2016年2月15日月曜日

総合戦略で子育て助成が充実する一方、すべての小中学生にタブレット導入?

2月15日(月)、厚生文教委員会が開かれましたのでご報告です。
今回は地方創生総合戦略で提示されていた事業の内、2016年度に予算化予定の所管事業(新規と拡充)の審議でした。

ふるさと納税で子育ての充実へ


自治体が総合戦略を策定すると活用できる国からの交付金があるのですが、今回はすべてその対象外の事業で、おおむねふるさと納税を財源とする子育てや教育に関わる部分の説明でした。

浦河町のふるさと納税の使い途は現在、大きく「子育て」「乗馬療育」「その他」から選べるようになっており、子育てをご指定いただく方が多くいらっしゃいます。
お陰様で今回は、これまで議会の一般質問等で提案されていたものの「財源不足」と説明を受け、実現されてこなかった事業が数多く盛り込まれていました。
これも今年度激増したふるさと納税を通じた浦河町外の方々からのご寄付によるものであり、私からもこの場を借りて御礼申し上げます。

子育て世帯の負担軽減へ様々な取り組み


審議した具体的な事業は下記のとおりです。

施策内容区分予算額(千円)概要
多子世帯の学校給食費の軽減新規9,13918歳以下の子ども2以上世帯対象
高校入学に係る教科書費助成新規1,5601.5万円を上限に全員
すくすくこども券の拡充拡充21,376高校生まで対象、1枚当たり500円に
インフルエンザワクチン接種助成新規2,284高校3年までワクチン代助成
ロタワクチン予防接種助成新規2,662生後6ヶ月までワクチン代助成
ピロリ菌検査助成新規2,383中高生は検査費用助成
放課後児童ひろばの拡充拡充6,362指導員1名増(荻小、東部小)
児童館指導員の拡充拡充11,257指導員1名増(堺町、ふれあい会館)
学習サポート事業拡充2,576大学生招聘事業、ドリル配布
ICTを活用した学習システム新規39,528小中学生全員にタブレット導入
学校づくりを考える会事業新規252中学校区毎の地域教育のあり方検討
子育て支援ファイル事業拡充858パンフレット等作成配布
少年団・部活動等の充実拡充15,370中体連以外の大会へも補助金支出
街路(防犯)灯のLED化新規8,000町管理全灯LED化(28年度は調査)

ご覧の通り、各種助成が充実しました。

特に要望や意見の多かった「すくすくこども券」は1枚当たりの額面が500円になり、使い勝手がよくなります。
また、ワクチン助成の大幅拡充や教科書費助成、給食費軽減など子育て世帯の負担はずいぶん軽くなっており、何かと物入りの世帯にとってありがたい内容になったのではないかと思います。

ふるさと納税とは関係ありませんが、街路灯も環境省関連の予算を活用してLED化が進む予定です。
自治会で負担の大きかった電気料金の大幅な縮小が見込まれます。

ところが、ひとつ気になっていることがあります。
小中学生全員へのタブレット導入です。

タブレット導入の方法は適切か?


子育て世帯への負担軽減はわかるのですが、肝心の教育行政をどうするのか。
全国でも最低レベルの教育水準である日高の教育について、すでに議会内外で議論されています。
せっかくのふるさと納税を有効に活用して少しでもよりよい教育を目指したいところです。

その目玉が校内無線LANの整備を含めたタブレット導入です。
以下がその説明になります。

ICT環境整備
児童生徒の学力の底上げを図るため、町内全小中学校のICT環境整備を実施する。
<タブレット端末の導入> 
・全児童生徒数分を整備(5年リース)
・朝学習や放課後学習を主として使用
<学校内無線LANの設置>
・全小中学校に校内無線LANを整備

これに4千万円の予算が計上されています。
(内、タブレットリース料が1千万円程度。無線LAN工事費が3千万円。)

当然ですが、タブレットを導入するだけで基礎学力があがるわけではありません。
それに、漢字や算数のドリルも同じく朝学習と放課後学習のために配布される予定なのですが、ドリルもタブレットも配ってあれもこれも活用できるのでしょうか。

活用方法を考えるための推進委員会をこれから設けるとのことですが、そもそも現場の先生方に何の相談もなく導入を決められています。
まずは配ってから「さあ、どのように活用するか考えましょう」では順序があべこべで、うまくいくとは到底思えません。
また5年間も同じタブレットを使用する計画ですが、5年後にはそのタブレットなど化石同様の代物になってしまうはずです。

個人的にはめっきり使わなくなってしまったiPad

タブレット導入自体に強く反対はしませんが、質問に対する納得のいく説明がなく、その導入方法や対象者に検討の余地があります。

タブレットよりも必要なことは?


さらに、多額の予算に対する反発として、低学年のお母さん方からは
「目が悪くなるのでは」
「まずは普通に読み書きを」
との声や、それよりも教育や子育てへの意識があまり高くない家庭向けの啓発事業教員の増員などの有効な活用を要望する意見もあります。

タブレットよりも先に、基本的な教育環境の充実現場裁量で使える予算の拡大成績上位者向けに検定などへの助成を望む声もありました。

今まで教育方針や計画の中に、タブレット導入はなかったように思います。
「ふるさと納税で使える予算があるから」と突然の思いつきのように思えてしまうのです。
教育現場や保護者の意見を反映した施策なのでしょうか。
それよりも有効なお金の使い方があるのではないでしょうか。
拙速な判断をせず、もう少し議論してもよさそうですが...みなさんのご意見を聞いていきたいと考えています。

なお、これらの予算も最終的には3月からはじまる議会で議論し、議決されていきます。