつの考え方を大事にされているように理解しました。

またもう少し踏み込んでお話されていたのが、このことと観光との関連のお話でした。
観光を推進してもあまりこの資産税や市民税に反映されてこないのではないか。
この研修会とは別に、札幌時代にお世話になった方とも北海道における観光についての意見交換をしてきたのですが、同じような話になりました。
ニセコや富良野・美瑛のような超有名観光地は別かもしれませんが、それらの地域は自治体の政策として成功したわけではなく、むしろ自治体は観光地化の対応に追われているといったほうが正しいのではないでしょうか。

なぜ観光をするのか?
観光によって何を得たいのか?

観光に限らない話ですし、具体的な目的や目標は地域によって異なってくるはずですが、このあたりをはっきりさせないと議論が空回ってしまうとあらためて感じた次第です。
こうした研修会や勉強会には、都合のつく限り参加しています。


2016年8月2日火曜日

日高地方で子どもを産める環境を残すために。他、浦高通学費補助の調査へ

7月26日(火)本議会の後、厚生文教常任委員会もありました。そのご報告です。

浦河高校通学費補助の請願


6月議会で請願のあった浦河高校通学費補助について、今後どう取り扱うかを議論しました。
現状の浦河高校への通学生の状況や他町村での事例を調査し、検討の元になる資料をもとに議論を進めることになりました。

上の世代からは自分の子どものことは自分たちで何とかしてきたという声もあるようですが、まずは実状を知った上で柔軟に考えるべきです。

まちなか元気ステーション


何度か議論されたまちなか元気ステーションですが、質疑はある程度終えたため、設置予定地を委員会として視察し、確認してきました。


その後委員会に戻り、持ち帰りだった各会派の意見集約の結果について報告がありました。
懸念事項だった見取り図の改善案や新設と移設との予算比較について、意見はいくつかありましたが、大きな反論はありませんでした。これをもって当委員会としては審議終了です。この後、総務産業建設委員会に差し戻されます。
なお、議会として承認された後に委託して設計される実施計画はしかるべきタイミングで委員会にまた諮っていただきます。

新型インフルエンザ等対策行動計画


国をあげた新型インフルエンザ等の対策のため、2013年に特別措置法が施行されました。
この法律によって各自治体も対策行動計画を策定しなければならないため、浦河町もつくりました。

目的は、急激な流行をできるだけ遅らせて、さらにそのピーク時の規模を小さくすることです。
細かいことは分厚い資料に色々と書かれているのですが、要するに国が緊急事態宣言を発令した時は自治体でも対策本部をつくり、関係者としっかりと情報を共有し、住民への的確な指示を徹底するとあります。

正直な話、実際に緊急事態宣言が発令された場合には、こうした細かい計画は通用しないと思っています。想定外の事態では上意下達は通用せず、多くのことは現場で判断し、むしろ下から上に、より高度な判断を要求するべきだからです。
義務なのでつくらなければならないのはわかっているのですが、震災を何回経験してもこうした国の仕組みはなかなか変わらないものですね。

浦河日赤の産婦人科の今後


その他の案件で私から問題提起させていただいたのが、浦河日本赤十字病院の産婦人科の今後についてです。

現在、浦河日赤では交代制の医師1名と6名の助産師さんが24時間体制で日高管内唯一の産婦人科を担っていただいております。
ただ、この6名はすべて50代で、内2名は道外から協力してきていただいている状況と伺っています。現在は年間約100人ほどの赤ちゃんがここで産まれています。

6月上旬の報道によると、北海道庁と一般社団法人WIND(北大産婦人科医局を法人化した組織)が浦河日赤を含む道内5病院で産婦人科医の派遣についての協定を結び、体制づくりを進めるとありました。
しかしこの支援協定の期間は2年ですし、助産師は全国的に不足しており、全員が50代であれば定年退職後の担い手のことも考えなければなりません。また24時間体制のためには本来7名の助産師が必要とも聞いており、中長期的に何らかの対応が必要なのではないかと考えています。

町として現状をどう捉えているか、また今後の対策について考えているのかをお聞きしました。
現状は同じく把握しており、あらためて町の考えを委員会でも報告するとの答弁でした。

地域医療の問題は深刻で、松前町では議会との対立により院長含む2名の医師が退職の見込み、小樽市でも後志管内唯一の周産期母子医療センターから4名いた産婦人医が全員退職の見通しです。
地域医療の崩壊がよく言われていますが、地域から理解がないまま現場が黙々とぎりぎりまでがんばり、その積み重ねの上に何らかのきっかけである日限界がくると聞いています。

浦河日赤は浦河のみならず、日高東部全体の周産期医療を担っています。周囲でも里帰り出産もいくつかありました。
ただ何でもお願いをするだけではなく、地域として早いうちから対策を検討するべきです。

まずは関係者がテーブルにつき、現状を話し合う場が必要ではないでしょうか。また住民としても地域医療に取り組んでくださっている医療現場のみなさんと対話する場を模索すべきではないでしょうか。
こうした問題も少しずつ勉強中です。


まちの病院がなくなる!?―地域医療の崩壊と再生
伊関 友伸
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2016年7月31日日曜日

6月大雨被害のための補正予算を可決。先日もまた大雨で避難勧告

7月26日(火)第四回議会(臨時会)がありました。
補正予算と工事請負に関する短い審議で、午前中には終了しました。

大雨被害の災害復旧費で補正予算


予算の補正は、6月16日から17日、20日にあった大雨による被害に対する災害復旧費による増額補正です。
浦河町で6月としては前年比3倍、過去最大の雨量を計測しました。これによる林道等被害の復旧のため、測量委託料600万円、王宮復旧費2,000万円を計上しました。
財源はまず基金から繰り入れ、財務局の災害状況査定後に起債の措置をとります。

議会後ですが、つい先日も28日から29日にかけて全町避難勧告がでるほどの大雨でした。
ニュースでも大きく取り上げられ、心配の声をいただきました。ありがたいことです。
落ち着いた本日、何箇所か町内の被害実態をみてきました。浜のほうは大丈夫そうですが、山のほうはいくつか被害があったようです。
※ 昆布干場の冠水、流木流出等があった模様です。失礼しました。(2016/8/2 追記)

報道にもありましたが、新ひだか町との境付近で運休中のJR日高線の路盤が流出していました。線路が宙に浮いています。
道路脇のため発見されましたが、山の中はどうなっているのか。調査しなければ全容はわからないようです。

あたりの草地もなぎ倒される水量だった模様

それから富里にあるいちごハウス団地ですが、作物への給水が停まり、急遽借りたタンクに水をいれて対応しています。農林課が動いてくれて助かったと言っていました。


野深のほうでは川の近くの農家・民家で避難された方がいました。
朝方トイレが流れないことに気づき、外に出たら貯水槽が溢れ、向こうを見ると水が迫ってきていたそうです。間一髪で車で脱出できたと言っていました。
川が逆流し、三方向から水が流れ込んできたそうです。

議会でも防災については複数の議員が取り上げていますが、ここ2ヶ月このように大雨が続いていますね。私も全町的な治水・防災の体制について少しずつ調べて行きたいところです。

姉茶橋の工事請負契約


老朽化した姉茶橋の補修工事が3カ年で行われます。
今年は上田・谷JVが入札、9月以降の工事で、工期は2月までとなっています。

橋の幅員が狭く、工事中は車の走行ができないため、迂回路での通行になります。
昨年12月に自治会には説明済みとの報告がありました。

堺町川沿団地の工事請負契約


川沿団地は2014年度から建設されていますが、今年は3棟12戸が施行されます。
昨年は杭の打ち替え問題もありましたが、あらためてボーリング調査を実施しており、その内容も反映した入札とのことです。

3棟はそれぞれ神馬・三島JV、下神田・小田JV、大谷・向井JVが入札し、工期は7月29日から12月20日までです。
こうした入札に参加できる企業は、規模に応じてAからCまでのランクがあるのですが、建設業者についてはA6社、B5社、C3社と以前に比べて町内の業者数もだいぶ少なくなってきたそうです。


2016年7月22日金曜日

アエルの決算は減収増益。本質的な問題は意思決定の仕組みでは

7月19日(火)の総務産業建設常任委員会を傍聴しました。

旧野深小学校利活用の事業計画変更


今年の1月に処分の決まった旧野深小学校ですが、そのサービス付き高齢者向け住宅の事業計画に一部変更があった旨の報告がありました。

当初9月に予定していた入居開始ですが、10月になりました。また部屋数は45室(50名)から44部屋(56名)に、職員体制は1名増加の19名になりました。
名称は「ルピナス館」だそうで、ウェブサイトも完成したようです。

JR日高線


6月議会では私も取り上げたJR日高線ですが、米谷議員も質問しており、その際に所管委員会への現状報告を求めていました。

被災から現在までの経緯の報告がありましたが、直近では間もなく全道町村議長会及び日高総合開発期成会として、関係省庁や国会議員に対して早期復旧の陳情が行われる予定です。
また、日高管内各町と北海道日高振興局でとりまとめて昨年11月に提出した「JR日高線の利用促進に関する検討報告書」が配布されました。

うらかわ優駿の里振興株式会社(アエル)の決算報告


6月24日にアエル運営会社の株主総会が開催されました。
浦河町は当社の株の51%を所有しているため、所管委員会である総務産建にもその決算報告がありました。


前年度比で減収増益ですが、経営は依然として厳しい状況です。
なぜなら「増益」といっても本業での儲けである営業収益(損失)は赤字、「営業外収益」で利益を確保しています。そしてその増益分は主に、町からの指定管理料増額に伴うものとみられます。

アエルの経営については色々と言われていますが、そもそもどう評価すればよいのか非常に難しいものだと感じています。

今までの経緯と現状、そして将来像がごたまぜになったまま語られて、一体何について議論されているかもわかりづらいです。
きちんと説明しなければならないのでしょうけれども、現時点ではまったくうまく伝わっておらず、うまく伝えようにも慎重にしなければ誤解を招きかねず、説明自体に二の足を踏むことも多いのでしょう。そして不信感を招くという悪循環です。
すべては無理ですが、ここで少しだけ状況を説明してみたいと思います。

まず今年良かったのは、乗馬施設への案内板が設置された点です。

設置された乗馬施設への案内看板

3年前、私が浦河に来た時から何度もお客さんに口頭で説明しようとして難しかったのが、この乗馬施設への入口でした。ホテルの正面入口とは異なるため、せっかく乗馬をしたくても、行き方がわからず迷った方が多かったのです。
看板などたいした金額ではないのでしょうが、非常に厳しい経営状況の中、ようやく投資できたのだと思います。

簡単に考えれば「なぜ今までつくらなかったのか」と思うかもしれませんが、アエルのもっとも大きな問題は、そもそもこの程度の投資すら難しい組織の意思決定の仕組みとその無理解にあると思っています。

教科書通りのことを言ってみれば、経営の立て直しのためには新規顧客獲得はもちろん、もっとも大切なのは顧客満足度を向上させ、リピーターを増やし、価値を最大化させることです。現場がきちんと顧客に向き合い、どうすれば喜んでいただけるかを考え、サービス向上に取り組めばよいということになります。
しかしそれこそがなかなか難しいのだと思います。なぜでしょうか。

現場は一つ、意思決定は三つの利害関係者


アエルはまずは観光宿泊施設ですから、一番の顧客は観光客のはずです。
ところが、その経営には取締役、株主、議会という三者の利害関係者が関わっています。顧客にかかわる現場はひとつなのに、意思決定者は三者もいるのです。そしてこの三者というのは、ほとんどすべて浦河町民なのです。

これでは現場は顧客に喜んでもらうよりも、経営の意思決定にかかわる浦河町民の声をまず大事にしなければと思ってしまうのではないでしょうか。
しかし町民は、上述の通り本来の顧客ではありませんし、またそのほとんどは宿泊業経営のプロでもありません。
これでは経営はうまくいかなくて当たり前なのではないでしょうか。

今のアエルは、観光振興(A)と町民福祉(B)の両方を実現する施設にする方向性で合意した過去があると聞いています。
今も賛否両論あるかと思いますが、喧々諤々の議論の末の合意と聞いていますから、現時点ではその当時の判断を尊重したいと思います。
そして私としては、その(A)と(B)の折衷状態としては(それが良いかどうかは一旦置いておき)、まだうまくいっているほうではないかと思っています。

(A)と(B)というまったく異なる考えの両立ということで、私には矛盾に思います。
しかし今はその矛盾に現場が必死で向き合って対応しているのですから、少なくとも意思決定の三者のうちのひとつである議会は、その経営について多くを口出しすべきではないと私は考えています。
議会として判断すべきなのは、関連する町からの支出は目的に適ったものなのか、そしてその金額は妥当なのか、という点のみだと考えています。

なお(B)の側面としては、パークゴルフ場、サッカー場、合宿棟、遊具公園、銭湯などが挙げられると思います。
これを町単独で維持管理するとなればそれ相応の負担を覚悟しなければなりません。これと現在生まれている観光経済効果を合わせて、支出の妥当性を考える必要があります。


2016年7月18日月曜日

議員定数を減らすことは誰のためになるのか?

7月13日(水)に議員定数調査特別委員会がありました。
引き続き、議員定数についての議論です。

減らす明確な理由はあるのか


まず定数維持を訴える武中議員から口火が切られ、削減論者に対する問いとして4点が挙げられました。
なお手元のメモから書き起こしているため、発言そのままではない点をご了承下さい。

1.無投票だったことを理由に削減というが、定数を減らせば選挙になるのか。
他町村をみれば新たな立候補者がほとんど現れないのが現状であり、減らしたとしても結局無投票だったりする。

2.少数精鋭の議会という意見もあったが、単純に定数を減らせばそれは実現するのか。
町村の議会では本業がある中でできる限りの活動をしており、それぞれ本業の分野や属性の視点から行政に対して声を届けているのが現実。

3.なぜ町民は減らすべきと言っているのか。
今の議会に対する不満の声があるのは確かだが、減らせば町民にとっては身近な議員が減ることになる。説明すればわかっていただけること。

4.議会には様々な産業や立場を代表する多様な視点があるべきではないか。
人口は減少しているが、産業の数や集落の数が減少しているわけではない。多様な属性の議員がいたほうが町民全員にとってよいことだ。

冒頭のこの論点を中心に議論を展開されました。武藤の発言の要旨は下記の通りです。

今でも削減の立場は変わらないが、議員になってから議会の現状がわかってきた部分もあり、武中議員の意見は基本的に理解できる。
ただしそれ以前に、議会の定数を減らすべきという声が多くあがってきている状況、そもそも議会の意義を説明しなければわかっていただけない状況があるということもまた現実。
こうした状況への責任を「削減」という形で重く受け止めるべきではないかと考えている。

また単純に減らすだけではいけない。
新しく議員が出られる環境づくりや議会の活動内容を伝える努力、例えば政務活動費の創設や議会としての活動報告会や町政勉強会、議事録のウェブ公開なども考えられる。
これから取り組むことをセットで議論しなければならない。

定数の変更は特に慎重に

以上が要点ですが、挙げられた点についてはこのように考えます。

4点の各論に対する考え


まず1ですが、定数を減らすことが即選挙になるわけではないと私も思います。
だからこそ議会として新しく候補がでるように取り組まなければなりません。
「こういう議会にしていく」「若い人や女性にも立候補してもらいたい」というような明確なメッセージと行動を示す必要があるのではないでしょうか。

2の少数精鋭の実現については、定数を減らせば確かに少数になりますが、それだけでは精鋭にはなりません。本格的に活動するにはそれなりにお金も時間もかかることです。
少数精鋭と呼べるような議員活動は専業でなければ難しいと考えていますが、専業も可能な議員待遇を用意することに対して合意が得られるでしょうか。

様々な議員活動(詳しい説明はこちら

3の町民に説明すればわかっていただける点については、私も機会があればお話して、確かにご理解いただけることも多いです。
問題はそうしたことをきちんと今までちゃんと説明してこなかったこと、説明するまでは「減らしたら?」と言われてしまう状況をつくってきたことをどう受け止めるのかという点です。

4ですが、様々な立場を代表する議員が多様にいるべきだと私も思っています。
正直申し上げて今の現状でなければ、私も立候補したかどうかわかりません。

私が評価に値する活動ができているかはみなさんの判断によるところです。
しかし多少なりとも余所から来た私のような立場の意見を町政に届けることができるのは、他の町村よりも多く維持している議員定数もひとつの要因だと思います。

定数を減らすことは誰のためになるのか


議論の後半ででてきましたが、もっとも大事な問いは「定数を減らすことが結局誰のためになるのか」ということでした。これは本当に大事なことです。
そして私を含め全員がこれに明確に反論することができませんでした。
今一度、この点を考えてみたいと思います。

町民にとっては議員が減れば、今まで自分が身近に感じて話しやすかった方が議員でなくなる可能性があります。今まで以上に議会が一歩遠い存在になってしまいます。
自分が支持していなくても、どの議員も必ず応援する人がいるから議員になっています。中には気に入らない方もいるかもしれませんが、一定の多様性の確保も大事です。

また議員にとっては、人数が減れば一人あたりの負担が増えるかもしれません。
今までもなり手不足でしたが、負担が増えるとなればより一層なり手がいなくなってしまうのではないでしょうか。
あるいは本業との兼ね合いにも限界がありますから、議会活動が一層低下するかもしれません。

財政的にも議会運営にかかわる経費が圧迫している状況ではないと理解しています。
前回の定数削減時には行政改革のおり、また夕張市の財政破綻が報じられた頃でもあり、財政の見直しがありました。
しかしその後浦河町として一定の財政健全化を図っており、決算書や各指標をみれば現在は問題化する状況にはないと言えます。

行政にとっては都合が良い議員削減


一般論になりますが、実は議員が減って一番都合が良いのは、執行者=行政になります。

地方議員の仕事は、企業で言えば社外取締役に似ていると言われたりします。
企業=行政がしっかり仕事をしているかどうかを社内事情とは異なる視点で指摘し、監督する役割です。
これによりワンマン経営を防いだり、身内の論理とは異なる新たな発想を持ち込むことで株主=住民の利益につながる経営を促します。
ただ数が多ければいいものでもありませんが、首長の一方的な考えによる行政執行を防ぐ安全弁の数は多いほうがよいでしょう。数が少なければ執行側への取り込みも簡単です。

では、他にも定数を減らしたいと考える人はいるでしょうか。
これも一般論になりますが、自分の支持者に「定数を減らす」と約束している議員もそうかもしれません。上記のような議論をする以前から支持者から強く定数減を訴えられたり、単に人気取りのために主張している場合です。

私自身も立候補時に「定数は減らすべき」と主張していましたから、簡単に維持に回るわけにはいきません。今でも自分たちの身を削る姿を通じて、議会としての覚悟を示し、信頼を得る必要があると考えます。
しかし同時に、そもそも若い人や女性の新しい候補者が出やすい仕組みも考えずに、ただ減らすだけでは何の意味もありません
質の高い議会実現のための議論をもう少し続けたいところです。


2016年7月13日水曜日

まちなか元気ステーションは厚生文教では大筋合意へ

ちょっと遅くなりましたが、7月7日(木)の厚生文教常任委員会の報告です。
主に何度か議論しているまちなか元気ステーションについてでした。

整備に関わる参考価格の提示


前回は、新築と改築とでどれくらい予算が変わってくるのかわからなければ判断しかねるとの意見があり、参考価格を出すように町部局に求めていました。

MiOにはいる場合の賃借料は、年間で1,200万円程度で協議中との説明でした。
整備に関わる工事費は新築の場合で1.6億円から2億円だそうです。改築の場合は4,000万円程度ですので、交通の便のいい既存施設の活用が望まれます。

見取り図の改善案


複数の委員よりいくつか指摘されていた図面に対する改善点を踏まえた叩き台が提出されました。私から指摘した点はこちらの過去記事からご覧になれます。

職員と利用者がお互いすっかり見えてしまう状況に関しての改善例として、写真のような適度な環境を整える状況が示されました。

「ルーバー」と呼ばれる目隠し壁

また子どもが店舗側へ飛び出してしまうことを防ぐ安全性確保のために、キッズコーナーへも同類の壁の設置例が示されました。

子どもの動きも確認できる高さの壁

議会で承認があった上で具体的な基本設計を委託するため、これらはあくまで他地域の整備事例の紹介ですが、このような形であればいくつか指摘された問題点は解決されそうですね。

概ね委員の間で議論はされ、これ以上の異論もなく会派持ち帰りとなりました。
特に問題なければ当委員会としては次回で審議を終え、総務産業建設常任委員会へ渡し、商工の視点から議論される予定です。
私としては問題点があるならばもちろん指摘して議論すべきですが、厚労省への補助金申請の時期もあるため、なるべく速やかに議会として承認すべきと考えています。

浦河高校通学費補助の請願取り扱い


6月議会で請願のあった浦河高校通学費補助について、委員会としてどう取り扱うか話し合い、まずは紹介議員より詳しく説明を聞くことで合意しました。
詳しい内容はまた委員会で取り上げられた際に報告します。

天草市への表敬訪問及び行政視察


昨年浦河町の町政100周年に合わせて、あらためて熊本県天草市(旧河浦町)と友好都市になりました。議会としても、表敬訪問及び行政視察を検討していましたが、4月に発生した熊本地震により見送りとなっていました。

先方は地震被害は少なかったものの観光客減少の影響があり、年内の訪問を打診されていたようです。調整の結果、11月中旬に天草市へ伺うことになりました。
私としては全国的な話題にもなった商業者支援拠点Ama-biZ(アマビズ)の現状と課題に大変関心がありますので、そのあたりのお話を伺えればと思っています。

- 年俸1200万公募の天草市・Ama-biZ、初月は目標を大きく上回る上々の滑り出し



2016年6月30日木曜日

機構再編、総合計画、食育。議会が未来を考えるきっかけに

6月議会(定例会)の報告が自分の一般質問のことだけになっておりました。

議会ではかなりの数の議案を処理するため、すべてを報告する難しさをあらためて感じます。
これ以上の情報公開は一議員の活動としては限界もあり、議会として取り組むべき事案ではないかと考えています。
なので今回も、自分なりの関心でいくつかとりあげてみたいと思います。

来年度に機構再編の方針


ひとつは飯田議員の一般質問「職員数の適正化」の中で明らかになった「機構改革」の件です。来年度に実施する方針との答弁がありました。

個人的には機構「改革」という呼称はちょっと大げさだと感じていて、厳密に言うと「組織・機構再編(見直し)」という理解でよろしいかと思っています。
要するに組織(浦河で言うと課や係)を編成し直すということです。

浦河町は平成17年に大幅な改革をして以来、再編していないそうです。
飯田議員の質問に対する答弁で明らかになったように、職員の作業量・残業時間が課によってかなり差があります。時代も変わってきていますし、色々と見直してもよい時期だと私も思います。

おそらく現実に変更するのは福祉分野ではないかと推測しているのですが、実は去年議員になってはじめての一般質問で、私からも観光(現・水産商工観光課)と移住促進(現・企画課)の事業の一元化を提案した経緯があります。
そのときは今ひとつ説得力に欠けた提案になってしまいましたが、考えをまとめて年内にでもあらためて提案したいところです。

今後10年の基本構想「総合計画」の策定へ


総合計画については私も関心を持っており、3月議会では予算の中で質問していたのですが、今回は武中議員が一般質問でとりあげていました。

「総合計画」はまちのもっとも重要な最上位計画です。平成23(2011)年に地方自治法の改正で策定義務はなくなったのですが、浦河町は引き続き策定する考えです。
今年はちょうど策定する年にあたり、2017年から先10年間の計画をつくります

大抵の市町村がそうなのですが、浦河も町内の各団体から代表者を選んで審議委員会を組織して議論します。
しかしその実態は町が素案を作成し、それをもとに話すだけのことが多いようです。
そこに問題意識を感じ、もっと住民がかかわってつくりあげていこうという昨今の住民参画の流れがあるわけですね。

答弁では、その審議委員会にできるだけ40代以下の委員を増やし、特に女性は最低4人ははいっていただきたいとの考えが示されました。公募もしています
↑ 7/15が締切りですので、関心ある方はぜひお申し込みください!
また報道にもありましたが、高校生会議と称して「こんな町なら住みたい」という将来像について語る場をつくっています。
さらに高校生だけでなく、町の若手職員や各界の青年部など幅広く若い人の声を拾い上げる試みを始めています。こうした声を集約し、素案をまとめていく方針です。

昨年度の総合戦略策定のときも指摘したのですが、こうした計画の常で、各界の声をもれなく詰め込んだ結果、どうしても網羅的・総花的なものになってしまいがちです。
ですが、今回は特に若い人の声を聞きながら指針をわかりやすい文章と表現でまとめ、数値目標を入れ込むことも検討するとの答弁でした。

おおむね賛同できる方針ですし、ぜひ若い世代の前向きな声にも、厳しい声にも、耳を傾けていただきながらつくりあげて頂くことを期待しています。
さらに本当に声をきくべき人たちはあまり自分からは声をあげないことも多いことをきちんとご理解いただきたいところです。
第一回目の審議委員会は8月中に開催、全6回を予定とのことです。

食の宝庫のような土地で食育を考えること


それから今回は荻野議員と木下議員が食育をとりあげていました。
ふたりとも角度は違いますが、食育の大切さを訴える内容でした。それを聞いてちょっと複雑な気持ちになったのです。

広報委員会で訪問した荻伏の給食センター

個人的な話ですが、今がちょうど繁忙期の夏いちごや昆布漁の陸(おか)まわりをアルバイトでお手伝いさせていただいてます。
地域おこし協力隊時代にもビニールハウスの業務を体験程度ですが関わらせていただきましたし、定置網漁も見学にご一緒させていただいたこともあります。釣りも、川も海も浦河の親切な方々に連れて行っていただきました。

札幌から浦河に来て「食」について考えることが非常に多くなりました。
おすそ分けとして食べ物をやりとりする機会が(お金よりも?)多いなど、都市部よりも食が生活に身近な環境だったり、浦河が誇る映画館「大黒座」で食に関するドキュメンタリーをいくつか続けて観たことも理由かもしれません。
しかしやはり、浦河を含む日高全体の食の豊かさが一番にあると思います。

無肥料・無農薬で野菜を育ててもまわりの農家さんからクレームがつかないと聞いています。馬産地の特性上、農薬が比較的少ない環境だからなのでしょうか。
「無肥料・無農薬でこれだけ立派な野菜が育つのか」と他の農家さんも大変驚くそうです。何度か食べましたが甘くて美味しいです。

農業については十勝のような大規模農業は地形的に難しい面もありますが、漁業だって漁獲量が少なくて大量消費のマーケットには不利でも、魚種が豊富だからこそピンポイントの旬に現地に来ないと味わえない季節ごとの絶品にあふれています。
このように考え方を変え、見(魅)せ方を変えれば、可能性は広がります。

とはいえ、私にとってはまだまだわからないことばかりの分野です。
ですが、そんな浦河であらためて「食育」について考えなければならない現状をどう考えればよいのか、うまく整理がつかなかったのです。
浦河には色んな可能性があると言われますが、そろそろ本気で「可能性」を「価値」に変えていく取り組みが必要なのではないか、そしてそれはみんなで協力すればできることではないかとあらためて考える機会になりました。


2016年6月29日水曜日

クリーンプラザ長寿命化工事の記事の訂正とお詫び

一ヶ月ほど前に「浦河町クリーンプラザ」の長寿命化計画について報告しました。
その委員会での答弁に対して一部認識が食い違い、結果的に誤解を招く表現があった点を訂正して報告し、お詫び申し上げます。

そのときの記事はこちら(「ごみ焼却施設は新設せず長寿命化。工事期間中は町外施設を利用へ」)ですが、問題の箇所はちょうど真ん中あたりの下記の文章です。

延命化工事にかかる2年間は焼却施設が使用不可となり、代わりに近隣町村の施設を利用させていただく方針です。詳しい検討はこれからとのことです。

私としては工事期間は基本的に利用できないように受け止めたのですが、あらためて現場や担当課に確認をとりましたので報告します。

使用できないのは煙突の工事期間のみ


まず最初にお断りしておきますが、工事の全体的な実施計画はこれからつくるところです。
そのため詳しいことは決まっていません。あくまで工事とその対応の考え方ということで理解いただきたいと思います。

焼却炉はふたつあるので、片方を工事している間にもう一方の炉を運転して焼却する方針です。つまり炉自体の工事期間中は、問題なく使えることになります。
しかし、炉から出る煙突は一本しかありません。

炉はふたつ、煙突は一本

つまり、煙突はふたつの焼却炉の上部でつながっており、煙突を工事する際には炉はふたつとも停止する必要があり、この間は使えないことになります。

現時点ではその期間が数日なのか、数週間になるのか、まだわからないという状況です。
その間は近隣町村の施設を利用させていただくことになりそうですが、工事期間まるまる使用不可になるわけではありません
現場としてはさらに、日程のやりくりなど最大限の工夫をしていただけるとの説明でした。

早とちりで勘違いし、ご迷惑おかけしました。質疑できちんと確認すべきでしたね。
クリーンプラザは一住民として利用したり、議会でも一度視察したりしましたが、いずれきちんと説明を受けながら拝見したいと思います。

それにしても今回議事録を確認したのですが、この時代に議会事務局で現物を閲覧するしかないのはいかにも不便と感じました。
原則として、議会や委員会の発言は公的な記録ですので、ウェブでもすべて公開すべきと考えています。中継動画なんて長過ぎるし検索もできないんですよね...。


2016年6月17日金曜日

JR日高線運休から1年半。JR北海道への疑問と沿線自治体にできること

6月の定例議会が終了しました。一般質問も終えましたので、そのご報告です。
先日もお伝えした発言要旨ですが、かなり長いので一項目ずつ答弁と再質問の内容を簡単に説明します。

観光からみた鉄道の重要性や代替バスの問題点は?


一点目は、観光まちづくりや移住促進の視点から鉄道の重要性や代替バスの問題点はどう認識しているかという質問でした。全点に渡って、担当の柳谷企画課長から答弁をいただきました。

昨年策定した総合戦略でも交流人口増大を目指した施策を実施中であり、また新千歳空港発着枠拡大、新幹線開通という状況からも道外や海外からの観光客が増大する可能性が示されました。
特にJR各社共同で発行している外国人向け周遊きっぷ『Japan Rail Pass』は人気であり、鉄道だからこその誘客の可能性を指摘しました。
代替バスは苫小牧駅から浦河駅までの区間で都合2回の乗り換えがあり、所要時間は最短で4時間、最長で4時間半でかつ渋滞リスクもあることから観光には不向きとの見解でした。
概ね私と認識を同じくするものですが、『Japan Rail Pass』の問題点を再質問しました。

平成23年と少し古いのですが、道の「観光客動態・満足度調査」によれば北海道への外国人観光客のうち3割以上が移動手段として鉄道を利用し、また約半数はインターネットが観光情報の入手先です。
当然この周遊きっぷで鉄道を利用する方もインターネットで調べて次の行き先を考えたりするでしょう。

ところが今回はじめて知って驚いたのですが、JR北海道の外国語ページにはJR日高線の時刻表は掲載されていません
これでは日高地域への移動ははじめから思いもよらず、存在しないに等しいのではないでしょうか。当然代行バスの記述もありません。

またもしいらっしゃったとしても、当然現場にも外国語表記の案内はありません
代行バス内では金銭を取り扱っていませんから、110km以上に及ぶこのバス区間のうち、常にお金を払える有人駅は静内駅しかありません。事実上、無賃乗車可能な状況です。

地元客はともかく訪問客はわかるでしょうか

日本人ですらよくわからないこうした仕組み、外国人のお客様に理解頂けるのか、そもそもJR北海道はこの路線で少しでも多くの方々に利用していただき、お金を受け取り、利益をあげるつもりがあったのか極めて疑わしい状況です。
それでも利用者が少ないのは地域だけの責任でしょうか?
こうした問題点の対応や先方の考えを問いただしていただきたいと要望しました。

沿線自治体からの要望に対する多額の経費、その分析は?


二点目は、日高町村会が提案した利用促進案に対して3.4億円/年、初期投資40億円が必要と報道にあったが、これに対する町の分析はという質問でした。
ちなみに内容と経費のリストは下記の通りです。

項目経費(千円)収入(千円)
① 浦河町内に新駅3,0001,000
② 静内-札幌間直通に8車両新造216,00037,000
③ 様似-苫小牧間サイクルトレインに1両新造18,0006,000
④ 様似-札幌間イベント列車に4両新造95,0008,000
⑤ 行き違い設備新設6,0000
合計338,00052,000

要望事項に対して「車両の老朽化が進んで車両数が不足しており、高速走行できる車両が必要」との回答だったそうです。ちなみに自治体からの要望事項は新ダイヤ検討などで、もちろん車両新造などはもとから要望していません。
注目の金額の内訳ですが、報道にあった30〜40億円の初期投資のうち95%が車両新造費、単年度経費についても50%以上が車両の減価償却費とのことでした。

ごく控えめに言って、驚きました。
要するに「復旧するならば、必要な車両はすべて沿線自治体の負担相当」と言っているに等しいです。これらの車両、日高線だけで使うものでは絶対ないですから。

そもそも必要だと言っている261系の新車両ですが、これはJR北海道自身が390億円かけて整備するとすでに計画しているものです。一地域として負担する筋のものではありません
車両のことを抜きに考えれば、すべて実施したとしても初期投資2億円、経費1.7億、収入0.5億円でしょうか。まったく話が違ってきます。

また2012年に札沼線が電化した際に、多数のディーゼル車を破棄にしました。日高線でも活用できるものです。
この一部は売却され、ミャンマーで14両、東北でもSL銀河として4両が使用されました。
まだまだ現役で活用できるものを売却しておきながら、車両数が不足しているのでしょうか。ついでに言えば、日高線を走っていたキハ40は、車両不足なのか現在夕張を走っています。

そもそも中古で車両を購入すれば数千万円程度と聞いています。
万が一、経営判断を誤って売却してしまったならば、新造するよりJR東日本から中古を購入してみてはいかがでしょうか。

議論中の事案ですし、JR北海道に対する疑問ですから町に回答は求めませんでした。
要するに申し上げたのは、私も専門家に聞いて調査したものであり、自治体は鉄道専門の職員などおらず、相手より少ない情報しかもっていない交渉は確実に不利になる点です。
交渉で先手をとるためにも専門家をアドバイザーとして随時助言をいただきながら進めるべきとご提案申し上げました。

観光ビジョンと負担を示し、利用促進策として主張は?


三点目として、報道だけをみれば、自治体がJR北海道に要求する一方にみえるが、鉄道活用の観光ビジョンと振興策と負担を示し、利用促進策として主張できないのかとの質問でした。

上記のように、これまでJR北海道から日高線を使ってもらう努力、復旧に向けた誠意がみえてこないのが地域に住んでいるものとして率直に感じるところです。
しかし二点目のような報道がされれば、沿線自治体は努力もせず、JR北海道に要求しているばかりにみられても仕方がありません。

「JR北海道に対しては、合計40項目にのぼる地域としての取り組みをまとめたものを提出している」との答弁でしたが、何をもって取り組んだといえるかわかりづらいものです。
歯がゆいところですが、自治体として取り組んでいることをわかりやすく示せれば、沿線自治体に好意的な世論形成もできるのではないかと提案しました。
つまり、数字で示すことです。

今年度、浦河町は観光協会の組織強化を図り、法人化を目指しています。
補助金2,000万円を予算化しています。
この観光振興は当然JR日高線があることを前提として取り組んでいるのではないでしょうか。

産業振興を目的として2,000万円を支出するわけですから、当然浦河町全体の経済効果を期待するところであります。
ここでは例えば、今までよりプラス1億円の直接的経済効果を目標とします。

観光振興ですから、当然余所から浦河町に来ていただき、過ごしていただくわけです。
おひとり2万円の町内支出を仮定すると、5,000人に来ていただくとちょうど経済効果1億円です。

5,000人のうち2割は新千歳からJRで来ていただくとして、1,000人。1,000人の方が新千歳-浦河間の片道3,380円、往復で6,760円を支払う計算になります。
当町の観光振興による鉄道収入だけで680万円の試算です。

浦河町としては2,000万円というリスクを背負って、JR北海道に680万円の売上増に貢献する事業にすでに取り組んでいることになります。
逆に言えば、日高線が早期復旧ならず、この想定していた1,000人がいらっしゃらないことになれば、おひとり2万円の地域経済の機会損失として2,000万円をJR北海道に請求してもよいかもしれません。

以上のために浦河町がすることはただひとつです。
観光協会強化による直接的経済効果の金額とその積算を明確にすることです。
例として1億円としましたが、金額は検討の上で提示できないものでしょうか。

また以上は当町だけの話ですが、日高管内他町もJR日高線があることを前提にすでに取り組んでおり、運休による損害を受けている事業、さらに今回の地方創生関連中心に今年度から新しく取り組み始めた事業は他にもあるはずです。

周知の通り単独自治体の観光資源には限界があるわけですから、観光振興には日高一体となって取り組まなければなりません。日高管内他町の関連予算とそれによる鉄道の売上増効果を取りまとめて提示してもよいのではないでしょうか。
説明が難しくなってしまったせいかあまり芳しくない反応でしたが、ぜひ検討いただきたいものです。

再開後の利用喚起につながる取り組みは?


最後に、行政としても町民に政策理解を広げる努力はしないのか。再開後の利用喚起につながる施策も必要ではないか。 例えば社会教育の一環として、JR日高線の魅力や記憶の掘り起こしを狙う取り組みはできないのかという質問でした。

今後、町の広報でも経過を報告したり、社会教育課とも連携して取り組むと大変前向きの答弁をいただきました。
吉野社会教育課長からは「講演会や写真展、特に若者や子どもは利用する機会も昔より少ない。鉄道の魅力を知ったり将来を考える機会を検討する」と具体案も示されました。
本州では実績のある運休中の鉄路のウォーキングイベントも提案しましたが、これは住民から主体的に企画していったほうがよいかもしれません。

池田町長からは「駅新設や単発イベントでは自治体負担も検討との話もしているが、最初に言っていた話から遠のき、近づいたと思ったらまた少し遠のくという状態。報道にあった酒井新ひだか町長の話のように道や国が主導する問題として提起する」と答弁もありました。
私としてもJR日高線の復旧問題は日高という一地域の話ではもはやなく、北海道全体の鉄路の問題と認識しています。札幌近郊を含む全線が赤字なのですから、一企業に任せてすむ問題ではもはやありません。
しかし自治体として、住民としてできることもまだまだあるはずと考え、今回は様々に提案させていただきました。

最後に、他所の人が利用する路線にする、そのために来たくなるような魅力あるまちづくりに邁進する、ますます利用者が増える、地域の公共交通を維持する、こうした好循環をつくりだすことが観光まちづくりの要点であるはずだとの考えを述べました。

車窓からこの景色は全国でも日高だけ

「代替バスでいいじゃないか」という声もありますが、バスに替わった路線の一般的な問題点も周知の通りです。
不便さによる利用者の減少、ゆくゆくは減便、まちの衰退、維持するために自治体負担が増加、こうした悪循環が容易に想定されるわけです。

現在は浦河高校通学生50名のために代行バス2台が運行しています。
ざっと仮に試算しても、1台10万円として2台で20万円。通学日数が200日と考えただけでも4,000万円です。帰りは考えず、通うだけでこれだけかかります。
町単独で負担できる金額ではありません。

さらに現在は公共交通機関を利用する場合、代行バスで苫小牧まで4時間、札幌へは高速路線バスで3時間半です。つまり、札幌が浦河町から最寄りの都市になります。
こうした物理的速度の問題から、日高管内での移動量が減少し、人的交流や地域の一体感が中長期的に衰退していく可能性も非常に高いです。
これを回避するために、鉄道の早期復旧、維持は大変重要なことだとあらためて指摘し、それを観光の経済効果明示などによる解決への道を提案させていただきました。


2016年6月6日月曜日

「観光まちづくり」はJR日高線ありきなのでは?議論を先導するような構想を

6月6日(月)は一般質問の発言通告の締切りでしたので提出してきました。
昨年1月から運休中のJR日高線を取り上げます。

昨日はこの質問のために浦河から鵡川まで実際に代行バスに乗ってきました。苫小牧往復しようと5,620円支払ったものの、さすがに身体が痛くなりそうなので断念しました。
鵡川でも往復7時間と所要時間は倍になり、一日がかりです。
浦河駅から同乗した方は東室蘭まで行くと言っていましたが、無事着けたでしょうか。

さて、もともと本件で質問する予定ではあったのですが、どのように取り上げるか、そもそも質問をするか、直前まで迷っていました。
検討した結果、地域内の議論になりがちな鉄道の問題をよそ者のひとりとして観光まちづくりや移住促進の視点から取り上げることにしました。以下がその提出した発言要旨です。

発言要旨


JR日高線について


JR日高線が運休して一年半。
様々に取り組んでいるが、依然として復旧の目処がたたない。

再開を待つ浦河駅。線路は錆だらけ

今年度から「観光まちづくり」を目指して観光協会の機能強化、独立を果たす当町として、鉄道の存続は非常に重要ではないか。
道外から道内への観光客の移動手段は鉄道がトップ。外国人観光客の移動交通手段としても、鉄道は増加して観光バスに次ぐ。日高線の復旧を待ち望むファンも大勢いるし、ファンでなくても利用者には日高の風景が大変喜ばれた。

また観光だけでない。
当町出身者が利用したくても、代行バスでは乗り換えが多く時間もかかり不便すぎて使い物にならないとの声がある。東京から商用客があっても車で新千歳空港に迎えに行く方や不便さから余所へ移る検討をする移住者もいる。

鉄道は住民の移動だけでなく、苫小牧や新千歳から浦河への訪問者にも利用されている。
昨年策定した総合戦略でも観光や交流人口の増加を目指しているが、鉄道なくしていかに実現していくのか。
以上の観点からJR日高線について問う。

1.観光まちづくりや移住促進の視点から鉄道の重要性や代替バスの問題点はどう認識しているか。

2.日高町村会が提案した利用促進案に対して3.4億円/年、初期投資40億円が必要と報道にあったが、これに対する町の分析は。

3.報道だけをみれば、自治体がJR北海道に要求する一方にみえるが、鉄道活用の観光ビジョンと振興策と負担を示し、利用促進策として主張できないのか。

4.行政としても町民に政策理解を広げる努力はしないのか。再開後の利用喚起につながる施策も必要ではないか。
例えば社会教育の一環として、JR日高線の魅力や記憶の掘り起こしを狙う取り組みはできないのか。

JR日高線のそもそも論と沿線自治体にできること


JR日高線のことを調べていた当初、私も正直乗車人数も少ない赤字路線として将来世代の負担も考えなければならないと思っていました。

ところがその後さらに調べるうちに、安易に鉄道をなくしてすべて道路(バス)へ転換すると、結果的には国も自治体も民間企業も利用者も、つまり誰にとっても負担が増える可能性に気づきました。
もちろん地域には現に困っている方々もいらっしゃいます。自治体としても鉄道は、物理的にも心理的にも将来のまちのあり方の根幹に関わってくる大変大きな存在です。
現状を様々な視点からみることで「なくてはならない」と深く理解するようになりました。

自治体や住民団体も早期復旧に向けて動いているのですが、なかなか思うように状況が進展しません。
把握する限りでは報道戦略もまずく、世論を味方につけることもできていない状況です。
住民の声も自分自身とそのまわりが今現在使っているかどうかの視点だけにとどまっていることが多いようです。
しかしこれは決して「自分は乗らないから不要」というような単純な問題ではありません。この先10年、20年先のまちのあり方にかかわってきます。もっと言えば、北海道のあり方にかかわってくると考えています。

運休前、浦河駅舎も利用して開催されたイベントの様子

私自身はこのようにJR日高線の問題は見た目以上に大きなレベルの問題であると認識しており、沿線自治体だけで扱える案件ではないと考えています。
しかしそれでもまだ自治体にできることはありますし、粘り強く取り組んでいくしかありません。

今回は少し違った角度からJR日高線を取り上げることで問題を掘り下げて共有し、提案していきたいと思います。
日高管内でもいち早く観光協会の体制強化と独立化をすすめる浦河町ですから、復旧後のJR日高線活用の議論を先導していくような観光まちづくり構想を描いていきたいところですね。


2016年6月4日土曜日

ごみ焼却施設は新設せず長寿命化。工事期間中は町外施設を利用へ

6月1日(水)は厚生文教常任委員会で3件の審議でした。
議会も一応クールビズが始まりましたが、まだまだ浦河は肌寒い天気が続きますね。

浦河町クリーンプラザ長寿命化計画


先日の総務産建委で審議された下水道もそうですが、インフラの老朽化は本当に一気にやってきますね。クリーンプラザもそのひとつです。
常時の保全はしていますが、古くなると補修も多くなり、根本的な延命化が必要になります。

平成11年竣工のクリーンプラザ、一般的に20年と言われる焼却施設の寿命が近づいています。
クリーンプラザは大きく「ごみ焼却施設」と「リサイクルプラザ」にわけられますが、今回はこのうちごみ焼却施設で必要だと判断され、町部局より提案がありました。

直接の持込みも多いクリーンプラザ

ちなみにリサイクルプラザですが、造成した埋立地は元々平成27年で満杯になる予定だったところ、町民全員の分別協力により、平成40年まで受け入れ可能な容量があるとのことです。
町外からも大変評価が高いそうですよ!

焼却施設の話に戻ります。
延命化の目標は平成47年までとし、平成29年実施設計、平成30~31年に工事、平成32年より新施設稼働の予定です。
概算工事費は7億3832万円で、このうち環境省の交付金対象事業費は2億3914万円です。
自治体負担分はなるべく条件の良い地方債を起債(借金)する予定です。
新しくつくる場合の建設費は15億9700万円を見込み、比較すると延命化により5億3800万円のコスト削減効果があるとしています。

配布された資料を確認していると、環境省の指導によれば廃棄物ライフサイクルコスト(LCC)と呼ばれる値を算出して延命化と新設とでどちらか効率的か比較を求められるようです。資料にはその計算式と比較表が添付されていませんでした。
この点を委員会では質問させていただきました。

新施設建設費16億円の算出根拠になるのは、今と同じ規模の施設をつくった場合です。
しかし、それは8.5t×2炉=17t/日が処理可能な規模なのです。
現在の実際の浦河町の焼却量は3t/日程度であり、高齢化や人口減少を念頭におけば小規模化も検討可能であり、半分以下でも十分に思われます。
そうすると、新設のほうが安上がりになる可能性もあるのではと指摘しました。

これに対して「書類上の処理能力は8.5tとあるが、老朽化により実際の機能は5t程度になっている。また延命化に際して小規模化は検討の余地があり、実施設計においてあらためて調査される」との答弁でした。
将来世代の負担軽減のためにも、実情に沿った計画で経費削減をお願いしたいところです。

予備のため2炉必要な焼却場

委員会ではそれ以上は問いませんでしたが、小規模新設とあわせたいわゆる「ごみ発電」の可能性が念頭にありました。
ごみ焼却をエネルギーととらえて発電施設化すると、自治体としても売電の可能性がありますし、環境省も循環型社会の形成のため推進しています。
委員会終了後に担当課に聞きに行ったのですが、結論から言えば浦河町の規模だと困難のようです。

つまり、効率的な発電には一定のごみが必要なのですが、十分な量が確保できないそうです。浦河町のゴミ焼却は8時間/日で済んでしまうのですが、24時間稼働させなければ温度が下がってダイオキシンが発生します。
また北欧ではなんとごみの輸入まで行われているようですが、継続的な発電・売電のためには燃料を投下するなどむしろ経費がかかってくるようですね。

延命化工事にかかる2年間は焼却施設が使用不可となり、代わりに近隣町村の施設を利用させていただく方針です。詳しい検討はこれからとのことです。
※ 2年間まるまる使用不可になるわけではありませんでした。訂正記事はこちら
池田町長は「新設はまったく検討しない」との答弁でしたが、直接持ち込む町民や業者の不便や不利益になりそうです。

国民健康保険特別会計決算見込み


平成27年度の国民健康保険(国保)事業は18億9490万円と前年度決算比で1億4002万円増の見込みです。

主な要因は、歳入で交付金(保険財政共同安定化)が増加したことによるものです。
数字だけ見るとちょっと驚いてしまいますが、これは国が格差是正を図った仕組みの変化によるもので内実とはあまり関係がありません。

実質的な規模はあまり変わらないか、むしろ縮小傾向がありそうです。
これは国保加入者が75歳になると、計上先が国保特別会計から後期高齢者医療特別会計へ移行になるからです。浦河町では年間150名ほどが移行しています。
ただし一人あたりの給付費自体は上昇傾向にあり、全体として重病化が進んでいると言えそうです。

さて、国保はほとんどが国や道から補填されるのですが、もちろん市町村の負担もあります。
平成27年度から保険者支援の制度拡大があり、財政調整によってこの市町村負担が少し減りました。
義務的に割り当てられている支出は1億2500万ほどなのですが、これにより不足分として組んだ7000万円の独自予算のうち、今年は3395万円(前年は約5,100万円)で決算見込みです。

町財政の視点からみると、町民のみなさんになるべく健康でいていただくことが負担軽減につながるため、病気の早期発見が重要だとされています。
そのため特定健康診査をひとりでも多く受診していただきたいところですが、浦河町の場合、受診率33%と極めて低い状況です。
担当課から話を伺うと、あれこれと工夫してもなかなか受診につながらないことが多いとのこと。このあたりの対策強化を求める声がありました。

介護保険特別会計決算見込み


平成27年度の介護保険事業は11億2399万円で決算の見込みです。

実際の内容に関しては、この内の保険給付費の計画と支出をみていきます。
支出は10億5012万円と計画比で2700万円増です。

主な要因は、通所リハビリテーションの69件1,391万円増介護老人福祉施設の63件1,507万円増が目立ちます。
前者は、施設職員の報酬増やサービス拡充により件数増加。
後者は、町内施設は満所ですが、子どもや親戚の近くといった町外施設利用が増加。
その他で目立ったのは福祉用具貸与で471万円増ですが、件数自体の増加もある一方、同じ方が症状が進んでベッドや車イスを借りるなど一人あたりの品目増もあったとの報告です。